高橋健太郎さんのブルーズ論考 1. (2014-10~2020-08)
ガーシュインはブルーノートを取り入れて、「ラプソディ・イン・ブルー」を書き上げた。ヴィクター・ハーバートは最後までブルーズに反応しなかった。1924年にガーシュインが「ラプソディ・イン・ブルー」を発表したコンサートで、ハーバートは「セレナーデ組曲」を発表した。
2017-01-29 20:19:23「セレナーデ組曲」はカリブ〜ラテンの要素なども取り入れ、アメリカ音楽を希求した大作だったが、ブルーノートを取り入れた「ラプソディ・イン・ブルー」の影に完全に隠れてしまった。そして、今日ではガーシュインの名前は知られていても、ハーヴァートの名前は忘れ去られている。
2017-01-29 20:22:43アフロ・アメリカンの音楽要素を積極的に取り入れたユダヤ人の作曲家と、アフロ・アメリカンのミュージシャンを積極的にプロモートしたユダヤ人のプロデューサーによって、ブルーズ的な感覚を中心に置いたアメリカンの音楽文化というのは築き上げられたと言っていい。
2017-01-29 20:27:11違う由来の、違う音楽だったブルーズとジャズが不可分のものとして扱われるようになったのも、ユダヤ人によるミュージック・ビジネスがそこにアメリカ音楽の神話を生み出そうとしたから。が、アメリカ音楽はそれだけではない、という揺り戻しが「アメリカーナ」だった、と言ってもいいかな。
2017-01-29 20:32:31この論文、読んでみたが、ブルーズやジャズやロックンロールの発展史の影にユダヤ人の作曲家やビジネスマンの働きを見るという視点は良いとして、「黒人と感性的に一体化したユダヤ人」という存在を考える時の「黒人」とは何か?という問題があるな。 twitter.com/TriflingDoodle…
2017-01-29 20:39:25これめちゃおもろいです→ブルース、ロックンロールへのユダヤ人の貢献-チャック・ベリーをめぐる異文化交錯(三) klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/…
2017-01-29 18:36:55つまり、ステレオタイプ化された「黒人的な感性」というものが先に認定されていて、その上で「そこに一体化するユダヤ人」という存在が考えられているのだが、今日の我々が疑いなく「黒っぽい」と思うような感覚こそは、ユダヤ人が生み出した神話の産物なのではないか。
2017-01-29 20:44:25というのも、20世紀初頭のアメリカでは、黒人にとっても、ブルーノートや12小節・三行詩のブルーズ形式は、新奇なものだったんだよね。黒人なら誰もがアフリカ由来のその感覚を備えもっていたなんてことはない。それは南部の農場で(つまりはアメリカで)発明されたものだったのだから。
2017-01-29 20:49:43ビル・フリゼールがアメリカーナにアプローチした最初のアルバム『Have A Little Faith』はドン・バイロンとガイ・クルセヴェクとともに作られている。僕はビルフリ先生には会ったことないけれど(何でだよ?!)、バイロンとクルセヴェクはそれぞれ家を訪ねたことがある。
2017-01-29 21:15:27バイロンの家でお茶しながら、彼が言った言葉でずっと憶えているのは、「フランス映画音楽が好きな黒人だっているんだよ」という一言。で、彼はクレツマー をやった。黒人なのにユダヤ人の音楽をやるという、アメリカ音楽史でたくさん行われてきたことを逆さまにしたプロジェクトをやった訳だ。
2017-01-29 21:23:39ナチスがたくさんのユダヤ人をヨーロッパから追い出さなければ、アメリカの音楽産業も映画産業もこんなに発展しなかった。
2017-01-29 21:47:17ないです。というのは… QT @jun7704 @kentarotakahash アメリカポピュラー音楽におけるユダヤ系移民の活躍についての一連のツイート興味深く拝読しました。よろしければ、ヴィクター・ハーバート入門として高橋さんおすすめの一枚を教えていただきたく存じます。
