鏡の国の王子さま(仮)・現在進行形共同作品(非公式)古い順2
取り残されたザーボンは言われた通りに、城の敷地内を散歩することにした。 ティールームから出て、長い廊下を歩き出す。 先ほどオープンテラスにて感じた外の空気を吸いたくなり、外へと続く道を探し始めた。 #sarass2
2011-09-25 22:25:05長い廊下を歩いていると、目の前にドアが見えた。(外に出られるかも知れない)その思いが、ザーボンの心を浮き立たせた。ドアに近づき、ノブに手を掛ける。と、突然後ろから声がした。「王子!お戻りになられたのですか!」 #sarass2
2011-09-30 19:36:51振り向いた先に立っていたのは、またもや見知らぬ男だった。ザーボンは悟られないよう、慎重に答えた。「私に何か用かな?」男は少し眉を寄せると、「なに、ではありません。先ほど電話にてご報告した件で、お話があります」と言った。 #sarass2
2011-09-30 19:37:30「…電話?」と答えて、しまった、と思った。ここで怪しまれては面倒なことになる。そう判断したザーボンは、「ああ!例のアレだな!」と、相手の話に合わせた。男は、ザーボンの態度に訝しげな顔をした。 #sarass2
2011-09-30 19:38:18が、それは一瞬のことで、すぐに冷静な表情を取り戻すと、こう言った。「忘却もほどほどにして頂きませんと…さあ、王子。私と一緒に執務室へおいで下さい」 #sarass2
2011-09-30 19:38:58一方、その頃。バラの上に落ちたジースは、その人物物を見て叫んだ。「バ、バータ!おまっ…!」「すげぇ格好だぜお前」呼ばれたバータは笑いを堪える。「いいから早く助けろよ!」「しゃあねぇな」バータはわざと渋い顔をして、ジタバタしているジースを助け起こした。 #sarass2
2011-09-30 19:40:16「サ、サンキュー…」バラから抜け出したジースの身体は、棘で傷だらけだった。「しかしよぉ…」とバータは言うと、ジースの髪の毛に絡み付いているツルを丁寧に取り始めた。「ホントに、こんなとこで何やってたんだ?」 #sarass2
2011-09-30 19:43:04「知るかよっ!気が付いたら、あそこに落っこちてたんだ!」ムキになって叫ぶジースに、バータは呆れた声で言った。「…ったく。また王子に叱られるぞ?」バータの台詞に、ジースは素っ頓狂な声をあげ、「はぁ?王子ぃ?」と、後ろを振り返った。 #sarass2
2011-09-30 19:43:47「いってーっ!」バータが髪の毛を掴んでいたので、頭皮に痛みが走った。「急に動くからだろ?」苦笑するバータは、更に言った。「見てみろよ。せっかく手入れをしたってのに、お前のせいで台無しだぜ」バータに言われて、ジースは周囲を見回した。 #sarass2
2011-09-30 19:45:00花壇かと思われた場所は、迷路状になっている庭だった。ジースが落ちてきたせいで、一部が壊れている。「お前、責任とれよ」「は?」「オレと一緒に、バラの棘取りだ!」よく見ると、バータの手にはハサミが握られていた。しかも、見慣れない作業服を着ている。 #sarass2
2011-09-30 19:45:38「な、なんでオレが…」ジースは露骨に嫌な顔をした。「当たり前だろ!お前が壊したんだ。手伝ってもらうぞ!」有無を言わさぬバータの態度に、ジースは渋々同意した。 #sarass2
2011-09-30 19:46:17「おい、そうじゃねぇよ。こうだ、見てろ。」 不器用な手付きで棘取り作業をしているジースに見かねて、バータは隣で手本を見せる。 「へぇ~・・・。意外とお前って器用なんだな・・・。」 バータの手本を至近距離で観察する。 納得がいったようで、ジースも棘取りを始めた。 #sarass2
