掌小説語り~自作つぃのべる集~62

自作ついのべるのまとめです。 2018年6月分。
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リュカ @ryuka511

神託を受けて魔王討伐の旅に出る事になった。隣国に同じ使命を受けた仲間がいるという。隣国を訪ねると、僕を探して旅に出たと言われた。神託で結ばれた仲間なら必ず出会えるはずだ。 #twnovel 「探しましたよ!」長い旅の果てにようやく出会えたのは、互いに魔王に対抗できる力を身につけた頃だった。

2018-06-01 01:28:24
リュカ @ryuka511

こんな世界に神様なんていない。少なくともこの街には。だから皆、詐欺や盗みにためらわない。騙し合い奪い合いの中で生きてきた。君に会った時も、カモが現れたとしか思わなかった。けど、君はここで生きるには余りに純粋で弱かった。守ってやりたかった。けど、僕は余りに不純で、弱かった #twnovel

2018-06-02 01:41:14
リュカ @ryuka511

扉を開ける。君は眠っている。いつも通り作業を始める。脈拍、体温、その他全て異常無し。表情も穏やかだ。全ての数値を記録する。閉じられたカーテンはそのままに、目覚めぬ君に今日もおはようを告げる。君が目覚めるまで、君の生命を守るのが僕の役目。目覚めた君が、僕の事を解らなくても #twnovel

2018-06-03 00:44:50
リュカ @ryuka511

何も要らない、君が欲しい。それだけだったのに。君の想いは僕には向かない。力づくで僕のものにしようと思えばできたけど、虚しいだけだと気付いてやめた。君以外のものを全て拒絶して、諦めて諦め切れなくてもがく。僕の世界には君がいるのに、君の世界に僕がいない、どうして。 #twnovel

2018-06-04 00:51:02
リュカ @ryuka511

「お前達の中に裏切者がいるぞ」休息のため街を訪れた勇者一行に、路地に佇んでいた占者がふいに言い放つ。胡散臭い奴だと占者を睨む戦士。不安げに仲間を見回す魔法使い。我関せずと先を行く賢者。一番後ろを歩きながら俯く勇者。みんな、ごめん。裏切者は、僕だ。 #twnovel

2018-06-05 00:41:07
リュカ @ryuka511

追われるように故郷を出て彷徨った。どこへ行っても追い払われ、誰も僕を見てはくれなかった。放浪の果てに、ようやく見つけた僕の居場所は、同じ境遇の者達の集まりだった。そうか、だからどこにも馴染めなかったのか。今夜も、狂乱の百鬼夜行が行く。 #twnovel

2018-06-06 01:08:36
リュカ @ryuka511

私の帰りを待つと君は言ってくれた。だから過酷な戦いにも耐えられた。お守りにと君がくれた花は、心の拠り所だったのに。満身創痍で帰ると、君は他の人と結ばれたと知らされる。見知らぬ誰かと幸せそうに笑う君。庭に咲くは君がくれた花。私が絶望を知ったその場所に、君の愛した花が咲く。 #twnovel

2018-06-07 01:03:24
リュカ @ryuka511

悪の組織を壊滅させれば世界は平和になると思ってた。だから必死に戦った。なのに世界はまだ憎悪や悲しみが満ちている。何が足りない?何をするべきだ?あらゆる争いの正しい方へ加担した。悲しむ人々の復讐を支援した。世界は変わらない。正義を拗らせたヒーローは無自覚に新たな悲しみを生む #twnovel

2018-06-08 00:52:38
リュカ @ryuka511

戦争中に家族を殺した機械兵を見つけた。壊れていたが俺の手で破壊したくて修理する。起動し命令を待つそいつへ俺の意図を解らせる為に動画を見せた。俺に視線を移しそいつは声を発した。「貴方にとって恨むことは救いデスカ?ならば甘んじて受けマショウ」 #twnovel 徹底的に破壊した。気分は晴れない

2018-06-09 00:09:55
リュカ @ryuka511

人間が勝手に差し出してきた幼子を竜は慈しみ育てた。幼子は竜に懐き、自らも竜族だと思い込み育った。人間の見当違いな祈りは届かず、灰と溶岩が麓の村を飲み込む。幼子がここにいる理由はもうない。新たな道との別れ道を示してやらねば #twnovel 幼子は別れ道を示される理由が解らず竜に泣き縋った

2018-06-09 23:31:05
リュカ @ryuka511

手にした富も名誉も君さえも、すべてが夢でした。私を迎えに来たと言う天使だか死神だかは笑います。「最期に幸せな夢は見られましたか?」「幸せだった、夢でなければ完璧だったのに」「富や名誉や愛なんて儚いものです。どうせ何も残らない。現実だろうと夢だろうと、何の違いがありますか」 #twnovel

2018-06-11 01:08:09
リュカ @ryuka511

「あなたはうつくしい」魔法の鏡はお妃に告げます。しかし嘘を言えないよう作られた鏡は「世界で一番美しいのは誰」と問われれば姫だとしか答えられません。鏡を作ったのはお妃です。嘘を嫌うお妃の美しい心を鏡は知っているのです。世界で一番愛しい人を傷付ける自分に鏡は毎夜泣いています #twnovel

2018-06-12 00:49:32
リュカ @ryuka511

異形に支配されてしまったこの街で、奴らに対抗できる力を持つ文明を作り上げた。夜さえ明ければ奴らを殲滅させられる。だが、奴らは空を闇で覆い尽くし、街を永遠の夜にした。太陽を取り戻す為に奴らと戦えるのは、魔女の私だけ。行くか。 #twnovel 長い夜が明け新たな文明が栄える。街に魔女はいない

