「ひとりごちる」という現代語はあるのか、ツイッターでの論議に日本語学者・飯間先生のご意見

276
ゆいな @finefinefine000

「ひとりごちる」って割と一般的な言い回しというか、小説読んでれば普通に出てくる表現だよな…………(宇宙猫フェイス)

2021-03-13 11:41:41
くろの @kurononbiri

『「ひとりごつ」が造語』というところからまず崩すべきでは? pic.twitter.com/IIyFELUXOG

2021-03-13 13:34:40
拡大
拡大
くろの @kurononbiri

継続調査 ・ひとりごつは現代においてあまり使用されない語であることは確かだが継続して使われてきた語 ・「ひとりごちた」はひとりごつの連用形+過去の助動詞、「ひとりごちる」は辞書には載っていない。造語というよりは誤用か(誤用と載せている辞書もあった) twitter.com/kurononbiri/st…

2021-03-13 16:41:51
くろの @kurononbiri

現代日本語書き言葉均衡コーパス少納言で検索すると「ひとりごちる」用例は赤川次郎など8例、連用形「ひとりごち-」は27例、終止形「ひとりごつ」は1例。連用形での使用が一般的であるため、ひとりごちるが一般化しつつあるということかな。ただ、辞書に登録されるほどの用例がないということか。

2021-03-13 16:53:53
ごんぎつね @9Kywz29Vjwb2cn1

@M0NI0 えーっ!ひとりごちるって誤用なの? よく見る表現だったから前後の文脈から帰納的に理解していたつもりだったんだけど、「作中屈指のハンサムがタバコくゆらせながら呟く一言」って意味じゃないの?

2021-03-13 15:06:45
しょ🦄 @angel_f_cake

ひとりごちるを古語って言われたら困惑します。ひとりごちる使う。

2021-03-13 16:18:32
ゆっけ @Yukke_1022

ひとりごちる、でインテリ気取りとかいうdis受けるの、「うーん!隔絶!解散!」て大の字に寝転んだ

2021-03-13 12:01:29
そらち @h_sorachi

ひとりごちる、はそのうち飯間先生が解説してくれるんじゃないかなってひとりで勝手に期待してる

2021-03-13 19:15:17
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

1967年10月21日、香川県高松市生まれ。国語辞典編纂者(出版社社員ではありません)。『三省堂国語辞典』編集委員。著書『日本語はこわくない』PHP、『日本語をもっとつかまえろ!』毎日新聞出版、『知っておくと役立つ 街の変な日本語』朝日新書、『ことばハンター』ポプラ社 他。『気持ちを表すことばの辞典』ナツメ社 も監修。

asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「ひとりごちる」という現代語があるかどうか、ツイッターで話題になり、飯間の意見が聞きたいという声もあります。私の率直な感想としては「文章語としては、まあまあ使うのでは」というところです。すでに解説があるかもしれませんが、私なりに説明してみます。〔続く〕

2021-03-14 02:45:28
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

ことの経緯はこうです。まず、「ひとりごちる」は古語であり、「現代の辞書には載ってない」というツイートがあった。さらに「厳密には古語は『ひとりごつ』で、『ひとりごちる』は最近作られた造語らしい」と補足された。それに対し「そんなはずはない」という意見があがった、と。〔続く〕

2021-03-14 02:45:38
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

辞書編集者の神永曉さんも以前、「ひとりごちる」という語形はあるかと疑い、国語辞典に載っていたことに衝撃を受けたと言います。神永さんでさえそうなのだから、「ひとりごちる」に違和感を持つ人は多いのかもしれません。〔続く〕japanknowledge.com/articles/blogn…

2021-03-14 02:45:51
リンク JapanKnowledge 日本語、どうでしょう?:ジャパンナレッジ~「ひとりごちる」という語は存在するか?~ 辞書編集ひとすじの著者がおくる、知れば楽しくなることばのお話。間違いやすい日本語、意外な語源、うつくしい季節のことばなどをわかりやすく解説。あなたの日本語力を高めます。 3 users 33
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

