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お玉さんの読書マラソン企画「本格力を高めよう サンシャイン」(4)
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ハードボイルド基軸が自分の芯に出来てない読者、いわゆる入門者さん(大歓迎♫)に対し、ハメット長編で一番間口が広いのは『ガラスの鍵』だと思うんだ。 『血の収穫』『マルタの鷹』ってミステリの基礎体力をつけるための滋養は極少レベルも存在しない、旨味のみの作品じゃないかしら、と思ってる
2023-05-09 02:09:52![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『ガラスの鍵』は他作家の他作品でも代替えが効く、オーソドックスタイプの作品ではあるんだ。けど、押さえるべきツボをキチンと押さえて取りこぼしをしてない仕様は、現代視点で判断したとき相当驚異的なんだよね。遡り「収穫」や「マルタ」が偶然の閃きによる産物でなかったことが窺いしれる
2023-05-09 02:09:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
でも、『血の収穫』や『ガラスの鍵』が普遍的な人間性を描き出すことに成功している(そう判断するのもやぶさかではない)作品ではあるのだが、それを成立させるため、1930年代のアメリカ時勢といった流動的に変容する対照物が物語構造上必要な作品でもあったんだよね。
2023-05-09 02:11:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
なので、人間性だけに焦点を絞り切ることが出来ず、『血の収穫』や『ガラスの鍵』には文学的な雑味が作品テーマに乗っかっちゃってるの。文学コンプレックスを抱いてる私みたいな読者には「ミステリ最強、ギャハハ」と鼻高々なのであるが、まぁ、そういう姿勢って、ハードボイルドじゃないよね
2023-05-09 02:11:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
だからこその『マルタの鷹』なのだ。 プロットは細いんだけど、強い。 たまたま1930年代のアメリカのお話ではあるが、これを現代に置き換えても、もっと未来に設定しても、何なら過去に舞台を置いても、小道具まわりをちょちょいと変更するくらいで、物語として問題なく成立出来ちゃうんだ。
2023-05-09 02:11:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
アメリカでなくてもよい。 山間部の日本でも、あきれるくらい都会の都市でも、アメリカでもギリシャでも、コロニーでもイスカンダルでも、内面に欲を抱え相互間でコミュニケーションが可能な生命体が4ケ以上存在してれば、『マルタの鷹』はやれちゃうんよ。 それくらい普遍性のあるプロットなんだわ
2023-05-09 02:11:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
なんだかよく分からないけど非常に価値がありそうなお宝を巡っての駆け引きと嘘。 忘れちゃならないのは、『マルタの鷹』はハードボイルド文学の開祖という古典的な側面を持ちながら、さらに古典的だったトレジャーハンティングミステリの最高到達点だってことだ。 お宝には悪い連中が群がるモノよ
2023-05-09 02:14:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そんな悪い連中を画一的に、戯画的に描くのではなく、人間を描く、ことを目的にし、多層性が捉えられるよう登場人物は綴られている。 『血の収穫』では極限状況を演出し人間の獣性を浮かび上がらせていたが、ケチな犯罪の「マルタ」の方が、登場人物の人間味はより強くなっている
2023-05-09 02:14:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
意味のないものを巡る闘争。後発のハードボイルド作品が真似したくても真似出来ない領域だ。 ハードボイルド作品でのお宝って、失踪した少女やら、ミステリアスな女やら、行方不明の女性とかに一部の作品でカタチを変え命脈は続くわけだが、……そうしちゃうと意味が出ちゃうんよなあ
2023-05-09 02:14:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
プロットを複雑にし、登場人物にエッジ立てまくり、名言をザクザク並べました。 でも、ハードボイルドっぽいお話構成でお宝探しっぼいことをし、その上でアレをやっちゃうと、「おっ! マル鷹だねぇ」になってしまうんよね。ここに古典が持つ恐ろしさの一端ってのがあると思うんだよねえ
2023-05-09 02:14:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
プロットは細く、イベント満載な『血の収穫』と比較しちゃうと、『マルタの鷹』は地味で動きの少ないミステリだ。(『血の収穫』ってあんな内容なのに犯人当てらしきものも4つあるんダゼ) でも、停滞はしていない。 各種の書評でも指摘あるよう女秘書まわりの素っ気なく、且つ、緻密な構造ってば!
