帝国憲法に殉死した清水澄法学博士の遺言

最後の枢密院議長 清水博士は、帝国憲法に殉じて投身自決しました。 彼が命を賭してまで戦後日本人に伝えようとしたことを読み解くため、原文より平易な言葉になるよう、書き起こしを行いました。
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ふぐば🐽 @Fuguba

本條はこの世界無比の真正君主国体を明文を以て宣明せられたものである。しかし国体は建国と共に創生し歴史の成果国民の確信に基づいて醸成されたものであり、法規の力で創生できるものではない。従って本條を以て我国の国体を創設したものと解してはならない。憲法の公布以前も我国は真正君主国であり

2020-08-30 03:02:52
ふぐば🐽 @Fuguba

統治権の主体は万世一系の天皇であった。本條を掲げた所以は、まず国体の精神を明鬯(めいちょう)にして永遠の将来に亘り決して紛更すべからざることを戒飭(かいちょく)すること、また新たに立憲政治を施行してもその為に伝来の国体に何等の影響を及ぼさないことを断定することにある。国体は歴史の

2020-08-30 03:08:04
ふぐば🐽 @Fuguba

成果国民の確信に由り定まる国家固有の特色であり、国家の大法を以てしても素よりこれを変革することはできない。従って、今後帝国憲法の條章に改正を加うることがあっても、この憲法第1條の規定は断じて変更することが許されない。凡そ法規は宣明的規約と創設的規約に分類される。既存の事実を

2020-08-30 03:11:01
ふぐば🐽 @Fuguba

言明するに過ぎないのが宣明的規約で、一定の効力を創設するのが創設的規約である。国体は前者である。法律は一定の事実に効力を付与することはできるが事実を作成することはできない。第1條は真正君主国という既存事実を言明したのであって、創設的規約ではない。

2020-08-30 03:13:36

帝国憲法が天皇の地位を規定したのではありません。
我が国は肇国以来の純粋なる君主国であって、
憲法典はこのことを明文に示したにすぎません。
ですから、憲法を改正するとしても、
事実を改訂することはできないのですから、
国体を変革するような変更はまったく不可能であることは、
言うまでもありません。

ふぐば🐽 @Fuguba

統治権の主体が万世一系であるのは真正君主国体の特色であり、単に歴史的事実であるに留まらない。我国は皇位の万世一系と相連携し存在してきたのでありこれを以て存立の生命とする。万世一系は我が国体観念の法理上の要件である。学者の中にはこれを単なる血統永続の歴史的事実に過ぎないと論ずる者が

2020-08-30 03:17:42
ふぐば🐽 @Fuguba

あるが、これは国体の法理的観念を究めないための謬論であって、断じて排斥しなければならない。皇統の万世一系は我が国体の特質であるが故に、これに関しては国民が論議すべき限ではない。従って皇統に関することは議会の議決すべき性質ではない。皇室典範を憲法と別に設け憲法同様に国の根本法とし、

2020-08-30 03:20:36
ふぐば🐽 @Fuguba

しかも憲法74條で典範の改正は帝国議会の議を経るを要さない旨を規定したのは、このためである。 国家は統治権の主体で自主の意思を有し自主の生存を為すが、この国家の意思とは国家内の何人かの自然意思を以て国家の意思と看做すことに外ならず、我国では天皇の意思を以て

2020-08-30 03:25:40
ふぐば🐽 @Fuguba

国家の意思とすることが我が国体であることは国民千古の確信であり天皇と国家は相同化し渾一観念を醸成した。天皇の意思と言っても個々の天皇の自然の意思を言うのではなく、万世一系の天皇の自然の意思が過去現在未来に通じて融合したもの、つまり天祖の意思が高来の天皇の自然の意思に通じ相融合し

2020-08-30 03:28:46
ふぐば🐽 @Fuguba

一体をなしたものを言う。天皇の意思は国家の意思というのはこの義に外ならない。故に統治権の主体としての天皇は決して生死の運命に支配されない。生死の運命に支配されるのは自然人としての天皇のみで、崩御せられても統治権の主体としての天皇は、自然人としての天皇の交代に拘わらず

2020-08-30 03:31:12
ふぐば🐽 @Fuguba

万世不易万世不変である。これは我が国民三千年来の確信で国体の美は他国に比類がない所以である。一派の学者が天皇主権説を採るときは天皇の交代によって国家は変更するのだとか或いは天皇の交代によって前天皇の国家行為は当然その効力を失うとか反駁しているが、これは万世一系の微妙の理論を遺却し

