【創作企画】第14話 真実の鐘が鳴るとき【UP A Mystery】

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UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

隣のベッドで眠っていたはずのイーライの姿が無いことに気がついて、エリーゼはのろのろと起き出す。

2022-05-26 21:03:32
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

親友が死んで、妹の死を認めて、あの地下室から出てきたあとも彼はずっと黙ったままだった。 隣を歩いていたエリーゼも、もう「私のせいで」なんて言葉すら出ない。

2022-05-26 21:04:19
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ギルやレイラも意気消沈といった様子で、生き残った4人全員ともが、お互いに口聞かずにその日を終えた。

2022-05-26 21:05:24
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一瞬そう思ったが、エリーゼはすぐに頭を振ってベッドから降りる。彼が今行こうとするところなど、ひとつしかない。

2022-05-26 21:06:56
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急いで着替えて部屋から出る。

2022-05-26 21:07:50
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いくつもあった部屋の中の主たちは、もはやほとんどいないと思うと途端に寂しくなって立ち止まってしまった。

2022-05-26 21:08:20
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エリーゼは、すぐ隣にあるBの扉をノックする。 コンコンコン、と3回叩いても、返事はない。

2022-05-26 21:09:41
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「……当たり前…ですよね…」

2022-05-26 21:10:30
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鍵のかかっていないそこを開けると、自分の部屋とあまり変わりない景色が広がっていた。 構造自体に違いはないことは知っていたが、リオやユースティアがいたあの頃よりも、ずっと同じように見えてしまう。

2022-05-26 21:11:48
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部屋の中は当時のままにしてある。 違いがあるとすれば、遺体の傍にあった遺留品などは各自部屋にデアダームによって戻された、ということくらいか。

2022-05-26 21:12:38
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部屋に入り、カーテンを開けると、机の上に何かが置かれていることに気がついた。

2022-05-26 21:14:25
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…見るとそれは、どうやら赤いリボンのようだ。

2022-05-26 21:15:35
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ユースティアが、生前いつも身に付けていたものだろう。 ここにあるということは、リオと共に炎の中に消える前に、どこかに落ちていたのをデアダームが回収してここに戻したか。

2022-05-26 21:16:15
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

それを手に取ると、なんだか彼女がそばにいる気がして。

2022-05-26 21:18:33
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

イーライに「エリィ」と呼ばれ続けていた不安を、一番最初に話したのも彼女だった。 頼もしいあの笑顔をもう見れないのだと思うと、余計に寂しくなる。

2022-05-26 21:19:37
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

エリーゼはリボンをじっと見つめ…しばらくしてから、窓の外を見た。

2022-05-26 21:20:31
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「……ティア。 このリボン、頂いてもいいですか」

2022-05-26 21:21:51
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返事なんて、あるわけがない。 それでも、言わずにはいられなくて。

2022-05-26 21:22:25
UP A Mystery【完結】 @C_UP_A_Mystery

祈るように赤いリボンをぎゅっと握りしめ、エリーゼはそれを今自分の髪を結んでいる青いリボンと取り替えた。 きゅっと結んで、目を閉じると…なんだか彼女に手を握っていてもらっているようだった。

2022-05-26 21:23:41
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