佐藤誠市氏によるナムコ80年代ゲーム作品についての証言
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さて基板応用でゲームを企画するとき何を考えるかというと、やはりその基板の機能を充分利用してやろうということでしょう。『ラリーX』の基板の特徴は何と言っても4方向スクロール機能です。自機が真ん中にいて、宇宙・空中・地上・地中・体内をスクロールして進むゲーム企画を出しました。
2011-08-26 10:29:04たぶん水中のものは書かなかった気がします。地上のモノはタイトルも覚えていて『MBT70』と付けました。「メインバトルタンク70」の略で自衛隊の70式戦車からきています。上司からよくそんな名前を知っているなと感心されたから記憶に残りました。やはり、新人はほめて育てないと。
2011-08-26 10:33:06私としては『ミクロの決死圏』の様な体内版をやりたかったのですが、グラフィック表現に自信がなかったのであきらめました。後々捲土重来で再び体内版を企画したのですが、その時もグラフィックスの面でお蔵入りにしました。宇宙以外のシチュエーションもキャラクタ容量の問題であきらめました。
2011-08-26 10:39:06バックにほとんどモノのない宇宙パターンにした結果が『ボスコニアン』になったのです。勿論反対意見もありました。『ギャラクシアン』の続編的な『ギャラガ』は当然宇宙モノになるので、宇宙モノが連続するのは販売戦略上いかがなものかということです。
2011-08-26 10:44:06実際製品になって販売の方も売りにくかったと思います。宇宙をテーマにしたシューティングゲームという同じ括りのゲームですから。今考えると別のアプローチがあったのかもしれません。スクロールを使わないとか、使っても限定的でキャラクタ容量が少なくてもできるとか。
2011-08-26 10:47:44大量に売れ残った『リブルラブル』の基板利用で何か新企画ができないかと上司から尋ねられた時、専用基板みたいなモノですから難しいですねと答えてしまった。その後『トイポップ』でKISSYに尻ぬぐいさせたことは企画者としてやってはいけなかったことなのだろう。何かあったはずなのである。
2011-08-26 10:56:03無かったのは知恵とやる気であった。軍事好きな企画の上司はアタリの『スーパーブレイクアウト』の基板利用で『タンクバタリアン』を作ってしまった。キャラクタ画面とスプライト3つでよく考え出せたモノだ。スプライト3つといっても要するにブロック崩しの弾が3つということだ。
2011-08-26 11:01:05※この「アタリの『スーパーブレイクアウト』の基板利用で『タンクバタリアン』を作ってしまった。」のくだりは大変貴重なお話ですが要検証かと思います ぱっとネットで調べられた限りでは両者はCPUは同じですが基板は見た目からかなり異なっています
※その後 http://twitter.com/SugarSeisan/status/108347531540434946 にて「『タンクバタリアン』がアタリの『スーパーブレイクアウト』の基板応用という事実からもわかります。ただ何らかの改造は行っていたようですが詳しくは知りません。」と補足されています
この上司にはいろいろ教えられることが多かった。一年先輩だが年は一つ下か同い年かという微妙な立場だったのであえて尊敬してますとか言えなかった。いつか日を改めてこの人の武勇伝をツイートしたいが、まだ会社にいて偉い地位にいるので書きづらいところはあります。
2011-08-26 11:07:43いろいろ登場人物が増えてきたので表記の統一を兼ねて整理を。同期入社関係で同期企画君、今後出てくる同期ハード君・同期サウンド君・同期未来君。企画の先輩Y上司、軍事好き先輩改めアイドル先輩。悪魔のプログラマこと悪魔先輩、ハード先輩。そして岩谷さん、後は企画のS上司といったところか。
2011-08-26 11:23:46アイドル先輩の解明の理由は、軍事も好きであるがアイドルがもっと好きという単純な理由です。私もアイドル好きであったのですが、アイドル先輩はいろんなところに連れ出してくれました。私もそこそこいい年をしていたのでまあテレビや雑誌で見る程度だったのです。
