2021年4月1日

掌小説語り~自作つぃのべる集~75

自作つぃのべるのまとめです。 2019年7月分。
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リュカ @ryuka511

月の綺麗な夜だった。旧校舎の睡蓮の池に、くっきりとその丸い姿を映している。風鈴の音がどこかから聞こえて、あぁ夏だなと思った。使われなくなった旧校舎は、取り壊す目処も立たず放置されている。お陰でここにいられるのだけど。いつの間にか私の存在は、七不思議の一つになっていた。 #twnovel

2019-07-01 00:47:00
リュカ @ryuka511

今宵は氏も素性も仮面で覆い隠し、めくるめく時を。愛しいお方に気づいても、恨めしい輩を見つけても、今宵は何も言いっこなし。さぁ、ワルツの始まりだ。舞踏のリードに酔いしれようと、美しき仮面越しにキスしようと夢は夢。お開きの鐘が鳴っても、ガラスの靴など残してはなりませんよ? #twnovel

2019-07-01 23:49:55
リュカ @ryuka511

王宮にある白薔薇の庭園に赴きほっと息をもらす。次期国王として期待と重責を負い、縁談は国益が重視される。仕方のない事とは言え、暗澹たる想いに包まれていた。「お疲れでございますか?」「少しね」幼い頃から慕う老庭師が育てた白薔薇と彼の微笑は、王女が心から安らげる唯一のものである #twnovel

2019-07-02 23:45:38
リュカ @ryuka511

永遠の命が欲しいんだね。覚悟はいいかな?じゃあ、やるよ。そうそう、知っているかい?メビウスの輪は一度切らないと作れない。つまり、一度終わらせないと永遠は訪れないのさ。……って、もう聞こえないか。そこまでして永遠の命が欲しいのかな。上手く繋ぎ直せるといいねぇ。 #twnovel

2019-07-04 00:45:41
リュカ @ryuka511

旅慣れてくると、この喧騒も心地良いものになってくる。酔客の喧嘩を仲裁する店主の怒声。聴き手がいようといまいと御構い無しな旅芸人の陽気な演奏。肉の焼けるいかにも旨そうな音と匂い。見知らぬ者同士交わされるグラスが鳴る。街から街へさすらう浮き草のような自分が、心安らげる場所だ #twnovel

2019-07-04 23:29:04
リュカ @ryuka511

家族の復讐を誓い魔王討伐の旅をしていた。野宿にも慣れた頃、悪魔が現れ家族を蘇生させてやると言う。魔王の手先かと警戒したが悪魔と魔族は別物だと主張する。悪魔は希望を貪るもの、戦いは好まないと。魔王相手に独りで戦うは辛かろう、楽になれるぞと言う #twnovel 魔族よりタチが悪いと斬り捨てた

2019-07-05 23:52:45
リュカ @ryuka511

数多の船が行き交う運河に波を立てない船を見つけたら、その行方を追ってはいけない。それは此岸の河の流れを借りて、彼岸へ向かう船だから。その船にはもしかしたら懐かしい顔が見えるかもしれない。だが静かに見送らなくてはならない。追っても決して同じ場所へはたどり着けないのだから。 #twnovel

2019-07-07 01:13:37
リュカ @ryuka511

無知の幸福、私が過ごした幼い日々はそういうものだったのだろう。王位を継ぎ民衆の暮らしぶりに愕然となった。父上は、母上は、今まで何をしていたのだろう。王族とその臣下だけが豊かでは意味が無い。変えなくては #twnovel だがもう手遅れだった。断頭台の前。王家を憎む民衆に、私の想いは届かない

2019-07-08 01:19:45
リュカ @ryuka511

死に最も近いあなたの隣にいるにもかかわらず、私に死は訪れない。鎌を研ぐ細く白い手、黒いフードの奥に光る二対の赤。絶望の果てに、あなたを見つけた。やっと救われると、あなたに希望を見出したのに、なぜ。 #twnovel 希望を見出したのなら、俺の出番は無い。俺の隣にいていいから、生きろ。

2019-07-08 23:02:11
リュカ @ryuka511

不審な死を遂げた領主。跡継ぎの息子も不慮の事故で死んだ。領民は横暴な領主の血が絶えた事を密かに安堵する。天罰はあるのだと囁き合う。だが役人はそうは考えなかった。さてそろそろ俺は裁かれるらしい。俺は神ではないから当然の事 #twnovel 俺を裁いた役人が不審な死を遂げた。これは天罰か義憤か

2019-07-10 00:41:53
リュカ @ryuka511

ある少年を村で匿った。彼は魔王を討つ救世の勇者と言われ、世界中が彼に期待を寄せているらしい。村へ魔王軍が侵攻し、彼は申し訳なさそうに自分のせいだと言った。「ここは魔王城のすぐ傍、君が居なくても何も変わらないさ」#twnovel 頼むよ、ごまかされてくれ。我々は魔王軍に従属すると決めたのだ

2019-07-10 23:58:39
リュカ @ryuka511

貴方の考えなどお見通しですよ。知らぬふりで、貴方の策略に乗って差し上げるのです。さて、グラスは2つ。貴方が用意した毒は1つ分。でも毒入りグラスは、どちらか1つとは限らないのですよ。さぁ、貴方もご一緒に、毒を煽って嗤いましょう? #twnovel

