くろぐだの奇妙な冒険 第11巻 ~魂の重さ~

作者:日向寺皐月(@satuki_hyugaji)さん 「#自分のスタンドを考えてみるタグ」から始まったフォロワースタンド使い化企画連載小説(三次創作) 第11巻分まとめ https://togetter.com/li/1637976 ←10巻 12巻→ https://togetter.com/li/1639892
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日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 25 「兎に角逃げて下さい!」 「…!すまない…!」 そう言い、兎は走り出す。余りの出来事に驚愕しっぱなしのヒトシを連れて 「も~、逃げちゃったじゃないか」 不満気に言うブシドー。しかし、くろぐだは殴られた衝撃を利用して後方回避。肩で息をしながらも、ブシドーを見る

2020-11-22 00:50:42
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 26 「貴方の相手は…この私です!セイヤーッ!」 くろぐだはそう言い、大鎚を握り直してバッド・デイに向かって行く 「先生。何方に?」 街へと続く草加橋の上にある装甲車。既に街へのアクセスは出来ない様に封鎖されており、停まって居るのはこの装甲車だけだ 「そうだね…」

2020-11-22 00:58:21
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 27 日向寺は雨に濡れるのも構わず、装甲車のガンルーフから身を乗り出して街を見る。この橋から見れば静かな街ではあるが、日向寺はどうなっているのかを知っている 日向寺は袂から矢を取り出し、指でクルクルと回す。そして、運転席のコリスに話し掛けた 「…時に、コリス君」

2020-11-22 01:02:44
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 28 「何でしょう」 「魂の重さって知っているかい?」 そんな質問に、暫く雨音だけが響く。そしてコリスは、思い出した様に答えた 「…確か、21gですよね」 コリスの答えに、日向寺は頷く。指の上でクルクルと回るスタンドの矢。日向寺はそれを見て話を続けた

2020-11-22 01:07:54
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 29 「偶然にも、この矢は欠けた事で21gになった。魂の型を決める矢が、魂と同じ重さ。面白いと思わないかい?」 「成る程…」 と、日向寺は矢が何かを示す様に、街のとある方に先端を向けたのに気付いた。そして、口元をニヤリと歪める 「…コリス君。行き先が決まったよ」

2020-11-22 01:11:57
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 30 「ぴえろさん!目を覚まして下さい!ぴえろさん!」 フニコロの悲痛な叫びは、乾いた発砲音で掻き消える。鴉はフニコロを睨み、淡々と引き金を引く 「お前は…オレを捨てた…!だからオレもお前を…!」 カチリ。スライドが下がり、弾が出なくなる。鴉はそれを投げ捨てた

2020-11-22 01:16:25
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 31 「ぴえろさん!」 フニコロはその隙に、鴉の視界のリカルド達への興味を切り、自分へと結び付ける 「その名で、呼ぶなぁッ!」 ルフランの拳がフニコロのスタンド、ロスト・エンファウンドを打ち据える 「きゃっ…!」 見事に腹部を捉えたその拳は、フニコロを飛ばすには十分

2020-11-22 01:24:55
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 32 「くっ…!ふっ…!ぴえろ…さん…!」 殴られた腹を抱え、フニコロは鴉を見る。その瞳は憎悪と復讐にのみ燃えており、フニコロがかつて見ていた、姉の彼女だった頃の優しき面影は無い 「オレは…オレは鴉。復讐と殺戮の鴉…!」 ルフランは拳を振り上げ、残りのダメージを―

2020-11-22 01:28:58
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 33 「…ッ!?」 一瞬。鴉は躊躇った。殴り殺す積りの腕が動かず、フニコロとかつての彼女の幻影が重なったのだ 「あ、ああ、あああああっ!」 地面を殴る鴉。フニコロを殴れなかったのだ。最早無くなっていた筈の《何か》が鴉を止めた 「ぴえろ…さん…」 「オレは…鴉だ…!」

2020-11-22 01:33:12
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 34 そう小さく吐き捨て、鴉は壁を駆け上って居なくなる。残されたのは、冷たい雨に濡れるフニコロと、徐々に冷たく成り行くリカルド、それを止めようと必死なルロイだった 「ぴえろさん…」 雨と共に、フニコロの頬を涙が伝う。そしてそれは直ぐに、空と同じ土砂降りになった

2020-11-22 01:36:52
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 35 さてさて。遂に話が進んでしまったね。死ぬ者は死に、生きる者は生きる…私の手に追えない、完全な運試しの時間です 今の所は、まだ私の予想通りに進んでいる。ですが…果たして何時までそれが続くやら 出来ることなら、全て―おっと、ここから先はまだ早いか では…チャオ!

