尾崎将也の脚本に関するつぶやきをまとめました(2022年版)

twitterに昨年一年間に書いた脚本の書き方・勉強の仕方についてのつぶやきをまとめました。 noteで「尾崎将也の<全部入り>脚本講座」の連載をしています。https://note.com/ozakimasaya 書籍『3年でプロになれる脚本術』も合わせてお読みください。https://www.amazon.co.jp/dp/4309277845/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_AuxkCbWV6N63T
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尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

言い換えると「落差」が大切ということです。好き(+10)がすごく好き(+15)になっても変化は「5」ですが、嫌い(-10)が好き(+10)になると変化は「20」で、この落差が大きい方がストーリーの中のインパクトが強いということです。(数字はわかりやすくするための仮のものです)

2022-05-26 14:41:43
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

初心者は、なぜか常識レベルのことを無視することがあります。例えば行方不明の人の死体をかなり経ってから見つけるシーンを感動的な再会みたいに書いてるので「その死体、かなり腐敗してるんじゃないの?」と言ったら「あ、そうですね」と。自分のイメージに余計な要素を無意識に除外しているのでは。

2022-05-30 15:58:11
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「言語化する」というのは勉強する上ですごく大切なことだと思います。ある作品を見て「面白いなあ」と思うだけだと時間と共に記憶は薄れて行きますが、「何がどう面白いのか。他の作品とどう違うか」などを考えて言語化すると、脳に残る度合いが全然違います。紙に書くとなお効果的。

2022-06-11 11:51:24
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

ストーリーが作れるようになるのも同様に言語化が大切で、映画を見てどんな話かをちゃんと説明出来るようになるまで考える(そして紙に書く)ことの積み重ねでストーリーを作る能力が脳内に形成される気がします。

2022-06-11 12:38:13
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

生徒のプロットのほぼ全てに共通するのはキャラが薄いということ。本人は考えたつもりかもしれませんが、薄すぎです。キャラがあるから心情があり、言動が生まれ、ドラマになって行きます。「結婚できない男」を参考にするなと生徒によく言いますが、キャラがあるという点だけは参考にして欲しいです。

2022-06-22 16:40:17
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

前にも書きましたが教室の生徒に「結婚できない男」を参考にするなという理由は、一般的にドラマは主人公が目標に向かって行動し、その中で変化・成長することを描くものなのに対して「結婚〜」は主人公が「自分はこのままでいいからほっといてくれ」と思っており変化・成長する気が全くないからです。

2022-06-23 12:24:20
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「生徒のプロットはキャラが薄い」と前に書きましたが、これは簡略化した文書で書くことによるのかもと思いました。「誰それが何をする」とだけ書いてもキャラも心情もありません。で、そのまま脚本を書いてしまい、キャラも心情も薄い脚本になるのではないかと。

2022-07-07 12:28:21
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「①どうしたら面白い脚本が書けますか」と「②どんな勉強をしたら面白い脚本を書く能力が身につけられますか」という二つの質問を比べると、①はアウトプットに、②はインプットにフォーカスしています。成果を上げることができるのは、②の質問をして、それで知った勉強法を日々実行する人です。

2022-07-18 22:08:32
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

脚本を直すとき、パソコン画面を見ながら直すか印刷した紙を見ながら直すかという件ですが、気づくことや発想することが微妙に違う気がするので、両方を併用するのがいいのではないかと個人的に思います。

2022-07-27 12:50:48
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

教室に入ったばかりの人に「インプットしないとアウトプットはできない」と言うと「え?」みたいな感じでボカンとする人が多いです。自分が今持っているものだけを元にコツをいくつか聞けばそれなりのものが書けるようになると思っていたのでしょう。その認識を転換するのは割と大変な作業のようです。

2022-07-29 12:31:17
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生徒でプロット作りで迷走する人は、「主人公がやることは何かという中心軸(刑事ドラマなら捜査して犯人を逮捕する)」が見えないまま書いてしまうことが大きな原因です。主人公がやることが見えると、それを阻むカセが見えたり最終的に乗り越えるべきものが見えたりしてストーリーが出来ていきます。

2022-08-02 10:52:37
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

生徒に「どんな話か三行で言って」と言うと「二人の男がぶつかりながら理解を深めて行く話」などと言います。それだと刑事ドラマで「刑事が捜査して犯人を逮捕する話」と言うのと同じです。刑事ドラマにも「今回はこんな話」というのがあるはず。自分が書く個別の話は何かを明確にする必要があります。

2022-08-04 10:28:24
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

生徒作品のよくある問題に「技術論の会話が多い」というのがあります。例えば漫才師が主人公の作品で、笑いを取る方法について延々と話して、人間ドラマになかなか入らないのです。その作者が技術論は書けるけど人間ドラマは難しいのでそうなるのでしょう。前者を削り後者にトライするしかありません。

