ヘンリー5世妃キャサリンの戴冠式メニューにおける料理名の謎解き考

さえぼうさんの疑問について、興味深かったので、これまで調べたことと改めて調べたことをツイートしてみました。
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音食紀行 @onshokukiko

こちらの論文では、サセックスからスウェーデンまでの中世初期の沿岸に住む人々は、地元の海岸や河口域で獲れたニシンを食べていて、ニシンはバルト海南岸(今のポーランド北部ポモジェ地方)でとれたものを塩漬けにして樽に詰め、保存食としても取引されていたそうです。 hmr.biomedcentral.com/articles/10.10…

2022-12-16 19:10:34
リンク BioMed Central A brief history of aquatic resource use in medieval Europe - Helgoland Marine Research Humans have exploited European aquatic resources since at least the Palaeolithic, but during the Middle Ages rising human populations and demand initiated great changes in many fisheries. To help understand the past and present of the Wadden Sea, this pap
音食紀行 @onshokukiko

そのようなわけで、まとめに入りましょう。 「ヘンリー5世妃キャサリンの戴冠式メニュー」 ・全て魚料理である(四旬節期間のため肉料理の提供はなし) ・herring(ニシン)という語を使った料理は見あたらない ・"frument with balten"を中世魚粥とした場合、この魚はバルティック産となる

2022-12-16 19:13:22
音食紀行 @onshokukiko

・バルティック産の魚ではニシンが有名であり、中世(10世紀以降)ではイングランド人が塩漬けのニシンを味わっていて、特にバルト海南岸(今のポーランド北部ポモジェ地方)で獲れたものを塩漬けにして味わっていたことを考えると、バルト海産塩(or酢)漬けニシンのフルメント(粥)ではないだろうか

2022-12-16 19:16:25
音食紀行 @onshokukiko

という推測で論を立ててみました。が、音食紀行の真骨頂は料理再現にあるので、これまで様々なフルメント(フルメンティ)を作ってきたので、塩漬けニシンを加えたフルメンティ(中世流行粥)を取り組んでみたいなと思います。

2022-12-16 19:17:51
音食紀行 @onshokukiko

なお、取り上げたヘンリー4世、ヘンリー5世、リチャード3世と戴冠式メニューは第3のコースまであったのですが、リチャード3世でこのようなことがあったので、第2のコースまでに変更となりました。 pic.twitter.com/bftGjbgfIT

2022-12-16 19:21:20
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音食紀行 @onshokukiko

他の単語もちょいと調べて見ようと思います。baltenに時間を取られました。

2022-12-16 19:24:34
saebou @Cristoforou

@onshokukiko どうもありがとうございます!ただ、Brawne and mustardがまた謎で、Brawneはおそらく豚肉だと思うんですよね…

2022-12-16 19:22:58
音食紀行 @onshokukiko

@Cristoforou 一つ一つの料理名を探っていくと色々謎に突き当たりますね。面白い問題提起ありがとうございました。

2022-12-16 19:26:50

tartes

音食紀行 @onshokukiko

戴冠式メニューにはtartes(タルト)の文字も見られます。こちらも魚を使ったタルトになります。1390年イングランドの料理書『ザ・フォーム・オブ・キュリー (料理の方法)  The forme of cury』にもレシピが掲載されています。画像は一部抜粋。ブリムレント(四旬節)のタルト。もうそのまんまです。 pic.twitter.com/wA4d4oaB6q

2022-12-18 08:55:29
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『ザ・フォーム・オブ・キュリー (料理の方法)  The forme of cury』

音食紀行 @onshokukiko

『ザ・フォーム・オブ・キュリー (料理の方法)  The forme of cury』 プランタジネット朝最後の王リチャード2世(1367-1400)の治世期にあたる1390年頃に、王のリクエストに応えて宮廷料理長がイングランド初の料理の指南書が作られました。

2022-12-18 08:56:37
リンク Wikipedia The Forme of Cury The Forme of Cury (The Method of Cooking, cury from Middle French cuire: 'to cook') is an extensive 14th-century collection of medieval English recipes. Although the original manuscript is lost, the text appears in nine manuscripts, the most famous in t 77
音食紀行 @onshokukiko

The Forme of Cury: A Roll of Ancient English Cookery Compiled, about A.D. 1390 gutenberg.org/ebooks/8102

2022-12-18 09:13:17
リンク Project Gutenberg The Forme of Cury: A Roll of Ancient English Cookery Compiled, about A.D. 1390 Free kindle book and epub digitized and proofread by volunteers. 194
音食紀行 @onshokukiko

料理書の話はこれくらいにして、ブリムレント(四旬節)のタルトに話を戻します。 ブリムレント(四旬節)のタルト  ・・・(前略)・・・茹でた新鮮な鮭、またはタラやハドックを取り というわけで料理書のレシピでは、四旬節のタルト=魚を使ったタルトということがわかります。

2022-12-18 09:16:45
音食紀行 @onshokukiko

卵や肉類を使わない「縛り」があるので、前述の魚とリンゴや洋ナシなどの果物やイチジク、レーズン、プルーン、デーツなどのドライフルーツを加えて作るというちょっと味の想像がつかない(でも作ったらとてもおいしい)タルトです。

2022-12-18 09:20:59
音食紀行 @onshokukiko

ブリムレントのタルトは映画『グリーン・ナイト』のパンフレット用にガウェインタルトとして作ったので、そちらも併せてみていただければ。よろしくお願いいたします。

2022-12-18 09:40:56
音食紀行 @onshokukiko

『サー・ガウェインと緑の騎士』においてガウェインは、「パンに包まれて焼かれた」魚料理(J.R.Rトールキン訳)を味わっています。1390年のイングランドの料理書にある四旬節のタルトを基に今回、ガウェインタルトを作りました。 #グリーンナイト #音食紀行 pic.twitter.com/rcaqIsICEr

2022-10-27 11:16:41
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『食で読むヨーロッパ史2500年』(山川出版社)

音食紀行 @onshokukiko

8月末刊行予定の『食で読むヨーロッパ史2500年』(山川出版社)。書影が出ました!今回は今までとガラリと変わりまして『レキアイ!』などでおなじみ亀様 @rekisikei にご依頼して表紙イラストを描いていただきました! どうぞよろしくお願いいたします。 yamakawa.co.jp/product/15191 pic.twitter.com/x6j1FCwliv

2021-07-30 16:45:24
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山川出版社 @yamakawapub

【新刊紹介】 歴史が動くと食卓が変わる💡 人類にとって最も身近といえる「食」の視点から ヨーロッパの約2500年間を概観。 巻末には、文献を元に再現した歴史上の料理を25点 カラーで紹介! 五感を使ってよりイメージ豊かに歴史への旅を🌎 『食で読むヨーロッパ史2500年』 yamakawa.co.jp/product/15191 pic.twitter.com/Bin1NRm3ri

2021-08-30 17:13:12
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リンク 歴史と教科書の山川出版社 食で読むヨーロッパ史2500年 | 山川出版社 食で読むヨーロッパ史2500年(一般書)/遠藤雅司(音食紀行)のご購入は、山川出版社公式サイトで。「歴史書・教科書・学習参考書の山川」として様々な歴史刊行物を出版しています。一部書籍は目次もご覧いただけます。 177