2023-05-09 02:14:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ラストのセリフが「わかった、中へ入れてくれ」なんですよ。 文学にコンプレックスを抱いている私にとって、もうこのラストは骨の芯から身慄いするんだぜ。女秘書のあの反応を見せられて、あの人がやって来て、受け入れる。 ハードボイルドの始動期だよ。ここまで踏み込めているのよッΣ(゚д゚lll)
2023-05-09 02:14:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ハメットに関しては『血の収穫』が圧倒的に好き❤️(次回予告)なんだけど、THIS IS ハードボイルド! の観点から考えてみると『マルタの鷹』に落ち着いちゃうんよネ。 派手さ控えめだけど、溢れる人間味マシマシ野心グツグツのストーリーラインなんだもの。若い私がよく分からんかったのも仕方ないわ
2023-05-09 02:15:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
と言っても、『マルタの鷹』は私にとって愛人である。本妻は『血の収穫』なのだ。 今回の感想の歯切れの悪さは、そういうことである。 でも、揺らぐことないハードボイルドスタイルのスタンダードということ、今作を叩き台に後進の名作が世に出たのになお古びないモノがあるんだよね。これはマジ
2023-05-09 02:15:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
あ〜、「葉桜」って、もう20年前の作品なのかあ〜。 最近の作品って感覚だったけど、時が流れるのって早いよなあ〜。 本格ミステリ・マスターズ集めてたなあ〜。 あの表紙の紙、汚れた手で持つとタイヘンそうな紙だったんよなあ〜。帰宅の電車の中で読むため、シゴトの後、石鹸ゴシゴシしたなあ〜
2023-05-09 02:17:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
本格ミステリ・マスターズ、叙述トリックを使用してる作品が多かったんよなあ〜。 私が叙述トリックというものに対し警戒し始めたのも、この頃あたりなんよなあ〜。 この業書で一番出来の良い叙述トリックものって、……Nさんの作品じゃないかなあ〜(2回文庫化したアレじゃないよ。ニカイだけど)
2023-05-09 02:17:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『葉桜の季節に君を想うということ』に関して思うことは、私は初読も再読も再々読もイマイチだったわ、という印象なの。 初読のときね、作品の半分くらいの段階で大体の仕掛けが見えちゃってしまったのね。……でも、そこに繋げるための決定的な決め手が作品内で全然見受けられずヤキモキしたのだわ。
2023-05-09 02:18:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
決定的じゃないヒントは幾つかあったんよ。だから、それで仮定はサッと組めたんよ、→「あそこに挟まるモノローグって実はあの人のものなのじゃないかしら? なら、あの人がアレっぽいってのもド素直に信用しちゃいけないのでは? そうすると、作内でのあの人間関係にも別の意図が生まれそうね」
2023-05-09 02:18:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
でもって、あの情報が出て来るのが、ほぼほぼ終盤じゃない。更にヒントが出揃ってからの真相開示が息つく暇もなく執り行われてしまうのだから、、、困ってしまう。 作内のとある点で不自然さを感じてたところがあったんだけど、データから推理を組む余裕もなく、答えがポンポン出されてしまった、、、
2023-05-09 02:18:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
感覚的に組み上げた私の推理は、ほぼほぼ当たり。ほぼほぼと記したのは少し考え過ぎていたみたいで、クスリのエピソードが蓬莱倶楽部にリンクするんじゃないのかしら? などというちょっと劇的過ぎる展開予想をしてたわけなの。 読者と作者の騙し合いは一応の勝利。けど、釈然としないわねえ……
2023-05-09 02:19:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「キチンとした推理をさせてくれなかった作品」 私の「葉桜」に対しての初読の印象はズバリこれだったのね。 もしかして、読み飛ばしがあったか? そう思って再読の際には更に更に作品に向き合うカタチで読んだわけけど、軽ハードボイルドスタイルの進行が存分に楽しくて「仕掛けがジャマ!」
2023-05-09 02:19:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
私は世間からズれている。 そう確信したのも、この頃くらいからなのですよね。 『葉桜の季節に君を想うということ』は世間ではとてもウけた。推協賞獲得、このミスは一位、本ミス大賞も当然GETだぜ! 多くの読者から「騙されました〜」という熱いエールが。「歌野晶午、最高!」☜あっ、コレには同意
2023-05-09 02:19:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そして、今回の再読。 ……私、ツイ活の上で政治的なことは語ることを極力避けているわけだけど、「葉桜」の中の日本に元気があまりにありすぎて、読んでいてツラミを感じまくったんだわ、と。 昔読んだときは主人公に軽快さを感じたものだが、今現在の日本の世相を鑑みて読むと、、、本当につらい
2023-05-09 02:20:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
2003年の段階でもファンタジーみたいなお話だよなぁ。と思ってたんだ「葉桜」 ミステリとしての騙しの趣向と呆れるくらいの綺麗事。それらをシッカリ成立させようと思ったら、現実の問題を抱えながらも現実からの飛躍が必要だものね。 昔思った嘘っぽさってほんのわずかだったんだ。でも、今は……
2023-05-09 02:20:02