2022-08-05 12:40:46
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映画を分析するとき、「全体の流れを大まかにつかむ」ことと「場面の中の個々の細かい工夫を見る」ことを分けるのは割と重要なことかも。ディテールが集まって全体ができているのは事実ですが、全体とディテールをごっちゃに考えると収集がつかなくなります。

2022-08-06 23:06:42
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「ストーリーの流れを大まかにつかむ」ためには、ニ時間の映画ならA4の紙をニ枚くらい横につなげたものにストーリーの流れを箇条書に書いて、どんな話かを考えて行きます。このとき一目で全体を見渡せることが重要です。流れをつかめたら、「三行で言うと、どんな話か」が言えるまで煮詰めて行きます。

2022-08-07 11:27:41
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

ドラマの葛藤には「①人対人」「②人対環境」「③人の心の中」の三種類の葛藤があります。人間ドラマでは当然①が中心となります。生徒は①を書くことが難しいらしく、無意識のうちに②か③に流れる傾向があります。脚本の勉強として、①がちゃんとできているかチェックする必要があるでしょう。

2022-08-21 10:30:46
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

生徒の作品に割と多いのが「誰かを探す話」です。しかし「探す」というのは単なる作業で、そこに困難さがあるとしても②の葛藤です。やっと①の葛藤の相手が見つかるのはほとんど終わり近く、ということになってしまう場合が多いです。

2022-08-21 11:33:31
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

脚本を勉強する上で、「葛藤には三種類ある」みたいな知識は重要で、それを知っているからこそ自分の作品に対して「②と③に流れていて①が不足してるんだな」と問題点がわかり、修正が可能になるのです。

2022-08-21 12:21:14
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

この三種類の葛藤という観点で映画を分析すると面白いと思います。一般的にハリウッドのエンタテインメントは②の要素が大きいでしょう。人間ドラマの場合も①だけでなく②や③の要素もあるはずです。先日紹介した『ベニスに死す』は③がメインになっている珍しい作品です。twitter.com/ozakimasaya/st…

2022-08-21 15:25:44
尾崎将也/脚本家・映画監督・小説家 @ozakimasaya

<名作映画百本ノックB面㉗>『ベニスに死す』芸術に行き詰まった作曲家がベニスで究極の美少年と出会い、声をかけることなく彼の姿を追い求めて彷徨う。ドラマは人と人が関わるのが普通ですが、この主人公は相手と関わらずひたすら一人相撲を続けます。傑作ながら生徒に参考にしろと言いにくい作品。 pic.twitter.com/80zlcS9RQ8

2022-08-18 21:07:26
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

欠点が多くて人に迷惑をかける人物が、観客から嫌われるか、「しょうがないなあ」と苦笑しつつ好意的に受け入れられるかは、その人が抱える問題を多くするほど、どちらに転ぶか予測が難しくなります。今にして思えば「結婚できない男」はほとんど賭けみたいなものだったのかなと思います。 pic.twitter.com/q4KcJEsOii

2022-08-22 11:09:02
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尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「問題の多い人物なのに観客に好かれる」の絶対的な成功例は「男はつらいよ」シリーズの寅さんです。「結婚できない男」を書くときに「あんなふうにすれば大丈夫」みたいな目標として定めることができてよかったのかなと思います。(「人に迷惑ばかりかける寅さんが嫌い」という人も中にはいます) pic.twitter.com/OZXhrAswbQ

2022-08-22 11:16:08
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尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

「人物描写を深める」というのは、主に人と人の関わりを描く中で可能になるものです。例えば主人公がAだと思っているときに、別の人に「Bでは?」と言われ、主人公は「いや、Aだ」と思っているんだけど、やがて「実はCだった」と気付くみたいな。Bでは?と言う人がいないとCにたどり着きません。

2022-08-25 13:33:40
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

これはプロでもたまに起こることですが、脚本を直したときに、前の原稿の今となっては不要なシーンが残ってしまうことがあります。それは直しの方針が明確でないことが原因です。何のために、どのように直すかが明確になっていれば、不要なシーンは自ずとわかるはずです。

2022-08-28 12:13:03
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

セリフには「①事実を知らせる」「②人物の心情やキャラを表現する」「③ストーリーを前進させる」の三つの機能があります。この知識があれば、セリフが説明的だと言われたときに、②や③を足せないかと考えて解決に近づくことが可能になります。

2022-09-04 11:47:40
尾崎将也/小説『パラレル・パスポート』発売中 @ozakimasaya

脚本の直しで、ワンシーン直すとその影響で後のシーンの心情や関係性が変わって来ることが当然あります。笑顔で話しているのが「いや、前にあのシーンがあると、ここは笑顔になれないよな」など。そのシーンだけでなく流れで見ていくことが必要です。

2022-09-08 12:27:02