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2021年4月以降、英語のだいたい新刊ノンフィクションを読んでみた記録
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Marcia Catelain著「Franchise: The Golden Arches in Black America」 amazon.co.jp/dp/1631498703/ マクドナルドをはじめとするファストフードレストランと20世紀後半以降の黒人コミュニティの複雑な関係についての本。公民権運動が一定の成果を出したあと指導者の相次ぐ暗殺などにより行き詰まり、…
2021-05-10 19:53:07![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…ブラックナショナリズム、そしてそれらへの応答として生まれた(そしてニクソンによって奨励された)ブラックキャピタリズムの思想——起業を通して黒人の富を創造しコミュニティの自立を目指す立場——、暴動などの結果、白人が逃避し荒廃したインナーシティの立て直しを図る政府、そして…
2021-05-10 19:53:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…白人経営者が店を開こうとしない地域でも利益を得たいマクドナルドなどフランチャイズ方式の企業の利害などが複雑に絡み合った結果、黒人がフランチャイジーとして黒人コミュニティで経営するファストフード店が展開された。白人の多い地域では黒人経営者は開店を許されないなど差別があったり、…
2021-05-10 19:53:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…黒人が開店できる地域は治安が悪かったり保険料が高かったりと悪条件があるなか、それらの店舗はコミュニティセンターとしての機能を担いつつ、白人コミュニティの店舗より高い利益を出すところもあった。しかしそうした成功例がある一方、…
2021-05-10 19:53:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…フランチャイズ本社が利益の大半を持っていってしまう構図は変わらないし、新鮮な食料品が手に入るスーパーなどがない地域においてファストフードは黒人コミュニティの健康危機の原因と名指しされるなどの問題は解決できない。…
2021-05-10 19:53:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…黒人フランチャイジーの提案を受けてマクドナルド本社がチキンサンドイッチをメニューに加えるも、骨無しのチキンとマヨネーズとレタス合わせるレシピが黒人コミュニティの失笑を買ったみたいな、マクドナルドが黒人を消費者として狙いつつ思い切り外すエピソードが個人的にはおもしろかった。
2021-05-10 19:53:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
Hannah Fry著「Hello World: How to be Human in the Age of the Machine」 amazon.co.jp/dp/B0785PY2Q4/ わたしがこれまでにも紹介してきたビッグデータやアルゴリズムの社会的影響系の本。最近別の本で読んだ自動運転技術の話も出てきた。類書と比べての利点はとにかく短いことかも。
2021-05-16 02:46:00![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
Richard Rothstein著「The Color of Law: A Forgotten History of How Our Government Segregated America」 amazon.co.jp/dp/1631494538/ しばらく前から読もうと思いつつ忘れてたけど、最近「Franchise」を読んで思い出したので読んだ。人種による住居の棲み分け、とくに黒人と白人の住居隔離が、…
2021-05-16 03:01:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…双方の自主的な棲み分けや、あるいは経済的格差によって自然に生まれた結果ではなく、連邦政府や自治体の積極的な介入によって生み出されたものであることが、これでもかと例示されている。わたしがよく知っているポートランドやシアトルについてもさらに学ぶことができた。…
2021-05-16 03:01:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…最高裁の判例では、住居の人種隔離は政府の政策によって生まれたものではなく民間の差別や経済格差によって生まれたものなので、積極的に是正する責任は政府にはない、とされている。著者はその判例が事実誤認に基づいているとして説得的に反論。…
2021-05-16 03:01:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…法律や政府の規則によって人種によって入居できる地域が決められたような例も多数あるけど、そういった直接的なものに限らずとも、たとえば黒人の入居を認めないような民間の契約を裁判所が有効と認めて強制執行するなど、人種隔離に対する政府の直接の責任は明らかだと。…
2021-05-16 03:01:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…人種隔離政策は20世紀後半になって撤廃されていったけど、戦後の住宅ブーム、白人専用に作られた郊外の発達、そしてそれらを元にした中流家庭の住居所有と資産形成から黒人社会は排除されてしまった。それは現在に至るまで、取り返しのつかない経済的・社会的格差として影響を残している。…
2021-05-16 03:01:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…住居の隔離とそれによる経済格差は政府の一貫した不法行為によって生み出されたものなので、同じくらいアグレッシヴな是正措置を取るべきだ、という著者の主張に納得。奴隷制から続く政府の不法行為に対する賠償の方法を真剣に検討すべき。
