『うる星やつら』が最初にTVアニメ化されたのは1981年…大混乱する現場でチーフディレクターに抜擢されたのは若き日の押井守だった

勉強になります
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タイプ・あ~る @hitasuraeiga

無類の映画好きでアニメ好きのタイプ・あ~るです。映画に関する話題(アクションやSF系の作品が多め)を中心に色々つぶやいていますが、アニメの話も大好きです(特に好きなアニメーション監督は宮崎駿、富野由悠季、庵野秀明、押井守など)。ブログも不定期更新中です。type-r.hatenablog.com

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高橋留美子の人気漫画『うる星やつら』が最初にTVアニメ化され放送が始まったのは1981年10月14日。しかし現場は大混乱だったらしい。なぜなら放送が決定したのがオンエアの1ヵ月前で、時間が全く足りなかったのだ。そんな時にチーフディレクターに抜擢されたのが、当時まだ若手演出家の押井守だった。 pic.twitter.com/Tw6dYqWDqY

2022-10-14 12:10:33
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当時のスタジオぴえろは『太陽の子エステバン』と『まいっちんぐマチコ先生』に主力スタッフが投入され、デスクすらいない状態で『うる星やつら』の制作が始まった。困った押井守は自分で他の演出家を捜したり、北海道に帰っていた『ニルスのふしぎな旅』の元スタッフを電報で呼び戻すなど大慌て! pic.twitter.com/2Crm4XqGET

2022-10-14 12:18:53
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押井を含めた3人(早川啓二・小島多美子)で絵コンテを描きまくり、外部のプロダクションにグロスで作画を発注しまくり、ほとんど家にも帰れずスタジオで寝泊まりしていると冬になって寒くなってきたのでプロデューサーに「暖房を入れてくれ」と頼んだら、支給されたのは毛布1枚だけだったという。 pic.twitter.com/7ESLrGIyQs

2022-10-14 12:44:19
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そんな状況で作った『うる星やつら』だが、放送当初の評判は最悪だった。ファンから「原作と違う!」「作画がひどい!」などの苦情が殺到し、会社にカミソリが入った抗議の手紙や罵詈雑言を録音したカセットテープなどが大量に寄せられ、とうとう押井守の降板話まで浮上する事態になってしまった。 pic.twitter.com/fdn4ldvz5S

2022-10-14 12:56:35
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そして押井守の方も、会社側から「どうなってるんだ!」「真面目にやれ!」などと怒られる度に「うるさい!」「こっちも必死にやってるんだ!」と言い返し、「毎日がケンカだった。怒鳴り合いに近い(笑)」と当時を振り返っている。 pic.twitter.com/NrjmqtJeyV

2022-10-14 13:58:01
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しかし社内で「押井守を降板させるかどうか?」を検討していると、師匠の鳥海永行が「絶対に降ろしてはダメだ」「一度決めたんだから最後までやらせるべきだ」「俺たちにできるのは彼をフォローすることしかないじゃないか!」と強く主張し、結局チーフディレクターを続けることになったという。 pic.twitter.com/YIv6HYwBXH

2022-10-14 14:25:15
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その後、徐々に視聴率が上がり始め、山下将仁や越智一裕などが参加してからは作画レベルも急上昇!山下将仁は金田伊功に影響を受けたアクション系のアニメーターで、当時は『太陽の使者 鉄人28号』や『六神合体ゴッドマーズ』などでメリハリの効いた派手なアクションを披露していた。 pic.twitter.com/bcZYiMKON1

2022-10-14 16:26:41
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そんな時、「面白そうな作品があるから一緒にやらない?」と越智一裕に誘われた山下将仁は、「当時『鉄人28号』をやってたんだけど、僕はそこまでメカを意識してたわけじゃなく、芝山努さんや小林治さんの作画が好きだったので、そういうのを描きたくて『うる星やつら』に参加したんです」とのこと。 pic.twitter.com/XpPrZN6kJ0

2022-10-14 18:29:37
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山下将仁が初めて参加した第27話「面堂はトラブルとともに!」では『うる星やつら』に金田系アクションを大胆に持ち込み、奇抜なポーズや独特のタイミングでキャラクターを描き、アニメファンの間で話題となった(以降、山下は”暴走アニメーター”と呼ばれるほどの活躍ぶりを発揮する) pic.twitter.com/5gizU6xYSW

2022-10-14 19:57:06
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山下将仁の作画の何が画期的だったのか?というと、「金田伊功系アクションのカッコよさを残したままギャグに転用したこと」だろう。つまり金田アクションを『うる星やつら』に持ち込むことで、カッコいいアクションそれ自体を”ギャグ”として表現したのだ(当時、島本和彦も恐れていたらしいw) pic.twitter.com/7URMFah1n5

2022-10-14 20:22:25
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その後、「『うる星やつら』は自由に何でもやらせてくれるらしいぞ」との噂がアニメ業界で広まり、森山ゆうじや平野俊弘や西島克彦や板野一郎など凄腕アニメーターたちが続々と集まり始め、急激に作画が充実していった(同時にアニメーターの悪ノリもエスカレートしていったw) pic.twitter.com/MVL0IxBR7L

