「翻訳された女」は、なぜ、「~だわ、~のよ」語尾で喋っているのか。

この話、自分的には何度目だ、って感じではあるのですが、反響大きかったのでまとめておきます。 ページ末尾の「おすすめ商品」のところに、以前教えていただいた本など入れておきますので、日本語の中の「女言葉」をめぐるアカデミック寄りの議論や研究に興味のある方はチェックしてみてください。
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Yuko Kato @yukokato1701

@kaoruo パンクな「だわ」(苦笑)。サノバビッチだわ、でございますね。その違和感を理解してくれるかどうかって、編集者次第なんですよねえ。

2011-07-28 15:31:26
Yuko Kato @yukokato1701

翻訳の過剰な女言葉もいやなんだけど、なにがイヤって(これはNスペでもやる)ドキュメンタリーなのに外国人アテレコの過剰な声優演技。「んん、ゥいやだわン、デェーブ」、「ぅそうだねぇい、キャサリン」的な。友近となだぎのネタかっつうの。

2011-07-28 14:44:56
Yuko Kato @yukokato1701

ちなみに、オノ・ヨーコさんの英語を日本語にする場合は、「わたくし、○○ですのよ」と訳すのが正しい。

2011-07-28 14:45:45
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

オノ・ヨーコはそうですね。日本語でそうしゃべるので。RT @mizukawaseiwa: ちなみに、オノ・ヨーコさんの英語を日本語にする場合は、「わたくし、○○ですのよ」と訳すのが正しい。

2011-07-28 14:50:33
橋本麻里 @hashimoto_tokyo

岡本太郎のパートナー、敏子さんの話し方もそうでした。「わたくしね〜なのよ」「太郎さんは〜だったわ」。下ネタもこの口調で(笑)。RT @mizukawaseiwa ちなみに、オノ・ヨーコさんの英語を日本語にする場合は、「わたくし、○○ですのよ」と訳すのが正しい。

2011-07-28 14:50:19
Yuko Kato @yukokato1701

下ネタも(笑)。美しい日本語だったと思います。下ネタでも。RT @hashimoto_tokyo 岡本太郎のパートナー、敏子さんの話し方もそうでした。「わたくしね〜なのよ」「太郎さんは〜だったわ」。下ネタもこの口調で(笑)。

2011-07-28 14:59:35
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

「翻訳された女」の言葉の実例。出典は末尾に記載。 1) 昭和59年(1984年)の翻訳小説。 p.7: 戦場カメラマンの女性、初登場のシーン。仕事中。 《「煙草ある? わたし、切らしたみたい」アン=マリィが言った。… (cont) http://deck.ly/~KOqi9

2011-07-28 14:41:00

「翻訳された女」の言葉の実例。出典は末尾に記載。

  1. 昭和59年(1984年)の翻訳小説。

p.7: 戦場カメラマンの女性、初登場のシーン。仕事中。
《「煙草ある? わたし、切らしたみたい」アン=マリィが言った。》
(「~切らしたみたいなの」、「~だわ」ではない。)

p.12: 主人公(米軍兵士)と危機を乗り越えて、打ち解けてきた頃。アン=マリィは負傷している。
《(米軍兵士)「……これは珍しい代物だな」》
《(アン=マリィ)「父の物よ。……大佐の命を救ったの。その大佐が記念にそのライターを父にくれたの。彼はアルジェリアで死んだわ。わたしの父。ここで生き残りながら」》

p.211: 同じ小説でサッチャー英首相。(この人は基本、この喋り方=東京の山の手言葉のコピーだと思います。)
《「となると……信頼を回復する望みがもてる、ということね」首相がファイルを開いて指先でコツコツと叩いた。「……あなたの報告書のコピイには、ノーラ・キャシディという女性の名前は載っていない。……あなたが提出したばかりの報告書に初めて記してあるわね。なぜなの、准将? 恥ずかしかったの?」》

