くろぐだの奇妙な冒険 第11巻 ~魂の重さ~

作者:日向寺皐月(@satuki_hyugaji)さん 「#自分のスタンドを考えてみるタグ」から始まったフォロワースタンド使い化企画連載小説(三次創作) 第11巻分まとめ https://togetter.com/li/1637976 ←10巻 12巻→ https://togetter.com/li/1639892
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日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 14 「兎…さん…?何で…」 「あれ?死にに来たの?」 くろぐだとブシドーに口々に言われ、兎は軽く笑った。そして、ブシドーを見据える。もう、震えてはいなかった 「…お嬢さんに俺は二回も助けてもらった。でも、俺はまだ何も返せてない」 そう言い、くろぐだに手を差し出す

2020-11-23 22:42:45
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 15 「それが今だって、そう思っただけです」 くろぐだが手を取り、兎は引き上げる。ふらつくくろぐだに、兎は笑いかけて座らせる 「俺は確かに弱いスタンド使いです。でも…」 再びブシドーに向かう兎。真っ直ぐと見据え、肩に乗っかる白ウサギの背中を撫でて姿を眩ませた

2020-11-23 22:47:20
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 16 「弱いなら弱いなりの戦い方があるんです!」 不意に、ブシドーは吹き飛んだ。兎が近付き、蹴り上げたのだ。直ぐにバッド・デイが向かうが、兎は再び姿を消す 「本体を倒せば!」 立ち上がるブシドーに、今度は拳が当たる。逆にバッド・デイは、ブシドーを盾にされて動けない

2020-11-23 22:51:18
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 17 その隙を狙い、兎は足払いしたブシドーをバッド・デイに投げる。片腕でブシドーを受け止めたバッド・デイだが、兎の攻撃を防ぐ手段は無い 「凄い…!」 そんな戦い方に圧巻されるくろぐだ。彼女は今まで、対スタンドの戦い方しかしていない。それは彼女の優しさだった

2020-11-23 22:59:25
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 18 しかし。バッド・デイはそんな優しさを持っては対処出来ない相手である。つまり、戦う覚悟が必要な相手であると言う事だ 「そろそろ!音を上げてくれませんかね!」 そう言いながら、兎は再び姿を消す。ブシドーは最早ふらつき、ノックアウト直前のボクサーめいていた

2020-11-23 23:04:51
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 19 「これで決まりだ!」 そう言って、兎はブシドーの頭を狙って蹴りを― 「―見えた!」 バッド・デイの拳が、遂に兎を捉えた。真面に食らい、壁に当たる兎 「がっ!」 「大変だったよ…やられてるフリは」 そう言って、吹き飛んだ兎に笑い掛けるブシドー 「でも、もう見えた 」

2020-11-23 23:10:22
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 20 「な…何が…」 「雨粒だよ」 呻きながら聞く兎に、ブシドーは事も無げに言った 「姿は消せても、雨までは消せない。だから待ってたんだ。見える瞬間をね」 「なんて…奴だよ…」 そう言い、兎は呻く。と、空から雨に紛れて金属片が降って来た。そして、兎を貫く 「痛ッ!」

2020-11-23 23:17:50
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 21 見れば、それは何かの破片で… 「…妙だね」 ブシドーはそう言い、兎から距離を取った。バッド・デイもそれに続く 「君のスタンドは、姿を眩ますのが精々の筈。なのに…」 痛む身体を動かし、兎は足元を見る。そこには… 「どうして、君を守る様に立ち上がっているんだい?」

2020-11-25 01:35:03
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 22 「…!?」 兎の目前。そこには、立ち上がり行く手を阻もうとする白ウサギの姿があった。それは、他でもない兎のスタンドで… 「スタンドが…進化した…?」 そうくろぐだが呟くと、ブシドーは面倒くさそうに頭を掻いた 「え~、聞いてないよそんなの…ま、取り敢えず」

2020-11-25 01:43:13
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 23 「やっちゃえバッド・デイ!」 そんな言葉と共に、バッド・デイは拳を振り下ろす。そして、白ウサギは粉々に― 「あれ?」 ならなかった。バッド・デイが潰したのは、白ウサギの皮の様な物。中身はすぐ側に立っていた 真っ白な身体に黄金のライン。そして燃えるような赤の首元

2020-11-25 01:50:05
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 24 マフラーにも見えるそれをたなびかせ、新たなスタンドは兎に親指を上げて合図した 「そんな小さなスタンド…やっちゃえよ!」 ブシドーの指示で、バッド・デイは新たなスタンドを殴る。しかし、そのスタンドは拳を楽々と受け止めた 「ラビット・フット・ネクストレベル…」

2020-11-25 01:52:57
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 25 そう呟いて、兎は立ち上がる。それと同時に、ラビット・フット・N.L.はバッド・デイを吹き飛ばした 「バッド・デイ!」 慌て駆け寄るブシドー。そして、兎を睨んだ 「酷いじゃないか!僕の大切な友達だよ!?」 「なら…君も相当酷いだろ…?」 そう言い、兎は矢の欠片を抜く

