「He looked around. It was raining.」はどう訳す(主語ぬきの現在形)

英語
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砂手紙 @sandletter1

1・最近の翻訳のひとつの潮流として。「主語+過去形」の原文を「主語ぬき+現在形」の日本語にする、というのがあります。「最近」でもないし「潮流」でもない、という意見のかたもいるでしょうが、それはそれ。

2022-04-06 00:45:37
砂手紙 @sandletter1

2・具体例として、「He looked around. It was raining.」というテキストをあげますね。これは50年前なら「彼はあたりを見回した。雨が降っていた」と、文の末尾を「た(過去形)」で訳してたのね。今でも、受験英語だったらそうすると思う(受験英語で小説が使われることは稀ですけど)。

2022-04-06 00:46:26
砂手紙 @sandletter1

3・今の主流は「あたりを見回す。雨だった」ぐらいにしているはず。要するに「現在形と過去形をうまいこと組み合わせて、文の末尾が単調にならないようにする」という技術。これに関して言及しているのは越前敏弥さんでしたっけ。

2022-04-06 00:46:50
砂手紙 @sandletter1

4・物語の主人公から見て「主観」と読者に判断できるようなものは現在形に直してもかまわない、という考え。この手法のメリットは、なんか日本人の書いた小説っぽくなる(やりすぎると映画のシナリオみたいになっちゃいますけど)こと。

2022-04-06 00:47:36
砂手紙 @sandletter1

5・それに、実は日本人の作家でもそこまで意識的に現在形・過去形の混在したテキストは書かない、ということ。またミステリー・サスペンス的な緊迫感とは違うものの翻訳も、その手法が使えるかなあ、ってところ。

2022-04-06 00:49:06
砂手紙 @sandletter1

6・多分フォークナーには使えても『赤毛のアン』とか、学園ラブコメ的なライトノベルだったらどうだろう、みたいな。ところで、どの程度自覚してその手法を使ってるかは不明なんですけど、ああ、この人はうまいなあ、という作家・作品を挙げておきますね。『リビルドワールド』(ナフセ)。

2022-04-06 00:50:07
砂手紙 @sandletter1

7・これは、高度な文明が一度崩壊した世界における宝探しとキャラの成長を描いた、異世界ファンタジーよりは明らかにSF寄りの作品です。当然アクションがてきぱきしていて読みやすい。

2022-04-06 00:50:38