2021-05-16 03:01:10![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
Larry Krasner著「For the People: A Story of Justice and Power」 amazon.co.jp/dp/0593132920/ 2017年の選挙で初当選し、今日の民主党予備選に勝利したことで再選をほぼ確実にしたフィラデルフィア検事の本。先月出版されて、選挙までに読むつもりだったけど選挙当日になってしまった。…
2021-05-19 13:42:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…クラスナー検事はこの数年全国で増えてきている改革派検事の一人。改革派検事については以前紹介したEmily Bazelon著「Charged: The New Movement to Transform American Prosecution and End Mass Incarceration」 twitter.com/emigrl/status/… 参照。…
2021-05-19 13:42:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
Emily Bazelonの去年の本「Charged: The New Movement to Transform American Prosecution and End Mass Incarceration」読みはじめたうに。米国での80年台以降の急速な刑務所人口の増加の裏で進行してきた検察の自由裁量権の拡大とその濫用を抑止するメカニズムの欠如を指摘しつつ、…
2020-01-25 12:03:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…ACT-UP、オキュパイ、BLMなどの運動を守る活動や人種差別的な刑事司法制度によって不当に扱われている刑事被告人らの弁護活動の経験から、刑事司法制度を改革するには検察を変えなければいけないと確信して市検事長に立候補、それまで検事選挙に関心がなかった層の動員に成功して当選。…
2021-05-19 13:42:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…前回の選挙では汚職により再選を断念した現職の後任を狙って多くの候補が立候補したなかうまく勝ち上がったけど、今回は現職として「検察改革によって犯罪が増えた」と批判する守旧派の元検察官と一騎打ちで戦うことになり、大手メディアもその論調だったので心配したけど、終わってみれば圧勝。…
2021-05-19 13:42:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…検察改革の代表者の一人と目されているクラスナーが落選したら、全国的に検察改革の動きが失速するおそれがあったので、とても安心した(もっともまだ予備選に勝っただけで本戦は先だけど、フィラデルフィアは民主党一党なので予備選のほうが本番)。…
2021-05-19 13:42:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…本の内容は初当選までなので、就任してからの話は書かれていない。学生時代や弁護士時代にさまざまな人たちに触れ合って不公平な刑事司法が人々の人生に与える影響を学んだ話や、検察・警察・判事のリアルな癒着や不正の話がおもしろい。あとケイト・ミレットと親戚だったのは知らなかった。
2021-05-19 13:42:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
Keeanga-Yamahtta Taylor著「Race for Profit: How Banks and the Real Estate Industry Undermined Black Homeownership」 amazon.co.jp/dp/1469663880/ 最近読んだ「The Color of Law: A Forgotten History of How Our Government Segregated America」がおもしろかったので、もっと知りたくて読んだ。…
2021-05-19 14:14:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…「The Color of Law」 twitter.com/emigrl/status/… は住居の黒人隔離およびそれによる経済格差の固定・拡大が民間の不動産業者などによる差別的行為や白人・黒人それぞれの主体的な選択によるものではなく、政府の政策によって作り出されたものであることを指摘している。それに対して、…
2021-05-19 14:14:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…この本のサブタイトルは「銀行と不動産業界が黒人の住宅所有を阻害した」という内容なので、政府と民間という焦点の違いかな、と思ったのだけど、どちらの本も結局は政府の政策介入が銀行や不動産業界が黒人たちを食い物にすることで儲けるインセンティヴを作った、という、結局同じ話だった。…
2021-05-19 14:14:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…ただどちらもオーバーラップする時代を扱っているとはいえ、「The Color of Law」がジョンソン政権において公民権法が成立する以前の話を主に扱っているのに対して、「Race for Profit」はニクソン政権以降の話を詳しく説明していて、両方読む価値あり。てか両方読むべき。…
2021-05-19 14:14:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
…ニクソン政権時代の話で興味深いのが、ミット・ロムニー元大統領候補(現上院議員)の父親で、ミシガン州知事からニクソン政権の住宅都市開発長官になったジョージ・ロムニーの話。かれは人種問題に関してリベラルな立場で、南部白人の黒人差別に同調することで当選したニクソン政権にあって異質。…
2021-05-19 14:14:41