2020-11-25 22:59:05
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 26 矢の欠片は直ぐに何処かに飛び去る。そして、兎はフラつきながらもアロハを直し、すらりと立ち上がる 「俺はこの街で生まれ、この街で育った。そして、この街で暮らしている。俺はこの街を愛してる。多少回り道はしたけど、この街の為になる事をしたい。君だってその筈だ!」

2020-11-25 23:06:03
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 27 そう言って、兎はブシドーを指差した。その言葉と同時に、ラビット・フットNLも構える 「だが君はこの街を泣かせた!この街で暮らしていながら、この街を壊そうとしている!」 「だって…」 ブシドーはバッド・デイと共に立ち上がり、同じ様に構えた 「僕はこの街が嫌いだ」

2020-11-25 23:13:40
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 28 「だとしても!」 ラビット・フットNLが動く。バッド・デイは片腕で弾くが、パワー負けしてよろける 「俺は許せない!戦いたくない人、戦えない人を巻き込んだ事を!この街を巻き込んだ事を!」 その隙を狙い、ラビット・フットNLはバッド・デイの身体に突き刺さる

2020-11-25 23:21:22
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 29 「あぁ!バッド・デイが!」 身体に穴の空いたバッド・デイ。ラビット・フットは壁を駆け上がり、頭上高くに舞い上がった 「お前の罪、今ここで断罪する!」 一閃。ラビット・フットNLがバッド・デイを貫き、地面を滑る様にして止まる。崩れ落ちるバッド・デイ。撃破したのだ

2020-11-25 23:29:26
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 30 「バッド・デイが…!僕の、僕の大切な友達が…!!」 慌ててバッド・デイに近付くブシドーだが、触れる前に消え去った。泣き崩れるブシドー。それを一瞥し、兎はくろぐだに笑い掛けた 「やっぱり、子供に運命を託すなんて間違ってるよ。戦うのは、大人だけで充分さ」

2020-11-25 23:35:09
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 31 「助けて頂いてありがとうございます…!」 そう言い頭を下げるくろぐだに、兎は笑って頭を撫でる。そして、兎は優しく言った 「さぁ、帰ろう。お嬢さんのマンションまで、そんなに遠く―」 その時 「まだ雨は止んでいない!今すぐ避け給え!」 声が響いた 「日向寺先生…?」

2020-11-25 23:44:32
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 32 見れば日向寺が壁に影を纏わせ、スロープの様にして滑って来る 「良いから速く逃げ給え!その男はまだ、倒れちゃいない!」 「何を言っ」 刹那、くろぐだの顔に何か生暖かいものが飛び散る。そして、泣いていたブシドーが笑う 「あぁ、バッド・デイ…《そこに居たんだ》…」

2020-11-25 23:52:50
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 33 「え」 振り向こうとするくろぐだを、日向寺は急いで回収する。そして、杖から刃を引き抜いた 鈍い金属音が響く。同時に、何か重く湿ったものが落ちる音も。くろぐだは見ようにも、日向寺が壁になって見えない。しかし、日向寺より大きな影だけは見えた 「バッド…デイ…!」

2020-11-25 23:56:53
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 34 「どうして…どうして血が…!」 「見てはいけない」 日向寺の言葉は重く、冷たい。そして無理矢理バッド・デイの拳をはね除けた 「Act.2…!タイミング的には速いか…!!」 そのバッド・デイは、姿が変わっていた。頭の火鉢は松明に、そしてその身体は本物の熊の様に

2020-11-26 00:02:33
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 35 「先生、何が…」 「くろぐださん。此方に!」 日向寺の後を追う様に現れたコリスが、Mk45を撃ちながら走って来る。しかし弾丸は全てバッド・デイが弾き、ブシドーには当たらない 「コリス君!遅い!」 「申し訳ありません」 そう言い、コリスはくろぐだを引き寄せる

2020-11-26 00:07:03
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 36 「離脱します!」 有無も言わさず、コリスはくろぐだを抱き抱えて走り出す。バッド・デイはそれを追う様にのそりと動くが、日向寺が影でバッド・デイの足を止める 「良いのかい?君のご主人が死ぬことになるが」 バッド・デイは動きを止め、ブシドーを振り替える

2020-11-26 00:09:41
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 37 「あ、振り向いた!」 嬉しそうに言うブシドー。だが、その首元には影が鋭く延びていた。バッド・デイはブシドーに近付き、影を踏み潰して回収する。そして、何処かに消え去った 「…順調だった筈なんだがね…」 そう呟き、日向寺は驚きに見開いた兎の瞼を塞いだ

2020-11-26 00:12:18
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 38 なんとあのバッド・デイが進化してしまったね。いや~、恐ろしい しかし今の私達に出来る事は何もない。賽は投げられたが、未だに伏せられたまま。結果は見えない。いやはや。実にもどかしいね、諸君 ではでは、次回お会いしようか チャオ!

2020-11-26 00:15:33