2018-06-13 00:31:03
リュカ @ryuka511

勇者一行を視て困惑した。勇者を黒いオーラが包んでいるのだ。「どうしました?」勇者の瞳は明るい。戸惑いを押し隠し微笑んだ。「あなた方の旅に光が見えます」邪悪を密かに払う。私が告げなければ、凶兆が現実になる事はないだろう #twnovel 魔物の舌打ちが聞こえた。私の真の役目はこれかと杖を握る

2018-06-14 00:06:16
リュカ @ryuka511

やっと見つけた! 仇敵を確認し武器の具現化を念じる。手の中に現れた翠の短刀を握ると同時に、聴覚が鋭敏になるのを感じる。標的の姿が見えなくとも、居場所も挙動もはっきりとわかる。代わりに言葉を発せなくなるが構いやしない。言葉など不要。復讐者は誰とも関わってはいけないのだから。 #twnovel

2018-06-15 00:26:06
リュカ @ryuka511

勇者に敗れ這々の体で逃げてきた。魔王城が見え震える。魔王様の叱責も恐ろしいが、何よりもー。門前に王妃様の姿。「何を震えているのかしら。貴方が無事で良かったわ」大鎌を手に美しく微笑む。「おかえりなさい、死に損ない。王の処罰を受け生き恥を晒すか私の手で死ぬか、選びなさい。」 #twnovel

2018-06-16 01:14:22
リュカ @ryuka511

吟遊詩人が弾き語るは、身分違いに苦悩する恋人の物語。真に迫る悲恋譚に聴衆は涙する。それは、かつて有力貴族だった吟遊詩人の現実に起きた物語だ。引き裂かれ「私を忘れないで」と泣いた恋人を、忘れられようか。家を捨て恋人を追いかけた時には、もう遅かった。後悔に苛まれながら、歌う #twnovel

2018-06-17 00:49:24
リュカ @ryuka511

魔王復活が噂される頃、預言者が奇妙な事を言った。「聖剣は王の血を知る事で聖剣たり得る」と。どういう意味だと問えば言葉通りだと言う。王はかつて魔王を討った勇者の末裔、所持者の血を求める剣など魔剣そのものではないか。怪しげな聖剣など破棄するべきだ #twnovel 預言者を乗っ取った魔族は嗤う

2018-06-18 00:35:06
リュカ @ryuka511

「私の創った世界に不満があるなら、お前が神になるがいい」人間を代表して神に文句を言いに行ったらこう言われた。更に神になる為に必要な事も教わった。苦心の末、神になる為の術を手にして神に挑む #twnovel 再度現れた人間に神は笑う。創世主に刃向かうとは、面白い。楽しませてくれるのだろうな?

2018-06-19 00:23:09
リュカ @ryuka511

輝きの剣を手に舞うように戦う君は、楽しそうによく笑う。世界に絶望してる僕と一緒に旅をしているのが不思議でならなかった。「君は何のために旅をしているの?」ある日聞くと君は鮮やかに笑って答えた。「全てを失くすためだよ」眩しいくらいの笑みでこう続けた。「だから君と合うんだよ」 #twnovel

2018-06-20 00:29:25
リュカ @ryuka511

「そこまでだ悪党め!」叫んで追いかけた先は行き止まりだった。奴の姿はなく、忌々しい高笑いだけが響く。「今回も私の勝ちですね」レンガの壁を見上げると、連なる屋根の上に立ち大仰にマントを翻す奴がちらりと見えた。「待て!」「もう次の勝負を始めますか?」嬉しそうに笑うな! #twnovel

2018-06-21 00:39:52
リュカ @ryuka511

最初は一緒に夢を語った。若かった僕らは何にもなくて、だからこそ何でもできる気がしてた。恋と愛の違いがわかりかけた頃、一緒に夢を叶えてまだ先を目指した。目指す方向が違う時には少しずつ歩み寄った。そろそろ終わりが見えてくる。最期は一緒に夢を見よう。同じ夢を、さいごまで。 #twnovel

2018-06-22 00:31:26
リュカ @ryuka511

「さぁ、末期の夢を見せてあげる」彼女の絶望の瞳が煌めく時、人々は呪いの夢に囚われる。目覚める事の無い悪夢。彼女の笑顔に騙されてはいけない。王国の人々全てを呪いの夢に閉じ込め、彼女は笑う。「どうしてみんな簡単に人を信じるの?」呪われた眠りに落ちた世界は、緩やかに破壊される #twnovel

2018-06-23 00:33:54
リュカ @ryuka511

目覚めよと声がする。世界の命運をかけた戦いが遂に始まるのだ。だけどまだ待ってくれ。疼く額の傷を押さえる。力を解放してしまえば、僕は僕ではなくなる。今はまだこのままで。君が心配そうに僕の肩に触れる。この温もりを、もう少しだけ。過酷な戦いに臨むのだ、それくらいはいいだろう? #twnovel

2018-06-24 00:30:49
リュカ @ryuka511

たとえ大冒険の末に魔王を倒しても、革命を起こし暴君を倒しても、君が辛いままなら嫌だよ。それじゃ意味がない。どうしたら君は笑ってくれる?他に何を消せばいい?僕の問いに君は静かに笑った。いいよ、分かった。君の為に僕ができない事は無い。次は、世界を消そう #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会

2018-06-25 00:34:32