すべてを支配する「天」の一族を名乗った五胡十六国時代の匈奴の皇帝「赫連勃勃」(かくれんぼつぼつ)から語り出す草原地帯の歴史

「赫連」(かくれん)とは、どういう意味だったのか?その一族の名前の起源を探ると、草原地帯の言語と交流の歴史が浮かび上がってきた
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河東竹緒 @rivereastbamboo

@fushunia @satohkun_ 赫連なら『晋書』載記にある「帝王は天に係りて子たり、是れが為め、徽赫は實に天と連なる。今、姓を改めて赫連氏と曰い、皇天の意に協し、永く無疆の大慶を享くるを庶わん」という改姓時の詔の通りですね。

2021-08-04 07:12:53
巫俊(ふしゅん) @fushunia

英語で書かれた印欧祖語時代の宗教についての記事。天の神や天候神について説明した後、印欧語族白馬信仰について説明し、匈奴がその影響を受けたこと、驚くべきことにその信仰は日本まで届いていたと記されている。reddit.com/r/IndoEuropean…

2022-01-22 04:13:29
巫俊(ふしゅん) @fushunia

禿(はげ)についての中国最古の字書『説文解字』の説明が酷い。ある学者の説として「蒼頡(そうけつ)が外に出てたら禿げた人が禾(畑の中の草)の中に伏せてたので、この字を定めた」って紹介されてて、きっとその禿げた人は「あのとき、俺が畑の中に伏せて無かったら…」と泣いてると思う。

2021-11-24 23:51:52
巫俊(ふしゅん) @fushunia

実際にしたそうした成り立ちの字では無いはずですが、『説文解字』もその詳しいことはよく分からないとしてます。禿の上の「禾」の部分を毛髪の形だとする意見もあるようでした。よくある可能性としては、字の部品は発音を表現してるだけってパターンもあります。

2021-11-25 00:01:24
巫俊(ふしゅん) @fushunia

柿沼陽平先生の『古代中国の24時間』(中公新書)には、王莽はハゲだったとか衝撃的なことが記されてますが、『春秋公羊伝』の注釈には「悪疾,謂瘖、聾、盲、癘、禿、跛、傴,不逮人倫之屬也」とあり、「禿」(はげ)は身体障害の一部に位置付けられ、「人倫の属に逮(およ)ばない」と評価されてたようです

2021-11-23 23:54:47
巫俊(ふしゅん) @fushunia

柿沼陽平先生は、2021年5月の「中国文化の統一性と多様性」をテーマにした国際フォーラムで「中国古代禿頭攷」(日本語)を発表されてて、中国古代のハゲ頭についての研究結果の詳細は書籍に収録される予定だとのことです。きっとショッキングなことがいっぱい出てきそうですね…😅💦

2021-11-24 00:06:54
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ちなみに紀元前5世紀の歴史家ヘロドトスは、東方の大草原の果てに禿頭のアルギッパイオイ人がいると書いてて、それはそれで面白いというか、スキタイ人と同じ服を着てるのに言語は違い「顔が平たく」、彼らは武器を持ってないのに傷つける周辺部族はいないとかで、私が大好きなハゲ集団です。

2021-11-24 01:08:16
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ヘロドトスの『歴史』に出てくるアルギッパイオイ人にちょっとだけ似てると思うのが、西晋の張華の『博物志』に出てくる西夏国の記述です。「昔、西夏は仁にして兵を去る。城郭は修めず、武士は位無し。唐これを伐ち、西夏亡ぶ。」とあります。青銅器時代の草原地帯の「平和」文化の名残りかもしれない twitter.com/fushunia/statu…

2021-11-24 02:06:35
巫俊(ふしゅん) @fushunia

古い論文ですが、「しかし、アルタイ方面には西紀前5-4世紀にすでに新しい型の人類も現われていたのであり著しいモンゴロイド的特徴をもつ遺骸もあってルデンコはその人種構成の複雑」jstage.jst.go.jp/article/jjhg19… と書いてる論文があって、鼻が平たくて禿頭のアルギッパイオイ人は「モンゴロイド」のはず

2021-11-24 02:19:01
巫俊(ふしゅん) @fushunia

最近のユーラシア草原地帯の考古学及び遺伝学の研究では、西部ユーラシアの草原地帯のDNA及び牧畜文化が「狩猟採集段階」のモンゴル高原に伝わると、西部ユーラシア由来のDNAは後期青銅器時代のモンゴル高原のある集団で10%以下と少なくなるが、文化はモンゴル高原に永続的な影響を与えたとあります。

2021-11-24 02:22:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

モンゴル高原に「牧畜」や「遊牧」を伝えた歴史は、言語的には印欧語族の系統だったはずの「人間の移動」によって始まります。中国東北地方の遼寧地域まで広がったそうした文化は、初期鉄器時代になると「西遷」してそれがスキタイと呼ばれる集団になりました。そのため禿頭人とスキタイは似てるのです

2021-11-24 02:27:40
巫俊(ふしゅん) @fushunia

西晋の張華の『博物志』に収録された「西夏」国については、三国呉の滅亡年の前後に戦国時代の墓から出土した竹簡の文献『穆天子伝』にも記載があり、黄河の上流域の周辺(現在の寧夏回族自治区)に存在した国だと伝わってたようです。「武器(兵)を捨て去った」は青銅器時代の交易の慣習を想起させます

