ギガベース日誌 ACT08「PHANTASMA BEING」09

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「この俺を、こんなんでなぁ……！！」 右手でブレードを支えながら、左手に構えたコジマランスを握り込む天龍。 「斬り伏せたつもりに、なるんじゃねえ！！！」 ブレードユニットを狙った決死の反撃。接続部を狙った刺突は、隣接するブレードユニットの射出口を破壊するに至る。　#ギガベース日誌

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反撃を予想していなかったのか、敵は生物的な反射を思わせる挙動で急後退。再展開したブレードのうち、2機がミサイル発射口から青白いエネルギーを流出させている。 「げぶっ、ハァーッ、流石に、無敵じゃない、みてえだなっ……」 「ええ、ならば……殺せる！」　#ギガベース日誌

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敵と榛名達の鍔迫り合いから間もなくして、前線のトップである長門から、展開中の全ての艦娘に指示が下される。 「各艦、全速力で限界射程距離まで散り、敵との相対距離を維持しろ！」 「的を散らすしか、今は手が無いか……！！」　#ギガベース日誌

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戦況観測ユニットを搭載した長門の指示は、即ち現状況に対して取れる最適解である。 理不尽な火力を誇る敵によって、窮地にある提督と不知火への助力は阻まれた。多くの艦娘が苦虫を噛み潰すような表情で憤りを顕にしながらも、長門の指示に従い散開した。　#ギガベース日誌

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------------------------------- PROPOSAL : SUPPORT ANGELICA YEA : No.2, No.3, No.7, No.8, No.10 NAY : No.1, No.4, No.5, No.6, No.9, No.11, No.12 ABSTAIN : ANGELICA -------------------------------　#ギガベース日誌

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「来るなっ……来るなっ！！」 武装が使用できない状況では、不知火はただ敵機から逃げ惑う他無い。 しかし、寄せ集めのパーツで組み上げられた獅子と、オーメル製の最新鋭パーツをふんだんに採用した敵ネクストとの間には、絶対的な速度差が存在する。　#ギガベース日誌

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その上、不知火が心から『強敵』と断じられる技量を、敵のリンクスは有していた。 普段の不知火であれば、自分にとっての脅威の出現に胸を躍らせていただろうが、今はそんな余裕の欠片すら無い。 「返してもらうぞ、アンジーの身体を」 「アン、ジー……？」　#ギガベース日誌

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回線を繋いできたリンクスが口にしたその名前に、不知火は頭蓋を弄られるような不快感を覚えた。 「何を、言って……！！」 「アンジー、やはり……そこにも残っていないのか。我々の知るお前は」 「五月蝿い、五月蝿いっ！！！」　#ギガベース日誌

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敵ネクストを振り解くのに全神経を注いでいる不知火は、通信を介して聞こえてくるリンクスの声が、発言の度に異なっている事に気がついていない。 それでも、戦いの最中に"彼等"がアンジーと口にする度、不知火の不安は肥大化していく。　#ギガベース日誌

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「アンタは昔から私達を嫌ってたけど……まさか、こんな形になってまでそれが続くなんてね」 「黙れぇっ！！！」 洗練された操縦から繰り出す、GA製の重量脚部によるブーストチャージ。敵ネクストの左肩にマウントされた連動ミサイルが破壊されるが、フレームへの痛打には至らない。　#ギガベース日誌

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「雑兵だらけか、此処は！！どうなんだ、テメェは！？」 拙い動きを叱咤するように、ネクストは獅子の背後に回り込み、コアにライフルの空力調整用ブレードを叩きつけた。 これによりブースターが1基破損し、バランスを崩した獅子は海面に不時着する。　#ギガベース日誌

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「くそっ、畜生、こんなっ……んがっ？！」 OBを起動しようとした不知火は、予想外の衝撃に醜い呻きを漏らした。 あろうことか、獅子は両手のライフルをパージし、獅子のヘッドパーツを掴み、仰向けになるように機体を押し倒したのだ。　#ギガベース日誌

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2機が組み付き合った事を確認したグラーフに顔が更に陰る。 この状態では、主砲やミサイルによる支援攻撃はままならない。 それどころか、この状況に陥る寸前まで妨害の為に差し込んだ攻撃は、全て片手間に回避されていた。　#ギガベース日誌

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敵リンクスの技量は、ベストコンディションの不知火や■■■■■に匹敵するレベルと見て疑いない。 そんな化け物に組み伏せられた獅子だが、トドメが刺される様子は確認できず、膠着状態が続く。 「奴め、何を……」 「聞こえているか。不知火」　#ギガベース日誌

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回線に再びサウードの低い声が響き渡った。 「サウー、ドッ……！！」 「先程説明したように、我々の今回のミッションはジョシュアの回復だが、それだけではない。君も我々のミッション・オブジェクティブなのだ、不知火」　#ギガベース日誌

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「あいつ、また碌でも無い事を話すつもりだぞ……グラーフ！提督の機体だけでも回線切れないのか！！」 「既にやっている！だが……！！」 拒絶を許さない状態で、サウードは続ける。 「覚えているかい、不知火。君がアスピナで目覚めたあの日の事を」　#ギガベース日誌

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「あの日、私は君に2つ嘘をついた。それを、謝罪したい」 「何、を」 「まず、私は君が、元々海軍にいた艦娘だと説明した。実際には、君はアスピナで建造された艦娘だ。海軍時代の記憶が無いのは当然と言える。建造された時期は、あの日から4年と8ヶ月ほど前のことだ」　#ギガベース日誌

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「4年と8ヶ月……？おい、不知火！奴の言葉に耳を貸すな。アイツの言ってる事は適当だ！」 サウードの発言の異常に気付いた武蔵は、敵特殊兵器の弾幕を回避しながら、回線に割り込みそれを指摘する。 「ギガベースの……大和型か。君は何を知って私に口を出す？」　#ギガベース日誌

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「不知火が目覚めた日は、リンクス戦争終結の2週間ほど前と聞いている。そこから4年と8ヶ月、逆算すれば、ちょうど国家解体戦争の真っ最中だ。人類が艦娘を運用し始めたのは解体戦争終結の後だろう」 武蔵の指摘に対し、サウードは感心とも呆れともとれる溜息で応じた。　#ギガベース日誌

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「艦娘のくせに、よく物を知っている。ジョシュアの教育か？その指摘はもっともだが、私の言葉に虚言は無い。何故なら……」　#ギガベース日誌

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「君が今述べたのは、人類が最初に艦娘を"運用"した時期であって、"建造"した時期ではないからだ」　#ギガベース日誌

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言葉のあやだ。そう言いかけた武蔵の背筋に、悪寒が走る。 言葉通りに、それを受け止めるのであれば。　#ギガベース日誌

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───8ヶ月前、太平洋。 ひとつめの違和感は、そこだった。　#ギガベース日誌

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「……AFGノイズ？」 「何でも、元々この鎮守府にいた軽空母鳳翔……あのアルゼブラの4脚に乗っていたリンクスが、此処を出るに至った理由がそれらしい」 マザーウィル3番機攻略戦を終えたギガベースの甲板で、武蔵は那智と作戦中に発生した異常について立ち話をしていた。　#ギガベース日誌

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「アンチ・フリートガール・ノイズ……響きは間抜けだが、あれだけの影響が出るなら艦隊に残るという選択肢は無くなるな」 「原因は？」 「非正規の改二プログラムを実施した結果らしいが……妖精達が何度やっても再現性が取れなかったとかで、結局不明瞭なままだそうだ」　　#ギガベース日誌