神永さんは、尾崎紅葉「多情多恨」にある「独語(ひとりご)ちたので」という例も「ひとりごつ」の連用形と解しています。でも、「ひとりごつ」の連用形なら、「勝つ―勝った」と同様「ひとりごった」になるはず。「ひとりごちた」は「ひとりごちる」の例で、すでに明治時代にはあったのです。〔続く〕

2021-03-14 02:46:01
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

明治文学では古すぎるので、戦後文学から「ひとりごちる」の例を拾ってみましょう。▽遠藤周作「沈黙」(1966)〈わざと私に聞えるように一人ごち、〉▽筒井康隆「俗物図鑑」(1972)〈〔……〕と、享介がひとりごちた〉▽中上健次・重力の都(1981)〈運のめぐり合わせだと独りごちた〉〔続く〕

2021-03-14 02:46:13
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

▽山田詠美「快楽の動詞」(1992)〈別の言葉について考えようとひとりごちる私であった〉▽水上勉「茄子の花」(1993)〈私のひとりごちる言葉が〉▽小林信彦「イーストサイド・ワルツ」(1994)〈(まさか……)と私は独りごちた〉――これらはすべて「ひとりごちる」の例と考えられます。〔続く〕

2021-03-14 02:46:27
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

『三省堂国語辞典』では、「独りごちる」を、1974年の第2版から載せています。すでに使われていることばでも、辞書が収録し忘れているということはしばしばあるのですが、この「独りごちる」もそのひとつだったと言えるでしょう。〔続く〕 pic.twitter.com/YaGxyX0tbJ

2021-03-14 02:46:54
拡大
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

ちなみに、「ひとりごつ」のような五段活用(古文では四段活用)と、「ひとりごちる」のような一段活用が、互いに変化する例は多くあります。「足る」と「足りる」、「済ます」と「済ませる」、「任せる」と「任す」など。現象としてはさほど珍しくないことなのです。〔続く〕

2021-03-14 02:47:06
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

新聞でも、この1年の全国紙の使用例を見るかぎり、「ひとりごちる」は、ぱらぱら使われています。結論として、このことばは文学などでも現に使われていて、辞書に載っておかしくない。多くの辞書が、この語を収録し、解説するようになれば、人々は安心するでしょう。

2021-03-14 02:47:28
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

補足訂正です。先ほどの遠藤周作「沈黙」の例は、「一人ごち、」と後に何も助詞がつかないので、「勝ち、」と同様に五段活用かもしれず、「ひとりごつ」の可能性もあります。この例は除外しておきます。ただし、古文でない使用例ではあるわけです。

2021-03-14 02:51:54
いー @moooo9216

ひとりごちる、確かに口語では使わないけど文章語としてはよく使うイメージ。辞書になかったりするのか。へえ

2021-03-14 06:38:04
シュナ @chounamoul

ひとりごちる、「ひとりごと」の語末母音とって「iる」つけて動詞化するとかいうめちゃくちゃ汎用性高そうなことやってるわりに仲間がいないのが昔から不審だった。それやって良いなら「寝ごちる」「泣きごちる」とかあっても良さそうなのに

2021-03-14 07:00:56
☆彡grico @hoshigrico

「ひとりごちる」は、頻繁に目にはしないけども標準に存在する言葉だという認識でいたので、このような話題があったことに驚いた。それだけ目に触れる機会が減っていった言葉であるのかも。

2021-03-14 07:41:03
しんしあ@オケコン最高でした! @pichi0903

噂の「ひとりごちる」 件のツイート見て、えーないんだ!知らなかった! そういえば私も使っていた気をつけよ!とか思っていたので、やっぱりTwitterの情報はちゃんと裏取らないとダメねと反省した次第。 でも、その方も調べたと書いてたよね。いやいや、自分で調べなきゃね。

2021-03-14 07:44:14
taro @taro18329165

ひとりごちる、バズっててほうほう🤔 こんなに認知されてるんなら、いんじゃねってなった。 こういう話題あると良くも悪くも足元を確認する作業になって良いわ。

2021-03-14 07:10:31