2020-08-30 03:33:46
ふぐば🐽 @Fuguba

国民の確信に反する謬論である。

2020-08-30 03:35:31
ふぐば🐽 @Fuguba

『逐條~』より 第4條について 名文であり全部引きたいところだが、以下要点。 立憲政治を行わせられることを規定した条文。総攬とは、統治権の全てを握持せらるるの義。立憲政治とは三権を分掌させることであるが、それを総合統一した体験は万世一系の天皇に専属し万機を裁断し全政務を総攬せらるる

2020-09-01 01:18:07
ふぐば🐽 @Fuguba

外国の論者曰く、立憲国では君主は統して治せず。つまり三権が分担するため君主は親裁することなし。と。しかし我が国体は親裁せらるるを以て憲政の本義とする。天皇を虚位であるかのようい言うものは絶対に排斥しなければならない。また、別の論者曰く、

2020-09-01 01:20:37
ふぐば🐽 @Fuguba

立憲政治では君主は専ら行政を掌るものだ。と。これも我が純正君主立憲政治に適用してはならない説だ。蓋し統治権の本体は唯一不可分のもので、各機関が分掌することはできても、必ず総合統一するものがない筈がない。さもなくば、どうして統治権の作用を統一し国家政務を調整できようか?

2020-09-01 01:23:39
ふぐば🐽 @Fuguba

我国では万機天皇の総攬せらるるところで、国体の異なる外国の説に幻惑されないように、注意を要する。確かに立憲政治は桀紂のような暴君が擅(ほしいまま)にするのを防ぐ利があるが、堯舜のような名君が善政を自由にできない欠点がある。国民の多数意嚮を参酌するのに遺漏なくするため、急迫の場合

2020-09-01 01:29:04
ふぐば🐽 @Fuguba

迅速を欠く。専制政治の利害はこの逆である。どちらが理想的善政と即断できない。ただ立憲政治は、暴君なき我国は別として、統治者の苛虐を免れるため、他国で急速普及した。抑々立憲政治を採用した英国では君主・人民の関ねんの軋轢の結果、権力制限の方法として発生進歩し、欧州でも普及した。

2020-09-01 01:32:42

桀は夏王朝最後の皇帝
紂は殷の皇帝、帝辛のこと。
暴力的な政治を行った、徳のない皇帝として知られています。

堯は中国の神話上の君主、陶唐氏
舜も同じく神話上の君主、有虞氏
「その仁は天のごとく、その知は神のごとく」
と称される徳のある統治を行ったとされます。

ふぐば🐽 @Fuguba

君主の良心で君権を制限できなかったため、外部拘束したのであって、専制政治は国民の公敵であった。我国は明治大帝の、専擅の旧弊を除かんの大御心により立憲政治を採用したので、全く趣が異なる。古来君民情温厚く、未だ嘗て塗炭に苦しませる暴君なく、専制と立憲政体の間に大きな利害の隔離がない

2020-09-01 01:37:17
ふぐば🐽 @Fuguba

他国のように、君民相抗して、立憲政体を採らないと国民の幸福が保持できないというのとは、事情が異なる。

2020-09-01 01:38:25
ふぐば🐽 @Fuguba

『逐条~』第11条 天皇が兵馬を統一して掌握せらるる大権を規定する。統帥とは軍を総統して帥率という意味で、必ずしも親ら軍陣に臨み指揮するという意味ではない。 抑々兵馬の大権が天皇親裁に属することは我国建国の大原則にして帝国体制の特色のひとつである。本條を待ってそうなったのではない。

2020-09-06 18:29:56
ふぐば🐽 @Fuguba

中世、政権が武門に移り、兵馬の権力も幕府の私する所があったので、明治維新以後は天皇が百政を総攬せらるると共に兵馬統帥もまた大権に復古したことを、明らかにしたのである。他国に於いて、法規により元首統帥権を設定したのとは全く体制を異にする。このことは軍人勅諭にも宣示されている。

2020-09-06 18:36:58
ふぐば🐽 @Fuguba

軍人勅諭から一節を引いている。以下該当部意訳。 兵馬の大権は朕が統べるところであり、細かな運用をこそ臣下に任すも、その大綱は朕親らこれを攬(と)り、臣下に委ねるべきものではない。子々孫々に至るまで篤くこの旨を伝え、天子は文武の大権を掌握するという義を保ち、

2020-09-06 18:48:40
ふぐば🐽 @Fuguba

再び中世以降の失体のないことを望むものである。朕は汝等軍人の大元帥である。であるから朕は汝等を股肱と頼み、汝等は朕を頭首と仰ぎ、その親しみは殊更に深くない筈があろうか。朕が国家を保護し上天の恵みに応じ宗祖の恩に報い参らせることを得るも得られないも、

2020-09-06 18:53:05
ふぐば🐽 @Fuguba

汝等軍人が職を尽くす尽くさないによるものである。 (勅諭ココマデ) 本條はその真髄を簡明に宣布せられたるものに外ならない。

2020-09-06 18:55:06
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