2011-08-26 11:29:02それを蒲田の駅ビルの屋上に小泉今日子がくると話したら一緒に行くことになったり、キョンキョンと走るマラソン大会があると聞きつけバイクで行ったりと行動的でした。さすがに二人ともマラソンは走りませんでしたが、バイクで帰る途中、キョンキョンに接近遭遇してカメラ小僧になったりしました。
2011-08-26 11:31:30さて今日はここまでで、来週はナスカの地上絵のデザイナーの方今では『ミスター・ドットマン』の方が通りがいいのでしょうか。その方との確執などについて語りたいと思います。アイドル先輩も勿論出てきます。
2011-08-26 11:35:01「ギャラガ」「ボスコニアン」とMr.ドットマン
『ボスコニアン』の企画時、宇宙以外のパターンをグラフィックに自信がなかったためあきらめたと述べました。当時、背景などは企画の人間がやるということになっていました。決まりというわけではなく、なんとなくそうやっていました。まだそんなに凝った背景を出すこともなかったからかもしれません。
2011-08-29 10:09:55ただ自機や敵などのメインとなるキャラクタはデザインの専門家に依頼して作ってもらっていました。あの頃は開発部デザイン課と呼んでいたと思います。場所はエレメカの開発をしていた中央研究所にありました。ビデオゲームの開発は多摩川分室と呼ばれる別のビルにあります。
2011-08-29 10:14:49そのデザイン課に属していたMr.ドットマンに『ギャラガ』と『ボスコニアン』のキャラクタ制作を依頼したのがつきあいの始まりでした。『ギャラガ』の方は『ギャラクシアン』の続編と言うことでそれほどキャラクタでもめたという印象はありません。
2011-08-29 10:19:48『ギャラクシアン』のテイストを残しながら、『ギャラクシアン』とは違うモノだと認識させないといけないという難しさはあったと思いますが。『ギャラガ』のプログラマの方から仮でも良いからキャラクタを入れて欲しいと頼まれたときに『ギャラクシアン』の没キャラをいれました。
2011-08-29 10:25:42没キャラはバインダーにとじられていましたが、数十ページありまあした。一ページに16X16ドットのキャラクタが数十個描かれていますので相当な数が合ったと思います。デザイン課のそこ力を感じました。メインキャラではなくチャレンジングステージに出てくるモノにそのまま使ったりしました。
2011-08-29 10:30:47トンボのキャラクタなどがそうです。ところが『ボスコニアン』は新規の宇宙モノということで具体的なイメージがまるっきりなかったのです。他部署との仕事のやり方として官僚的に依頼書を書いて期限はこれこれで成果物はこれこれといった指定をして後は出来を待つという手法があります。
2011-08-29 10:35:44あの当時の会社はそこまで官僚的ではなかったのですが、物理的な距離も離れていることもありコミュニケーションに難があったことも確かです。新規の宇宙戦争物で自機と敵基地(砲台6個と中心部があるもの)という指定だけではなかなかキャラクタを創ることは難しかったのでしょう。
2011-08-29 10:40:39何度が駄目出しをしていたら、デザイン課と険悪なムードになってしまいました。当然新人の私だけで駄目を出していたわけではなく企画の総意ではあったのですが。それでMr.ドットマンと上司の方が殴り込んできました。ご本人たちはそんなつもりはなかったと思いますが私はそう感じていました。
2011-08-29 10:44:09で、話し合いをしたわけです。その中でその上司の方から自機の大きさはどのくらいなのかという話が出てきました。実は正直なところそこまで考えてもいませんでした。16X16で表されるモノの現実世界での大きさなんて思いもよりませんでした。いやと口ごもっていたときにアイドル先輩の一言が。
2011-08-29 10:48:17アイドル先輩は突然「数百人乗っている巡洋艦クラス」と言い出したのです。そのような認識は企画内でなされていませんでした。とっさについた嘘だったのです。後付の理由ですが理由も述べました。自機は前後に弾を発射できるので戦闘機のような一人二人の乗り物ではなくもっと大勢乗っているモノだと。
2011-08-29 10:55:16