2011-10-01 23:21:34「おっ、いい感じじゃん。」 「え?ま、マジで?」 バータに褒められ、素直に喜ぶジース。 作業は思わず鼻歌交じりになる。 「でもさぁ、ちょっと作業が遅いんだよなぁ・・・」 と突き落とす一言を発したバータ。 「俺にとってはこれでも早いほうなんだよ!」 #sarass2
2011-10-01 23:22:00ヤル気を失くしそうな表情に様変わりしたジースに 「この入れ物に多く棘が溜まった方が勝ち。負けた方がパフェをおごるってのはどうだ?」 と発破をかけてみる。 #sarass2
2011-10-01 23:22:54「負けられっかよー!!」 燃え出したジースの様子に、(うまくいった。)とバータはほくそ笑んだ。 そして、もちろん、負けるはずがないと自信たっぷりで。 こうして二人の棘取り競争は【パフェ】を賭けて火蓋を切った。 #sarass2
2011-10-01 23:23:05同じ頃、市場へ向かって歩いていたギニューとジース。 街の中心部へ足を踏み入れた二人。 「市場はどこだ。」 「あ、ええと・・・あの黄色い屋根の建物の奥です・・・。」 指で場所を示したジース。 (ギニューさん、久しぶり過ぎて忘れちまったのか?) #sarass2
2011-10-01 23:23:59ギニューの問いかけに少々の疑問は湧いたものの、いつもの『ま、いっか』で処理をした。 休日だけあり街は賑わっていた。 中心部に向かえば向かうほど、人の多さは増していった。 (おいおい・・・この混雑の中を抜けて行くのかよ・・・絶対囲まれるぞ・・・) #sarass2
2011-10-01 23:25:23ジースはやや不安な気持ちになりながら、周りをキョロキョロしだした。 人々はこちらを見て、ヒソヒソ・・・と話をしている。 もちろん、そんな様子は気にも留めないギニュー。 そして・・・・・ 「あの!」 二人の前に10歳くらいの少年が立ちはだかったのだ。 #sarass2
2011-10-01 23:25:47「・・・・・なんだ?」 そして、ギニューは表情なく少年に向かって言った。 「・・・ええとぉ・・・サインください!!!」 深々とお辞儀をしながら色紙とペンを差し出す少年。 #sarass2
2011-10-01 23:26:29その瞬間、先ほどまでヒソヒソとこちらの様子を見ながら話していた大衆がドッと押し寄せ、「俺も」「私も」とサインや握手を求め始めたのだ! (ほらきた~!) ジースは思わず半分涙目になった。 #sarass2
2011-10-01 23:26:43ギニューは、自分の周りに集まってきた人間を見て、眉間にシワを寄せた。横にいるジースは、オロオロするばかり。その態度に、いつものギニューなら一喝する所だが、それすらの隙も与えず、人だかりは増え続ける。「おい、ジース!何なんだ?コイツらは!」 #sarass2
2011-10-02 17:38:09「何って…みんなギニューさんのファンですよ!」ジースは爆弾発言を、事も無げに言った。「オレのファンだと!?」一瞬、絶句するギニュー。それを見たジースは、「ファンクラブだってあるじゃないですか!」と、トドメの一撃を出した。「オレの知らない所で、そんなものが…」 #sarass2
2011-10-02 17:39:13ギニューは、少し青ざめた顔で呟いた。「このファンクラブはギニューさん公認ですよ。発足時、自分で『好きにしろ』と言ったじゃないですか!」ジースは不思議そうな顔で言った。「い…言ったのか?オレが?」ギニューの問いにジースは、うんうん、と首を縦に振る。 #sarass2
2011-10-02 17:39:51「ま、まさか、このオレにファンクラブとは…」ギニューは頭を抱え込んでしまった。「しかし…オレにはフリーザ様が…あの方を差し置いて…」独り言を言い始めたギニューに、ジースはますます焦り出した。「それより、早くここを離れないと!」 #sarass2
2011-10-02 17:40:22