  1. 2005年の翻訳小説。

pp.154-155: 娘を誘拐され、自身も拉致され、専門技能を要する仕事をさせられている女性(主人公)と、誘拐した勢力の一員の男性の会話。
《「娘と話がしたいの」彼女がいった。》
《「そうだろうな」クィンが応じた。》
《「それから主人とも。無事だって伝えたいのよ」》
《クィンは肩をすくめた。「おれにはどうしようもない。……」 ……「外にいる女に頼むんだな」》
《「あなたは彼女と知り合いなんでしょう? 口ぞえしてもらえない? わたしはただ、主人に電話がしたいだけなの。そして娘と話がしたいの。そんなに大変なことを頼んでいるわけじゃないわ。ちがう? こうして協力しているじゃないの。いわれたことは全部、やっているわ」》
(このあと、女性の弱みにつけこんで、「クィン」はスケベ方面に……そして女性反撃。)
《……「あんたなんか怖くないのよ」歯の隙間からしぼり出すようにしていった。「あんたたちは娘を人質にしているかもしれない。でもわたしはあんたなんか怖くないの。わかった?」》

pp. 187-188: 主人公(元IRAメンバー)と、彼女に作業をさせるために拉致した勢力の一員である女の会話。
《(主人公)「混乱させることが目的ならば、爆弾をしかけるだけで、おなじ効果を得られることがあるのよ。それが、あらかじめ警告する目的なの。一般市民を避難させて、当局を拘束する。実際にはだれの命を奪うこともなく、目的が果たせる」》
《(拉致側の女)「それじゃあ、わたしたちの目的もそれかもしれないわね。そういえば、あなたは安心するわけ?」》
《「わたしをからかっているのね」》
《「わたしになんていってほしいの、アンドレア? あなたにこちらの計画を話すとでも思うの? そんなことをする理由がある?」》
《「あなたは考えてみたの? ……いったいどういうことになるか、考えてみた? あなたたちの目的がなにかは知らないけれど、絶対に無事じゃすまないわよ。オマーの爆発の結果がどうなったか見てごらんなさいよ……」》

【出典】

  1. ジャック・ヒギンズ、菊池光訳、『テロリストに薔薇を』、昭和59年、早川書房
  2. スティーブン・レザー、田辺千幸訳、『ロンドン爆破まで九日間』、2005年、ランダムハウス講談社
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

「翻訳された女」の言葉の実例。芸能人のインタビュー編。 エマ・ワトソン(1990年生まれ) http://www.cinematoday.jp/page/A0002976 《みんなに同じことを聞かれるけど、そのことにつ… (cont) http://deck.ly/~TIZNt

2011-07-28 14:49:08

「翻訳された女」の言葉の実例。芸能人のインタビュー編。

エマ・ワトソン(1990年生まれ)
http://www.cinematoday.jp/page/A0002976
《みんなに同じことを聞かれるけど、そのことについてはまったく心配してないわ。ハーマイオニーは素晴らしいキャラクターよ。本当に、誰にも忘れてほしくない。》

《忘れ去られる女優は哀れだから、覚えていてもらえるのはうれしいと思うわ。それに、わたしはまだ成長もしているし、外見も変わっていく。すでに女優として完成しているわけではないものね。ものを知らないだけかもしれないけど、そのことについては本当に心配していないの。》

比較対照として「翻訳されていない女」の言葉の実例。

沢尻エリカ(1986年生まれ)
http://www.cinematoday.jp/page/A0001183
《もともとホラー映画は好きだったので、うれしかったです。怖いの平気なんです。キャーキャー言いながら観ちゃうんですよね! だから、ホラー映画は「やってみたい!」って思っていました。》

《ほんとに「わたし女優よっ!」なんて思ってないし……。でも、芝居することは大好き! 脚本を読んで、自分の中でイメージを膨らませて、それを現場に持って行って、さらに作り上げていく。そういう“作る”という作業がすごく好きなんです。》

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2005年の小説はちょっと微妙なのですが(引用しなかった箇所で、政府当局の「女性」が「なの・だわ」満載で、読んでて疲れます)、昭和59年の小説は、そのときのその人の心理や感情、人となり、対話相手との関係を描写するための「おんな言葉」(対人関係上距離のある相手には「~なの」語尾は使わない、など)であるように見受けられます。

一方でスターのインタビューは、だいたい同世代で、翻訳されてない人は「うれしかったです」、翻訳された人は「うれしいと思うわ」(なぜ「うれしいです」、「うれしいと思います」ではないのだろう)。(「うれしく思います」だと今度は皇族みたいになるが。)もうただの惰性だろうとしか思えない。

