翻訳文明の功罪

母国語で高等教育が受けられる幸せ、いつまで続くだろうか。
5
小滝透◆ノンフィクション作家 @KotakiToru

東南アジアの大学では授業が英語で行われ学生も流暢に話す。日本の学生がそれに劣等感を持つとの話を聞くが、それは逆だ。日本は西欧の文物を全て翻訳した結果日本語で授業ができ、西欧文化を自家薬籠中にしてしまった。その為抜きん出た先進性を得る事ができたのだ。劣等感を持つ必要等どこにもない。

2021-10-24 15:57:19
小滝透◆ノンフィクション作家 @KotakiToru

それは間違いです。母国語で高等教育を受ける機会を持つというのがどれほど大切かは言うに及びません。それ以前に、徳川時代から西欧の科学技術用語を全て日本語に翻訳し直した先人の努力がいかに日本を先進国にしたかは言うに及びません。少々話せなくとも結果は歴然としています。 twitter.com/ok_sen2208/sta…

2021-10-24 21:40:09
OK_Sen2208 @ok_sen2208

@KotakiToru それはあまりにも浅い見方。エリート層がこれほど英語で発信できない国は日本くらい。発信力が無いことでどれほど損しているかわからない。

2021-10-24 16:38:21
小滝透◆ノンフィクション作家 @KotakiToru

言い訳ではなく、当時の状況では翻訳に重点を置かざるをえなかったのです。東南アジアで英仏語ができる国は全て植民地になっていました。日本も植民地になれば同じ現象が起きたでしょう。日本はお雇い外国人を一代のみでお払い箱にし、後は日本人のみで高等教育を行いました。凄いとは思いませんか。 twitter.com/ok_sen2208/sta…

2021-10-25 12:34:28
OK_Sen2208 @ok_sen2208

@KotakiToru それは英語力が無いことのいいわけにはならない。

2021-10-25 10:01:19
Tamejirou @Tamejirou

おそらく8-9世紀に仏典を移入翻訳する中で大和言葉にも新たな概念が多数生まれたんだろうな。ちょうどシーザーやキケロの頃にギリシア文学の翻訳を含めラテン語の語彙が充実したのに似て。

2021-10-25 14:10:10
Tamejirou @Tamejirou

あるいはラテン語聖書をローカル言語に訳す中で各地の言語に語彙が充実していったのにも似て。文学は翻訳に始まり、原典を凌駕するオリジナルが生まれて始めて一つの言語が完成する。

2021-10-25 14:11:24
Tamejirou @Tamejirou

日本人が16世紀に渡洋した宣教師と宗論をしてみせた、というのも数百年の時を経て抽象的思考や難解な哲学的概念が広く普及していたことの現れだよね

2021-10-25 14:13:00
Tamejirou @Tamejirou

宗教家も、全員ではないにせよ武士や庶民への布教を厭わなかったし、その過程で梵語にせよ漢訳にせよ、仏典の概念を大和言葉に噛み砕くプロセスが発生する。だからこそ「大和言葉に、既に哲学的思考を表現する語彙が揃っている」という環境が出現する。

2021-10-25 14:15:18
Tamejirou @Tamejirou

「タガログ語聖書」みたいなものが果たしうる役割について論じられることがあるが、これも一歩間違えると土着の宗教や神話概念を殺戮してしまうんだよな。抽象的思考を司る語彙が全てキリスト教由来の概念で占められてしまうリスクがある。

2021-10-25 14:17:58
Tamejirou @Tamejirou

だからこそ神話や伝説をローカルの言語で記録しておくのはとても大事。日本は早くに宛て字を活用して表音語で神話や歌謡を記録できたのは幸運だった。

2021-10-25 14:18:56
Tamejirou @Tamejirou

その記紀神話にしてからが、実は印欧祖語をもつ諸文明と共通のモチーフに「汚染されている」ということが分かってしまったのであまり手放しでは喜べない。もっとも、「印欧祖語のルーツを大事に保存してきた真の末裔」である可能性も否定はしないけど。

2021-10-25 14:20:18
Tamejirou @Tamejirou

何れにせよ新たな概念が入ってきた時に「それは俺らの言葉では〇〇という」それが不可能なら「既存の語彙を組み合わせて新たに〇□という概念をつくる」などと出来たほうが良いのは間違いない。