2019-07-11 21:38:56
リュカ @ryuka511

会いたいと願えばいつでも君はそこにいた。青い空から、荒れた野原から、まるでそこにいるかのように、君は舞い降りる。完成した絵に、君は笑顔で佇んでいる。君がもういないなんて、嘘なんだろう? こんなに鮮やかに、君はキャンバスの中にいるのに、現実にはいないなんておかしいじゃないか #twnovel

2019-07-13 01:08:58
リュカ @ryuka511

女王は命を狙われていた。善政を敷き民衆に慕われる賢帝は、良からぬ企みを抱く者には邪魔な存在だった。忠臣を装うその者の正体を、女王は知っている。幾度も謀略や凶行を跳ね除け、文も武も立つ所を見せつけた。「私は恐れない」女王は凛と立つ。守るべき者の前に、彼女に恐れるものはない #twnovel

2019-07-14 01:06:13
リュカ @ryuka511

「師匠に勝ったら、師匠の杖を下さい!」杖を構える弟子に、逞しくなったものだと微笑む。だが、私の杖を特別なものだと思っている辺り、まだまだ未熟。この杖は子供の頃から使っている玩具だ。私だからこの杖で力を発揮できる。見た目で物事を判断していると、痛い目を見ると知るいい機会だ #twnvday

2019-07-15 00:27:44
リュカ @ryuka511

黎明が告げる夜の終わりが迫っていた。夜の闇に生きる我々にとって、忌々しい事この上ない時間だ。光が世界を覆う前に、その光に焼かれぬ場所を確保せねばならない。光を待つ者が目覚める。闇に焦がれ光を厭う者、光を愛しみ闇を恐れる者。世界を共有していながら、同じ世界を見る事は無い #twnovel

2019-07-16 00:23:49
リュカ @ryuka511

旧校舎の音楽室からピアノの音が聞こえる。少年は廊下で密かにそれを聞いていた。誰が弾いているのかは知らない。上手いのかどうかも判断できないが、その演奏に少年は惹かれていた #twnovel 少女は少年が自分の演奏を聞いている事を知って嬉しく思った。使われなくなった旧校舎。昼休みの喧騒は遠い。

2019-07-17 00:06:30
リュカ @ryuka511

貴方がくれたのは、白バラにインクを吸わせた青いバラの花束だった。深い青のバラは美しいけれど、違和感しか無かった。「青いバラの花言葉を知っているかい?」そう言って得意げな顔を私に向ける。「えぇ、もちろん」頷いて貴方を見据えた。「不可能、でしょ」貴方が私の心を得ることと同じだ #twnovel

2019-07-18 00:49:11
リュカ @ryuka511

「姫様、無茶です!」「何が!」鎧を纏う姫を大臣は渋々手伝う。「また囚われますよ」「同じ轍は踏まないわ」魔王に囚われた姫を救った青年が、魔王と戦い苦戦していると聞き、姫は立ち上がる。魔王が脅威に感じ封じようとした力を、役立てる時だ。「彼は私を助けてくれた、今度は私が助ける!」 #twnovel

2019-07-18 23:25:08
リュカ @ryuka511

世界は私達の愛を許しませんでした。貴方は悲しみに暮れながら私を封印し、貴方も姿を消しました。あれからちょうど千年。私は変わらず貴方を千年間愛していました。貴方はどこにいますか? 世界がまだ私達の愛を許さないのなら、貴方もこちらへ来て、こんな世界など滅しましょう、私の勇者殿 #twnovel

2019-07-19 22:44:05
リュカ @ryuka511

悲願を達成するのに犠牲はつきものだと父は言った。上に立つ者はそれを背負う覚悟が必要だとも。私に希望を託して戦い死んで行った者達。屍となった彼らの希望の重みに震える。それでも屍を越えて行けと、お前なら私をも越えて悲願を果たせると、父の最期の言葉を胸に剣をとる。「私に続け!」 #twnovel

2019-07-21 00:35:12
リュカ @ryuka511

魔王城は切り立った崖の上だ。最終決戦。君は剣を躱し崖から落ちた。崖は深い闇と瘴気で底が見えない。慌てて追うが断崖を疾駆する獣の脚をもってしても、君を見つけられなかった。呆気ない決着に呆然と佇む勇者。「王を探せ!こんな風に終わる方ではない!」「あぁ。僕もこんな終わりは嫌だ」 #twnovel

2019-07-22 00:16:09
リュカ @ryuka511

行かないでと素直に言えたら良かったのに。魔王軍との戦いに挑んだ国王軍は全滅、王国は魔王の支配下に置かれる事になった。恐ろしい目に遭うのを覚悟していたが、従順でさえいれば、存外平穏な日々を過ごせている。彼らの戦いは何だったのだろう。望んで志願した彼の想いは、私には解らない #twnovel

2019-07-22 23:23:36
リュカ @ryuka511

手に入れたものが、手の中からさらさら、と消え去っていく。最初から無かったかのように、あるいは手の平に大きく傷を残して。大事に大事に包んで、大事にし過ぎてこの手で握り潰してしまったのだ。大事なものを失って泣く資格は自分に無い。大事にしていたものを、この手で苦しめたのだから #twnovel

2019-07-23 23:29:10
リュカ @ryuka511

恋多き人、世間は私をそう呼んだ。華やかで波乱に富んだ人生ではあった。恋愛は人生の墓場であると、その終わりを控え思う。多くの恋をした。燃えるような一瞬の恋も、静謐で誠実な恋も。忘れがたい思い出、だがそれは墓地に並ぶ墓碑のよう。どれとして実らなかった。最期の日はきっと独り。 #twnovel

2019-07-24 23:40:39
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