日本で読める中国古典小説(＋戯曲)の翻訳作品まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

趙氏孤児 元曲の有名な一編。史記の趙武のエピソードをもとに、滅亡へ追いやられた趙氏の再興を描く。趙氏孤児が幾度も死の危機をくぐり抜けるスリリングな展開と、彼を守り抜こうとする仲間達の活躍が見事。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

拝月亭 元曲の有名な一編。戦乱の中で生き別れた二組のカップルが再会するまでを描く。元曲の作者には女真族出身の者が少なからずおり、本作も金が舞台で主要人物は女真族。民族時代を問わない素朴な恋愛譚として仕上がっている佳作。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

梧桐雨 玄宗と楊貴妃の恋を描いた元曲。長生殿への橋渡し的作品。他の作品に比べるとリアリティが強調されファンタジー色がやや薄くなっているのが特徴。玄宗の無能ぶりが凄い。楊貴妃の舞をはじめ歌の場面が戯曲ならではの見所としてうまく作り込まれている。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

琵琶記 明の長編戯曲。都で出世する夫と、故郷の残され貧困に喘ぐヒロイン趙五娘を対比的に描き、やがて五娘は琵琶を片手に上京し夫と再会する。破鏡重円ジャンルの傑作。バージョン違いでは夫に天罰がくだる展開も。貧乏のあまり糠を喉へ押し込む趙五娘の描写が凄まじい。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

牡丹亭 明の長編戯曲。夢の中で出会った佳人杜麗娘と才子柳夢梅。やがて杜麗娘は相手を思い詰めるあまり亡くなるが、柳夢梅が墓を掘り返して還魂させ、二人は結ばれる。死んだ恋人が蘇る展開は後代の才子佳人もので幾度も模倣されるように。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

長生殿 清の長編戯曲。唐の玄宗と楊貴妃の乱世を背景にした恋物語。悲劇の離別を遂げた二人が死後の世界で再会するという甘美なラストに終わっている。長編になったことで過去作よりも場面の掘り下げが増え、まさに楊貴妃物語の完成形と呼べる出来。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

桃花扇 清の長編戯曲。明の滅亡を背景にした書生候方域と妓女李香君のラブロマンス。検閲の都合で清の侵略部分はぼかされているが、それを差し引いても大変ドラマチックで面白い。作者の明への思慕が感じられるラストにはただただ涙。個人的に古典戯曲ナンバーワンの作品です。 #中国古典小説まとめ

春秋梅菊 @chunqiumeiju

とりあえず、このあたりで終了させていただきます。 未翻訳を含めればまだまだ紹介したいものもあるのですが、いずれまた別の機会に。 ちなみに四大名著に関してはブログで全話解説してるので興味のある方は下記からどうぞ。(紅楼夢、演義は終わり今は西遊記の途中） ryunohige5884.blog.fc2.com

春秋梅菊 @chunqiumeiju

ちなみに、現状、翻訳された作品で私が未読なためここに紹介しなかったのは「品花宝鑑」「西遊補」西遊記を除いた「四遊記」あたりだと思います（読まなくても紹介くらい出来る程度に知ってはいますが）。有名どころで是非これも入れておくべき！というものが他にあればご教示ください。

春秋梅菊 @chunqiumeiju

最後になりますが、それなりの数を紹介したのでどれから読めばいいかわからん！という方には私見ですが下記がおすすめ。 西遊記もしくは三国志演義…日本人に馴染みがありお話の筋もわかりやすい。 今古奇観…出来のいい短編揃いで最初の一冊に良い。 西廂記…ちょっと長いけど古典戯曲の祖なので。→

春秋梅菊 @chunqiumeiju

聊斎志異…ほぼ短いお話ばかりで読みやすい。 唐代伝奇各種…国語の教科書などで軽く触れるのでとっつきやすい。 元曲各種…程よい長さ。元ネタの典故が有名なのでこれもとっつきやすいかも。

春秋梅菊 @chunqiumeiju

個人的に紅楼夢や水滸伝は中国テイストがかなり強いので中級者向けに感じます（もちろん、初読ではまれる人もいるとは思います）。私は今でこそ紅楼夢ファンですが、これでも完読までに三度挫折してます。色んな古典読みあさってたらいつの間にか紅楼夢も楽しめるようになってました。

春秋梅菊 @chunqiumeiju

私はやたら広く色んな作品を読みまくってきましたが、四大名著あたりは長い歴史やバージョン違いや多数の研究本や考察、ドラマ化舞台化などはまれる要素てんこ盛りなので、一作の面白さを深く追求する楽しみ方も全然ありだと思います。 このまとめが古典を楽しむ助けになってくれれば幸いです。