2021-10-25 14:21:44
Tamejirou @Tamejirou

これは文明・民族レベルでの話だけど、個人レベルでも新たな概念に触れた時に「それはガンダムで例えるとこういう事だ」という一種の理論体系を内包している人は、新たな物語の受容も早い。そういうメリットはある。

2021-10-25 14:23:28
Tamejirou @Tamejirou

一方で、キリストの死と復活という物語を新たに聞いた時に「それは記紀でいう黄泉がえりだな」と(例)、頓珍漢な受容をしてしまうリスクも孕んでいる。

2021-10-25 14:25:18
Tamejirou @Tamejirou

だから、面倒でも新たな理論体系が出現したときには、初手として何かに例えるのは悪くはないが、いずれ「理論体系全体として」の理解と受容を怠らないようにしたい。

2021-10-25 14:25:19
Tamejirou @Tamejirou

と、理想らしきことを書いては見たものの、実際どうなんだろうな。新たな概念を受容する時に、肉体の制約や既存の価値観からは逃れられないようなところはあるんだろう。

2021-10-25 14:30:44
Tamejirou @Tamejirou

マクニールが指摘していたが、日本「も」矛盾と緊張を孕んだ社会体制で常に葛藤が有ったために、新たな思想や技術に対する受容がスムーズにできたという話がある。これはけっこう重要な視点ではないかな。

2021-10-25 14:30:44
Tamejirou @Tamejirou

普段から何かに悩んでる人、脳の筋力が鍛えられているのでいろんな適応が速い。押しつぶされるほどストレスが強くてもダメだが、かといって人生が順調で何も考えていない人は哲学的思考を育む余地はないし、その必要もないのだ。

2021-10-25 14:32:13
Tamejirou @Tamejirou

日本「も」と書いたのは確か英国との対比で、科学の進歩していた中東やルネサンスのイタリア、その他大陸諸国から離れていたのになぜ真っ先に産業革命が結実したのかという話。

2021-10-25 14:34:17
Tamejirou @Tamejirou

ここで英国の直面していた葛藤、乏しい国土に対する人口増加圧や外来王家と貴族の対立、郷紳の台頭などといった葛藤があったために変化を受け入れる余地が生じたという論だったように思う。

2021-10-25 14:34:18
Tamejirou @Tamejirou

日本も同様に限られた国土で常にある飢餓のリスク、階級間・階級内の対立、哲学や抽象的思考を厭わない風土、そういったものが明治維新の下支えを担っていたという話。

2021-10-25 14:36:15
Tamejirou @Tamejirou

哲学的思考には横文字を横文字のまま理解する(玄奘が梵語を梵語のまま読んだように)、横文字の対訳を作る、漢訳・和訳されたものを更に母語に噛み砕く、という多層構造が必要で、どれが欠けても実にはならないんだろうな。

2021-10-25 14:58:54
Tamejirou @Tamejirou

そして最終的には母語・土着語を以て抽象思考し、論述する段階へ至らねばならない。これがなければ哲学はいつまでも借り物のままで、後進国によくある「英語や仏語を借りないと抽象的議論ができない」という状態に陥るリスクがある。

2021-10-25 15:00:43
Tamejirou @Tamejirou

ダラダラと長文で書いてきたのはこれが言いたかったからで、ここのところが日本は怪しくなり始めている。ITや材料などの最新科学技術からいわゆる「本家の人文学」に至るまで、「ことば」の使い方が揺らぎ、雑になっていると思うんですよね。借り物の議論しかできなくなっていないか?

2021-10-25 15:07:39
Tamejirou @Tamejirou

話はズレるけどオペラ「アイーダ」みたいな、エジプトとヌビアの戦争をイタリア語で歌う、みたいなものもある種の危険さを孕んでいる。例えば「エジプトの『神々』に勝利を祈願し、あるいは感謝する頌歌」をキリスト教圏のイタリア語で作詞し、歌うことは「あり」か? twitter.com/Tamejirou/stat…

2021-10-25 15:12:09
Tamejirou @Tamejirou

もちろんこれは後代の異国趣味フィクションでしかないけれど、歴史に興味がなければ観客は「古代エジプトってこんな感じかぁ」と思ってしまうよね。

2021-10-25 15:12:55