2020-11-22 01:41:25

第三十三話「黄金の精神」

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 第三十三話「黄金の精神」 1 「ここまで逃げれば…」 大通りまで逃げ、一息つく兎とヒトシ。雨故に人通りは少なく、何時もより閑散としている 「…マジで情けないッすよね…」 ヒトシはボソリと言った 「俺達もスタンド使いだってのに、あんな小さな女の子に丸投げして…」

2020-11-22 23:24:54
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 2 「…やっぱ俺、戻るわ」 そう言い、アロハを整える兎。ヒトシは慌てて止める 「え、でも出来る事は―」 「お嬢さんを逃がす事なら出来る」 ヒトシの制止を遮り、兎は言った。その瞳には、強い決意が揺れている 「…なら俺も!」 「君はアイツに狙われている。だから駄目だ」

2020-11-22 23:31:43
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 3 そう言いきる兎に、ヒトシは返す言葉もない。そして、兎は笑った 「大丈夫だ。お嬢さんを助けて、俺も逃げる。なんせ俺は、逃げ足だけが自慢だからな!」 兎はそう言って、路地に戻って行く。その背中を見送る事しか出来ないヒトシは、自嘲気味に笑った 「…俺、情けねぇな」

2020-11-22 23:37:50
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 4 「全くだ」 「え?」 思わぬ返しに、ヒトシは驚く。そして、声のした方を見ようと― 「―ッ!?」 口が塞がれた瞬間、腰の辺りに激痛が走る。ドクドクと心臓の鼓動が大きくなり、次第に意識が薄くなった 「私自ら行動しなければ成らないとは…情けないにも程がある」

2020-11-22 23:41:10
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 5 そんな言葉が、何処か遠くから聞こえてくる。身体を支える力が無くなり、崩れ落ちるヒトシ。薄れ行く視界の端に、真っ白な白衣の裾が見えた― 「はっ!たっ!やっ!」 ブースターを使い、全力でバッド・デイを殴るくろぐだ。しかし全て、バッド・デイの片腕で弾き返される

2020-11-22 23:48:38
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 6 逆にくろぐだを狙う拳。それを柄で受け止め、くろぐだは一旦引いた 「君、ボロボロじゃん。大丈夫?」 そうくろぐだに言うブシドー。くろぐだは額の汗を拭い、ブシドーを見据える 「あ…貴方の…!バッド・デイも…ボロボロじゃないですか…!」 くろぐだの言葉に嘘はない

2020-11-22 23:52:46
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 7 度重なる爆発に、堅牢を誇るバッド・デイもボロボロだ。片腕は吹き飛び、至る所からふはふはした白い綿が飛び出している しかし本体のブシドーは一切の疲れも無く、今はバッド・デイの横に立っていた。そして、くろぐだに笑い掛ける 「諦めたら?君、もうボロボロだしさ」

2020-11-22 23:55:53
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 8 「諦めません!」 くろぐだは強く言い、ブシドーを睨む。真っ直ぐで、歪みの無い正義の眼差しで 「貴方が…貴方が居る限り、この街に平和が来ないなら…!私は絶対に諦めません!」 そう言い、くろぐだは再び大鎚を握り直す。そして、ブースターに火を入れた 「セイヤーッ!」

2020-11-23 00:00:46
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 9 それを殴り、受け止めるバッド・デイ。が、くろぐだの狙いは違った 「はぁーっ!」 「!?」 大鎚から手を離し、慣性モーメントでブシドーを蹴る。吹き飛ぶブシドーを、バッド・デイは走って押さえた 「僕を蹴るなんて…」 蹴られた腹部を押さえ、ゆらりと立ち上がるブシドー

2020-11-23 22:22:03
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 10 「君、凄いよ!」 だが、その顔は笑顔だった 「バッド・デイ!あの子凄いよ!もしかしたら、君殺られちゃうかもね!」 そう笑顔で言うブシドー。バッド・デイはそれを聞いたのか、無音で空に吠えた。くろぐだは大鎚を握り直し、中段に構える 「でも…負けないよ」

2020-11-23 22:24:35
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 11 その瞬間、バッド・デイが飛んだ。くろぐだは素早く反応して大鎚でカウンター…出来ず、殴られて吹き飛んでしまう 「かっ…!」 更に空中で殴られ、着地が出来ないくろぐだ。辺りのものを巻き込み、くろぐだは落下する 「痛…い…」 「僕も痛かったからおあいこだよ」

2020-11-23 22:28:07
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 12 笑顔で言うブシドー。くろぐだは身体を起こそうとして、小さく悲鳴を上げて崩れ落ちる。骨が外れているのか、身体が言う事を聞かないのだ 「でも、そろそろ終わりかな?」 「まだ…負け…」 ボロボロになり、起き上がる事も儘ならないくろぐだ。バッド・デイは無慈悲に近づく

2020-11-23 22:32:25
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#くろくだの奇妙な冒険 13 「じゃあね、ハンマーちゃん」 ブシドーがそう言った時― 「そりゃーっ!」 バッド・デイに突き刺さる、アロハを着た男。兎が間に合ったのだ 一瞬たじろぐバッド・デイ。振り落とそうと手を振るが、兎は軽やかに跳び跳ねて逃げる。そして、くろぐだを守るように立ちはだかる

2020-11-23 22:36:30
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