Sakino Takahashi @sakinotk

@nofrills こういうのを読んで育ってきたのだなぁ、とつくづく思います。根は深いですね。

2011-07-28 14:54:26
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

少し補足すると、ヒギンズのこの作品の「戦場カメラマン」のアン=マリィはフランスの富豪の娘で、この米兵と恋愛関係になります。レザーの作品のほうは、読んでて「デス妻」見てるような気分になりました。女2人が作ってるのはケーキじゃなくて爆弾なんですが…。 @sakinotk

2011-07-28 14:58:37
Sakino Takahashi @sakinotk

@nofrills 富豪の娘の戦場カメラマンと、爆弾製造現場ですか。フィクションのリアリティというのも、複雑なんですね。

2011-07-28 15:05:38

「~かしら」をめぐって:

卯月 望 @nozomi_uduki

@ankes7 @nofrills @kaoruo おとこのひとの「かしら」はいいですね。やわらかい感じ。

2011-07-28 15:01:52
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

水谷豊が使っても、柳沢慎吾は使わない感じ(例は思いつき)。RT @nozomi_uduki: @ankes7 @nofrills @kaoruo おとこのひとの「かしら」はいいですね。やわらかい感じ。

2011-07-28 15:07:30
卯月 望 @nozomi_uduki

@nofrills 柳沢慎吾は確かに使うべきでない感じw @ankes7 @kaoruo

2011-07-28 15:09:48
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

「べきでない」w 確かに、彼のパワーで何か別物にされてしまいますね。思いつきの例とはいえ、お騒がせしましたw RT @nozomi_uduki: @nofrills 柳沢慎吾は確かに使うべきでない感じw @ankes7 @kaoruo

2011-07-28 15:17:14
nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など @nofrills

英語教材でwonder if ~ に「~かしらと思う」という訳語が当てられていて、高校生男子が違和感覚えまくって文法覚えないという問題が発生したことが(笑) RT @yukiko419: …以前には、山の手おぼっちゃま育ちの年配の男性も、身近で遣われてました。 @kaoruo

2011-07-28 15:04:44

関連~「なでしこ報道」について:

kurumayuri @kurumayuri

♀からみてもキモチワルイ(違和感満載) QT @nofrills "なでしこ報道で露呈した“ニッポン”の未熟な女性観 " …こんな記事でまで、翻訳された「女性」は無条件に「だから、私は言ったわ」文体とか、もうね…。 ht… (cont) http://deck.ly/~lyqCW

2011-07-28 15:04:45
喜八 (Kihachi) 🐈‍⬛🌈🐕 @kihachin

男性のわたしが読んでもキモチワルイ(違和感満載)です…(^^; RT @kurumayuri : ♀からみてもキモチワルイ(違和感満載) QT @nofrills "なでしこ報道で露呈した“ニッポン”の未熟な女性観 " http://t.co/Yt5Ol7d

2011-07-28 15:07:52
沼崎一郎 @Ichy_Numa

未熟なんじゃなくて、露骨に性差別的なだけだろ。 なでしこ報道で露呈した“ニッポン”の未熟な女性観:日経ビジネスオンライン http://nkbp.jp/mPpkNE

2011-07-28 13:05:24
TrinityNYC @TrinityNYC

女性だけが虐げられてるんじゃない、とかじゃなくてさ、女性が声はりあげて「不愉快だ!嫌だ!」と言ってることを繰り返し繰り返し敢えてやるから、10年でも20年でも、同じ話が出てくるんだよ。何度言われても学ばないボンクラ低能相手にこっちがやれることは、何度でも同じこと言うしかないべ。

2011-07-28 10:22:55
まとめ とあるワイドショー、ワールドカップ最優秀選手のご母堂に「料理は? 結婚は?」と質問するなど。 ワールドカップで優勝したこと、彼女が大会最優秀選手に選ばれたこと(すごい!)によるインタビューで、「料理が上手いなら、いいお嫁さんになりますね」。 ……お見合いでもするんか。 自分でもこの話題に触れたら大きな反響だったので、Togetterしておくことにしました。検索結果はTogetterの限界の40ページ以上でしたが(このため、18日夕方までのツイートが拾えていない)、その大半が、午前中にツイートされた数件のRTでした。 23430 pv 296 63 users 10