2021-11-24 02:33:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

青銅器が最初に伝来した頃のユーラシア東部の草原地帯では、「錫」や「銅」という希少な金属を求めて、遠くに出かける必要がありました。そこで生まれたのが「誓約の神話」だとされてて、実際には同族では無い集団などが共通の「宝器」を持ち、同族のように振舞うことがあったと見られてます。 twitter.com/fushunia/statu…

2021-11-24 12:27:15
巫俊(ふしゅん) @fushunia

鉄器時代の遊牧国家のスキタイや匈奴などは、農耕文明側から「好戦的」だとされてた訳ですが、これが初期青銅器時代だと草原地帯ではコムギを植えながら放牧する「半農半牧」の生活をしてることも多く、遊牧と農耕の境は曖昧で、武器もまだ発達してませんでした。おそらくそんな伝承です。この話は。

2021-11-24 12:33:30
巫俊(ふしゅん) @fushunia

印欧語族には、「他集団への略奪」を許容する文化も古くからありまして、必ずしも「平和」であった訳でも無いですが、それでも鉄器時代に大きくなった集団・組織がする「戦争」に比べれば、武器が弱いために「平和な世界」だったので、そうした人もいたとの記憶が伝承として記録されたものに見えました

2021-11-24 12:36:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

今朝に話した「平和な平たい顔族」の「アルギッパイオイ人」は、草原の先の高い山の麓に住んでるとされ、よくそれはウラル山脈だとされるのですがアルタイ山脈だという説もあり、アルギッパイオイ人の次にはタリム盆地のイッセドーン人(『漢書』西域伝の楼蘭の鄯善(ぜんぜん)国か?)が出てきます。

2021-11-24 12:40:34
巫俊(ふしゅん) @fushunia

古代ギリシア・ローマ時代の史料によると、ヨーロッパから見た「山の向こう」の世界が「ボレア」と呼ばれてて、古代ギリシアの神々が遊びに行ったという「楽園の世界ボレア」から、イッセドーンなどの多数の部族を介して手渡しで「果実」がギリシア本土に届けられたという伝説があります。

2021-11-24 12:45:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

あとテュルク語(トルコ語)については確実な文献情報が漢代の「丁零」(匈奴と対立してて、北のバイカル湖付近にいた)までしか遡らないので、どちらかといえば印欧語族などに抑え込まれてた人たちが歴史時代に盛り返したように見えます。匈奴も秦末以前の盛り返し系ですね。青銅器時代に色々あったので

2021-11-15 03:43:40
巫俊(ふしゅん) @fushunia

タリバンはアフガニスタンの多数派のパシュトゥーン人の中から出てきた政治勢力ですが、ジョニー・チャンが2017年に書いた言語学の論文によると、パシュトゥーン人の祖先集団は匈奴に追われた大月氏がバクトリアのギリシア人王国に襲い掛かったときに、ともに侵入した遊牧民だった可能性が高いそうです

2021-08-16 03:13:32
河東竹緒 @rivereastbamboo

大月氏=大夏の歴史的な影響が巨大すぎてびっくり。そうなると、赫連勃勃の大夏も再解釈しないといけないかもしれない。その場合は赫連氏は虚連題氏じゃなくて祁連氏=天氏の方がしっくり。 twitter.com/fushunia/statu…

2021-08-19 03:05:10
巫俊(ふしゅん) @fushunia

まとめを更新しました。「アフガニスタンは何故「アフガン」と呼ばれるのか?タリバンが生まれた「パシュトゥーン人」の遠い祖先はどこからこの地にやって来たのか?」 togetter.com/li/1760859

2021-08-17 00:15:58
巫俊(ふしゅん) @fushunia

中国史的に不思議に思うのですが、アブドラ議長(元北部同盟)もパンジシールの住民代表団も、「天の意思を受けた正統たる統治者タリバン」が入城した首都カブールでは「恭順の意」を示してるはず(理論的に)なのに、出入りが混沌としてる感があります。世界が凄く歪んで見える。 twitter.com/tsukasafumio/s…

2021-08-21 19:38:09
司史生@減量中 @tsukasafumio

カーブルに残留したアブドラ国家和解評議会議長がパンジシールからの住民代表団と会合。 twitter.com/DrabdullahCE/s…

2021-08-21 19:23:31
巫俊(ふしゅん) @fushunia

タリバン=中国の天子だと思うと、カブールでは山賊みたいな戦闘員が巡回(=天子の徳を民に示す使者)してるだけで、存在するだけでも許されないはずのものとの同居を我慢してる感がありますが、アフガニスタンでは同一部族以外にとっての「王」は「実権者」でしか無かったとの歴史と通じてる気がします

2021-08-21 19:50:20
司史生@減量中 @tsukasafumio

@fushunia ひとつはタリバンが中国的な「天の意思を受けた正統たる統治者」ではないからでしょうね。 あと現実的な理由では、急なカーブル占領で足場が固まってないので、できるだけ有力者の協力を取り付けたいと緩い態度をとっているのでしょう。

2021-08-21 19:47:37
司史生@減量中 @tsukasafumio

@fushunia タリバンは首長国を名乗ってますが、この首長はカリフの後継者たる「信仰者たちの指導者(アミール・ウル・モミンイーン)」で、過去にムハンマド・オマルが推戴されましたが法学者たちの承認するところとなりませんでした。

2021-08-21 19:56:21
オロロン @ororon106

@fushunia 天意を受けたと言うより、どっちかというと黄巾賊とか太平天国の類な気がします……

2021-08-21 19:54:47