2022-10-14 21:24:41
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さらに3クール目からは伊藤和典(それまでは制作進行をやっていた)が脚本家として参加し、押井守の演出もどんどん調子が上がってきた。やがて、原作では単なる脇役だったメガネのセリフが増え始め、第87話「さよならの季節」ではとうとう主役以上に目立つキャラへと成長してしまった。 pic.twitter.com/D73LegiyMm

2022-10-14 22:06:21
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押井守は当初、メガネをただのサブキャラ程度にしか考えていなかったが、千葉繁のクセが強い演技とアドリブによって、難解な長ゼリフを饒舌にしゃべり倒すキャラクターが出来上がったという。また千葉繁によると「メガネは押井さんの代弁者」とのことで、ある意味“押井守の分身“とも言えるだろう。 pic.twitter.com/qJUr2Eqmcw

2022-10-14 22:41:43
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ちなみに当時、押井守監督の中では「アニメーションでも長回しや長ゼリフは可能なはずだ」との考えがあり、それを実証するために敢えてメガネに長ゼリフを喋らせた…という理由もあったらしい(この頃から色々小難しいことを考えてたんだなぁw) pic.twitter.com/OotRwiRbYE

2022-10-15 00:12:19
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なお、第19話・20話「ときめきの聖夜」を作る際はスケジュールが全然足りず、苦肉の策として作画枚数を減らしたのだがファンの評判は非常に良かった。押井監督曰く「ああいうしっとりした話はウケるんだよね。僕はもっとドライな話をやりたいんだけど、メガネをやると怒られる(笑)」とのこと。 pic.twitter.com/XdK5gF36Nz

2022-10-15 12:20:04
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やがて『うる星やつら』は高視聴率を記録するようになり人気番組へと急成長していくのだが、当時の状況を押井守は「結果が全てで勝てば官軍」「視聴率が上がったらTV局もプロデューサーも何も言わなくなって演出のやりたい放題になった」と語っており、次第に原作を逸脱し始めたのである。 pic.twitter.com/SuwerkWCmA

2022-10-15 18:34:11
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そして漫画・アニメ・映画のパロディや立ち食いソバなど押井守監督の好きなものとかやりたいことを次から次へとブチ込んで様々なエピソードを作り続けた結果、ついに”事件”が起きてしまった。第101話「みじめ!愛とさすらいの母!?」がフジテレビから納品を拒否されたのだ。 pic.twitter.com/fKRUScvVEm

2022-10-15 18:57:00
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『うる星やつら』第101話「みじめ!愛とさすらいの母!?」は、あたるの母を主役にしたオリジナル・ストーリーで「夢から目覚めるとまた夢だった」という状況を何度も繰り返す母の姿を描き、オチも何が何だかよく分からないまま終わる…という非常に不可思議なエピソードだった。 pic.twitter.com/xNGFDT2Y8p

2022-10-15 19:20:42
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タイプ・あ~る @hitasuraeiga

この第101話、TV局側も放送に間に合わないと困るため仕方なく納品したものの大問題となり、押井守は局長室に呼び出されて厳重注意を受けた挙句、当時のスタジオぴえろの社長(布川ゆうじ)からも「お前いいかげんにしろ!」「二度とやるな!」とメチャクチャ怒られたらしい(視聴者からも苦情が殺到) pic.twitter.com/y5mK08sBDe

2022-10-15 19:41:07
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タイプ・あ~る @hitasuraeiga

しかし「夢の中の自分が現実なのか?現実のほうが夢なのか?」という中国の説話『胡蝶の夢』を題材にした「みじめ!愛とさすらいの母!?」は、その後の押井作品で繰り返し描かれるテーマの原点となり、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を生み出すきっかけにもなったのである。 pic.twitter.com/RdliLvNAr5

2022-10-15 20:11:11
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タイプ・あ~る @hitasuraeiga

そして、押井守は「テレビシリーズという枠の中ではあの辺が限界だろうと感じた」「あとは表現それ自体をより緻密にしていく以外にインパクトの持ちようがない」と語り、第129話「死闘! あたるVS面堂軍団!!」を最後に『うる星やつら』を降板し、同時にスタジオぴえろを退社したのである。※以上です pic.twitter.com/CSuXeeXzOl

2022-10-15 20:47:50
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映像快楽主義 @mitawa3a

@hitasuraeiga 確かに「放送決定がオンエア1ヶ月前」と書かれてますが無理だろうと思いアニメージュ81年10月号を調べて見ると記事が!発売は9月10日だと思うので話が大げさになったのでは?(放送決定前に制作が進むこともよくありますが) pic.twitter.com/qPWJLSXefw

2022-10-15 22:33:50
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タイプ・あ~る @hitasuraeiga

@mitawa3a これ正確には「放送日の決定がオンエア1ヵ月前」だと思うんですよね。つまり「制作自体は前から進んでいたけど何らかの事情で本来の予定よりも前倒しされた」という意味で、ある日スタッフが「来月オンエアで決まったぞ!」と知らされて大慌てに…みたいな状況だったんじゃないかなと(想像ですが) pic.twitter.com/AZzqf4zeiI

2022-10-15 23:51:36
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鮭缶 @sake_can

@hitasuraeiga 松下さんは詳しいと思いますが引退なすっているので聞けそうにないです。 銀河英雄伝説のP、田棒は当時は松下さんの下で働いていたと思うので知っているかもです。 数年前は現役でしたが今はどうか知らないです。 落合氏は鬼籍に入られてしまったので話を聞くことはできません。

2022-10-16 03:41:39