2017-01-29 23:12:46というのは、現在、たやすく聞くことができるヴィクター・ハーバートの曲のほとんどはソプラノ歌手が歌うオペレッタの曲なので。ビング・クロスビーの『シングス・ヴィクター・ハーヴァート・ソングス』というアルバムですら、CD化はされていない。 @jun7704
2017-01-29 23:21:15これです。アイリッシュであるビング・クロスビーがヴィクター・ハーバートに捧げたこのアルバムですら、CDになっていない。というくらいに、ヴィクター・ハーバートは忘れ去られた大御所な訳です。 discogs.com/ja/Bing-Crosby…
2017-01-29 23:23:22ASCAPの創設者であり、30年代には『GREAT VICTOR HERBERT』という映画すら作られている20世紀初頭のアメリカを代表する作曲家/編曲家。それがここまで顧みられないというのも凄いよね。 youtube.com/watch?v=6ybWva…
2017-01-29 23:27:5517年6~8月辺りの論考は下記まとめを参照。目次は以下の通り。
1.イントロダクション(P.1)
2.アメリカン・クラシック強化週間(P.1)
3.ジャズもまたラテン音楽の一種、ブルーズはアメリカの発明品(P.1)
4.誰もが知ってるあのメロディー"Save and a haircut"をめぐって(P.2)
5.ドヴォルザークが聴いた「黒人の歌」(P.2)
6.ファイフ音楽から「ジョージア行進曲」再訪、ロバート・ナサニエル・デット「Juba」(P.3)
7.二グロ・スピリチャルとゴスペル、「アメリカーナ的な響き」のペンタトニック・スタイル(P.3)
8.「しぼんじゃう」メロディ進行(P.4)
9.ロバート・ジョンソンと同じ時代に活躍したポール・ロブソン(同時代音楽としてのカントリー・ブルーズとニグロ・スピリチャル)(P.4)
10.ブルーズにおける「多地域進化説」対「南部単一起源説」(P.4)
11.ドヴォルザークとクロマチック・ムーブメント(P.5)
-アメリカン・クラッシックの勉強-
-クロマチックだ-
-ペンタトニックなジェームズ・テイラー-
-また別のアメリカ音楽史-
ジェフ・マルダーの「The Wild Ox Moan」、カッコイイ。こういう爺になりたい。 youtube.com/watch?v=EDv7YL…
2019-11-30 07:13:09ジェフ・マルダーが「The Wild Ox Moan」を三小節×4回の変形12小節のブルーズに解釈したんだな。いつ頃から、この解釈で演奏してたのか知りたい。
2019-11-30 07:14:44録音は1998年のこれが最初みたい。2000年代に入ってから、再録音したり、ライヴでもよく演奏しているようだ。 open.spotify.com/track/6L1kXOIM…
2019-11-30 07:19:42「The Wild Ox Moan」はアラン・ロマックスによるフィールド・レコーディングで世に知られた。歌っているのはヴェラ・ホール。僕が初めて聴いたのは1990年くらいだったけれど、衝撃的だったんだよ。 youtube.com/watch?v=0_19S1…
2019-11-30 07:24:05ヴェラ・ホールの別の曲。こういうブルーズみたいな歌唱が綿畑の中で聴こえていたというのは、イメージ的にすっと了解できるものだったんだけど。youtube.com/watch?v=i_H5pC…
2019-11-30 07:30:42でも、「The Wild Ox Moan」は僕にはブルーズじゃなくて、メジャー7th系の曲に聴こえたんだよね。ちょうど、ビーツ・インターナショナルとかが流行ってた頃で、買ったばかりのサンプラーに、ヴェラ・ホールの独唱をサンプルして、 F#maj7thでレゲエ風のオケつけたら、奇麗にハマったんだ。
2019-11-30 07:36:45ということは、これはニュー・ソウルとか、レゲエのラヴァーズ・ロックとかのルーツ?と思ったり。
2019-11-30 07:39:46