- rouillewrite
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自分の目の前に置かれた1ピースのアップルパイ。 置かれたと同時に少女達の目が輝いていくのは、魔法のようだった。
2022-03-10 22:03:26「さ、食べちゃいなさい。 美味しいわよ」 「紅茶もどうぞ、お昼ご飯が入る程度にしてくださいね。…ジャック、私たちは後で頂けますから」 「えっ、やった!」
2022-03-10 22:03:55小声で告げられた朗報にジャックが目を輝かせる。と、同時に少女たちはカトラリーを手に取り、アップルパイを口にした。 サクサクとしたパイ生地と一緒に、甘い林檎の味が口いっぱいに広がる。
2022-03-10 22:05:07アシェルが一言目をそう口にして、ナタリアが同意するように大きな声で笑う。 彼女らがフォークを上に向けて笑うと、その様子を見たユースティアもおずおずと食べ出した。
2022-03-10 22:06:23ユースティアの正面にいたルーシャンが口にしながら頬に手を添えて微笑む。 奥にいたマリンやオリヴィアたちも、口数が戻ってきたようで雰囲気が明るくなった。 pic.twitter.com/xwMSRMJHL1
2022-03-10 22:09:08ふと、なにかに気づいたのかマリンは自分のフォークでアップルパイを1口分取り分ける。 そして、笑顔でそれを、紅茶だけ飲んでいた相棒に突き出した。
2022-03-10 22:12:03「アシュリーも食べる?おいしいよ!はい!あーん!」 「……えっ」 「え?ずっと見てたから食べたいのかと思って…」
2022-03-10 22:12:20いや、見てたのはアップルパイじゃなくて…と言いたくなるのをぐっと堪え、アシュリーは首を小さく横に振った。申し出は嬉しいが、さすがに子供の食べているものを横取りするのは大人として如何なものか。
2022-03-10 22:13:28いらない、と断ると同時にマリンは小さく「そっかぁ…」と言うと眉を下げた。その様子に、罪悪感が残る。
2022-03-10 22:14:42その様子を横目で見ながら、食べ終わったらしいルーシャンはトイレに行ってくると席を立つ。 同じようにCペアの様子を見ていたオリヴィアが、隣に座って紅茶を啜っている相棒に向かっていい声で問いかけた。
2022-03-10 22:16:12お昼ご飯を食べ終わった者たちが次々と食堂から出ていく。 夕食時まで各々自由な時間を過ごせるこの時間は、全員いる場所もやることもバラバラだった。
2022-03-10 22:21:593日ぶりの昼食を口にしたエリーゼも、落ち着きを取り戻したようで、イーライと一緒に食堂から出ていくところだった。
2022-03-10 22:22:59その問いかけにギルが答える。 レオニードは朝食後から姿を見ていないし、ルーシャンはあの後トイレに行くと言ってから、誰も姿を見ていないという。 ここにいる人間の中では究極自由人の2人だったが、食事の時間くらいは今まで目にしていたのに。
2022-03-10 22:24:55「…少し心配だな…。 探しに行くか。旦那はどうする?」 「ギルが行くなら行こうか。多い方がいいしな」 「! リオが行くなら私も行くわ!」
2022-03-10 22:26:14ユースティアが声を上げる。 「し、心配だもの!」と強気に付け足して意気込む彼女に苦笑いを零して、リオは頷くとその小さな頭を撫でた。
2022-03-10 22:26:51最終的に、ギル、レイラ、リオ、ユースティア、(半分くらい興味本位でついてきた)メノン、ナタリア、アシュリー、マリンの計8人が探しに行くことになった。
2022-03-10 22:28:00アシュリーに至ってはマリンに丸め込まれたクチだろう。 アシェルやライクムも片手間に探してくれると言うので、2階の部屋の捜索を任せた。 地下は危ないので全員で行くことで決着し、先述した8人は1階を探すこととなった。
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