- kotosakikotoko
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『慶長・元和期における出羽国の社会状況』を読み返してたのだけれど、この時期の東北や蝦夷地、クライムやピカレスクの創作の舞台として美味しいなって改めて思う。大々的な金銀山の開山によって全国から流入する素性不確かな人間たち、悪化する治安、横行する盗賊や悪党、対策に躍起になる領主権力。
2021-07-24 23:29:52慶長・元和期における出羽国の社会状況―山落・盗賊・悪党の横行と取締り― 長谷川成一 慶長14年に出羽国笹子(じねご)の地で起きた金堀(鉱夫)衆の大量殺害事件を題材として、江戸初期の出羽国社会情勢を論じている。 当時東北で起きていたシルバーラッシュが当地をいかに不安定にしたかが分かる。
2020-07-30 22:34:59多くの領主権力が交錯した笹子という土地の特殊性や、悪党たちの動向、これらに対応する領主たちの対応も見所。江戸初期東北の雰囲気の一端を知るのにとても良い論文。
2020-07-30 22:34:59論文中で紹介された、院内銀山記に記されている事件とかなかなか凄惨で、ある侍三十人ほどが通行していた所を、山賊たちが左右から六十人ほどで一斉に襲撃し、身ぐるみ全て奪い取って、生存者を残していては穿鑿されると考え皆殺しにしてしまうという。こんな事件が平然と横行してたっぽいのがまた。
2021-07-24 23:35:57一国の領主である津軽為信すら上洛途中に盗賊に襲撃される有様で、シルバーラッシュに活況を呈する羽州街道は山立や盗人がゴロゴロし、金銀山には諸国の浪人も流れ込み、『諸国のあぶれものども来たり、様々の狼藉出来、斬罪、はりつけ等の止(やむ)ひまなし』という状況、物語の余地は多いよなって。
2021-07-24 23:43:56院内銀山記、江戸初期の治安に関してめっちゃ悪かった旨の記述があるそうなので(まだ真面目に全部は読んでない)絶対面白いんだよなぁ……。
2022-05-06 23:47:15多分陸奥国も悪いし蝦夷地も悪かったんじゃないかしら。ゴールド/シルバーラッシュによる金堀等人間と富の移動によって発生した一種の治外法権地域がその温床になったようなので、そういうのは多分陸奥や蝦夷地でも発生しえたし実際発生した。
2022-05-06 01:14:16南部家においても伊達との国境にあって金山もあった遠野の治安問題が、根城南部氏の移封の一因になったのもその事例として見ていいし、近世初期北日本の大きな流れとして治安問題ってかなり大きなファクターなんですよね。
2022-05-06 01:24:10松前における金山開発を「将来の事を考えて」慶広は抑えた、とするのは新羅之記録だけれども、慶広にとっての将来というのは何が見えていたんだろうねぇ。
2016-01-28 21:00:09金山の隆盛自体は他国を見ればわかっていたはずで、しかしその金山というのは蝦夷人が住む地にあるわけで、明確な国境の線引きがなくいわゆる和人(しかも自らの統制にいない)が入り生活圏を築く状況って、治安的にも問題なはずで、その辺も加味して禁止してたのかなぁ、とは思う。
2016-01-28 21:04:16松前は、金山を解禁した時点でシャクシャインに繋がるのは必至だった気がするんだよなぁ。あれだけの人の流れを抑えきるのは松前のような小規模藩の手には余る。
2016-01-28 20:49:32『一六一六年頃蝦夷で甚だ豊かな金山が発見された。多くの坑夫がその地に渡ったが(略)一六一九年には一万五千人、一六二〇年には八万の坑夫がいた』(日本切支丹宗門史)って人数、八万は過剰でも、同時期の院内銀山が七千余人(院内銀山記)で家族含めたら二万と推計されてるの見ると荒唐無稽ではないか。
2019-09-24 13:27:09例えとしては適切じゃないかもしれないけど、いわゆるフロンティアを舞台とした西部劇に近い雰囲気があるのよね、この時代の蝦夷地奥羽。権力の空白地帯というのも、物語としては書きやすい。
2022-05-06 01:48:11そういえば東北・蝦夷地における金銀山って文化の流入経路でもあったのよね。例えばタバコなんかは金銀山を起点として広がっているのが明瞭で面白い。
2021-07-25 00:11:15