菅直人の「脱原発」宣言をオバマの「核なき世界」宣言と同一視する姿勢を批判する

菅首相は最近のブログへの投稿で自身の「脱原発」宣言をオバマ大統領の「核なき世界」演説と同一視するが如き主張を行った(http://t.co/EEfBSq6)。正直に言ってその勘違いの余りの酷さに眩暈がする。オバマの「核なき世界」演説は外交上の現実主義がきちんとミックスされた、責任ある指導者としての立場からのものだ。菅直人の「脱原発」演説は対称的に独りよがりの思いつきに基づく「個人的見解」に過ぎない。我が国の政治指導者の知的レベルにまた幻滅してしまった。
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fj197099 @fj197099

菅首相、脱原発批判にブログで反論「方向性示すのは当然」 議論の活発化歓迎とも(http://t.co/vhgoHON)・・・問題の菅ブログ(http://t.co/EEfBSq6)。方向性を示すのは当然というが、その方向性の選択自身に合理的な説明がないのだから聞いて呆れる。

2011-07-21 01:10:13
fj197099 @fj197099

「核なき世界」演説を引き合いに出すのも勘違いも甚だしい。オバマは確かに実現可能性の乏しい大構想をぶち上げたが、これは思いつきではなくその前にきちんとW・ペリーら外交のプロ四人による2007年1月の提言あってのことだった。オバマ個人の「政治主導」ではなくプロの構想が採用されたのだ。

2011-07-21 01:12:57
fj197099 @fj197099

しかもオバマ自身、プラハ演説で自身の構想が如何に予見可能な将来には実現性の乏しいものであるかということをきちんと自覚している。だから「核廃絶は私が生きている間には実現しない」と宣言したし、「世界に核がある限りは米国は安全で効果的な核抑止力を維持する」とも主張したのである。

2011-07-21 01:14:35
fj197099 @fj197099

オバマの構想にはこういう現実主義がきちんとセットで組み合わされている。だから拡大核抑止への影響を懸念する同盟国も躊躇いながらも構想それ自体は支持するつもりになれたのだ。その後の核態勢見直し文書を見ても、オバマの取組みは実際には相当に慎重かつ漸進的な性格の強いものである。

2011-07-21 01:16:07
fj197099 @fj197099

例えばロシアと新START条約を合意したがそれは戦略核抑止力を損なうほどの大規模削減を伴う内容ではない。消極的安全保証の強化は謳ったが核の先行不使用宣言は拒否した。欧州における戦術核の前方展開も、同盟全体の決定とロシアとの相互主義がなければ一方的削減はないと同盟国に保証を与えた。

2011-07-21 01:18:43
fj197099 @fj197099

実質的に米国の同盟国への拡大核抑止政策には、危惧されたほどの大きな変化は生じなかったのである。それはこの構想がそもそもプロの提言であるのに加え、オバマ自身がきちんと現実主義とのミックスが必要であることを理解していたからである。日本流の思いつき「政治主導」の要素はなかったのだ。

2011-07-21 01:21:57
fj197099 @fj197099

菅直人の「脱原発」宣言はそれとは丸で正反対である。思いつきで唐突に打ちだされた「脱原発」宣言は閣僚にとってすらも寝耳に水の話であった。事前の政策レベルでの検討は丸で行われず実現の時期もコストも分からない状態で突然「個人的見解」として発表された。そこにあるのは個人の理想だけだった。

2011-07-21 01:24:59
fj197099 @fj197099

詳細も決まっていないストレステストの実施を理由に原発再稼動の時期を延ばせば日本経済と国民生活にどれほど深刻な影響があるかは小学生でも理解できる話であるにも係らず、菅直人はその「コスト」面の議論を意図的に排除して自身の個人的理想だけを正面に掲げた。そこに現実主義は存在しなかった。

2011-07-21 01:26:48
fj197099 @fj197099

これでは政策としてオバマの「核なき世界」演説とは雲泥の差である。オバマは自身の独りよがりで世界を悪戯に振り回すことはしなかった。それはオバマが米国のみならず世界の指導者としての自身の地位への深い洞察を有していたからである。責任ある立場の人間は思いつきでは動かないものだ。

2011-07-21 01:29:07
fj197099 @fj197099

菅直人は思いつきで日本と国民を悪戯に振り回し続けている。他ならぬ民主党の閣僚自身の言葉を聞けば分かるが、冷静に考えれば今後の日本が方向性として「脱原発」を選ぶかどうかさえこれから慎重の上にも慎重を重ねた議論を開始する段階に過ぎないのだ。現実論を無視した政策決定などあり得ないのだ。

2011-07-21 01:31:28
fj197099 @fj197099

菅直人が真にオバマを真似ようとするならば、今すぐ次の二つの宣言を行ってもらいたい。①「私の生きている間は脱原発は実現しない」、②「エネルギー不足の懸念が存在する限り、日本は安全で信頼性の高い原発を維持する」。オバマが言ったことと同じだ。これが責任ある政治指導者の態度というものだ。

2011-07-21 01:34:07