『チ。』はどのように批判すべきか問題、などなど。

あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

まあこの件で再度プチバズさせて貰った訳なんだけど、改めてイロイロ思ったので連ツイ。 ／『チ。』批判への反応が面白い togetter.com/li/1953010

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ブログで長々書いたことの再生産っちゃ再生産なんだけど、結局のとこ歴史フィクションってのはそもそも大なり小なり嘘が必要で、その辺を読者も分かった上で楽しむのが前提なので、「史実と違う」って指摘が単体で批判要素になるかっつったらまあならん訳なんですよね。

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なんだけど、じゃあ逆に「史実と違う」って指摘が常に批判になり得ないかってったらそれも違うと思うのよねって話があって、場合場合によっては十分批判になり得ることもある訳ですよ。

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ただその場合は結局のとこ作品のテーマ、内容、コンセプト、描写のリアリティライン諸々を含めた上での話をする必要があって、でないと結局「フィクションに何言ってんの？」でお終いになっちゃうんよね。

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なので歴史フィクションに「史実と違う」ってアプローチの批判する場合は、「何故この作品では史実との違いが作品批判になり得るか（なり得ると自分が考えたか）」をちゃんと論立てする必要がある。んだけど、これ漫画批評として結構難度の高いテクニックが要求されるんよね。

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まあだから凄えウエメセで偉そうな言い方すると、発端の方ってギリシャ数学史の専門家らしいんだけど、フィクション批評については大して手慣れてないでしょって話が出来て、だから「史実と違う」って表層批判しか出来てないんでしょって思っちゃう訳で。

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いや正直ぶっちゃけ俺もあんだけ文字数使っても、完全に自分の言いたいこと文章化できたかって言ったらかなり自信無いとこあるもん。上手く伝えたいこと伝えられてないなって、力の無さ自覚させられてるってのはあるよ本当。

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多分だけど発端の人も別にあらゆる歴史漫画にいちいち批判してる訳じゃないでしょって話があって、いち読者としてイラッとしたならやっぱりイラッとさせる何らかの要素は「チ。」という漫画には含まれてると思うんよね。その辺のメカニズムを言語化できてないってだけで。

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でまあ、これもブログ内で書いてんだけど、「チ。」ってマジでアリバイ作りが巧妙な漫画で下手にその辺の史実との違いについての批判すると、大概作中のどっかに「いやいや分かって描いてんすよ。ホラここにちゃんとフォローあるでしょ？」って１コマやら一言セリフやらがあるんすよ。

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その辺もねー、巧いな〜と思うと同時に、マジで純粋に心情でだけモノを言うと「しゃらくせ〜〜〜〜〜〜」ってなってそれ自体が逆にイラッとポイントになったりするんですがぁ。

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ブログ記事内ではザックリ言うと、「この作品のメタ的なスタンスが作品テーマを自分自身で毀損しとらんか？」って問題提起で「史実と違う」批判しとる訳なんですけど、もうちょい言うと「史実の知識持った人にとって作品の魅力が損ないやすいような作りになっとらんか？」って話もあるんすよね。

塩田信之（ライター） @Yen_den

創作物に対して「史実ではない」ことを批判するような人は、言いたいだけのことも多いし、「史実であることより面白さを重視する」ことも理解できないのだと思います。信じるべき史実も、どこまで真実かはわからないことも多いですけどね。 twitter.com/kazzshi69/stat…

島田一志 @kazzshi69

史実かどうかより、面白いか面白くないか、だと思う。『チ。』については、圧倒的に面白かったわけで（←個人の感想ですがね）、なんら問題はないように思う。 （特に元の発言者に絡むつもりもありませんので、あえて引用リツイートや返信の形にはしませんでした）

2022-10-03 00:30:02

芹沢文書 @DocSeri

「チ。」批判を軸として展開される、地動説に関する科学史概説。長ェ…… / “「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜 - 銀河孤児亭” htn.to/2FTGCqeWtJ

芹沢文書 @DocSeri

エンターテインメントが「事実かどうかより面白さを重視」したって構わないのだが、それと同時に「だが事実ではない」という指摘は当然出るし、とりわけ「誤解を助長する」ようなものへの批判はされて然るべきだろう。 「面白さを優先する」ことは決して万能の免罪符ではない。 twitter.com/Yen_den/status…

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「チ。」の場合は「面白ければ何でもええんか」ってよりか、「そもそも『チ。』の面白さって現実との接続を利用してる所が多分にあるので、史実との食い違いが面白さ自体を阻害してるとこない？」って感覚が結構あるんよな。

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フィクション全般に「専門的な知識がつくと嘘を楽しめなくなる」って話はまああんだけど、内容やテーマ、劇中リアリティラインによって「専門的な知識があっても関係無く嘘を楽しめる」「専門的な知識によって嘘をより楽しめる」タイプの作品も結構あって、

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『チ。』ってかなり強固に「専門的な知識がつくと嘘を楽しめなくなる」類いの作風じゃない？って思うんすよね。

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凄え端的な話すると、オクジー君が満ちた金星を目視するシーンとか、むっちゃ感動的な演出でオクジー君の魂の救済が描かれてる訳なんですけど、読んでる俺はそこで「まあそれで地動説の証明になるってのは完全な誤解なんですが」って冷めた視線を「専門知識」のせいで持たにゃならんくなる訳ですよ。

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それが何故かっつったら、作品全体の流れとしてあそこのシーンのオクジー君の「救済」、「知的探求」という人類史的な大きな流れの一部となり「心理に到達した」というのが重要な役割を果たしてるからなんですよね。

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あのシーンのオクジー君の救済、「新興宗教の集会に参加して蓄光塗料塗られたシヴァ神像に圧倒的な何かを感じて『この世の真理』に気づく」ってシーンで代替するの難しいと思うんすよ。

あでのい@夏コミ新刊委託通販中 @adenoi_today

あそこのシーンの感動って「オクジー君にとっての真実」ってだけでなく「宇宙の真実」でもある必要がかなり強めにあるように感じてて、でまあそうなると「まあ実際には違うんだけど」っていう「専門知識」がかなり邪魔になっちゃうよねっていう。