鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』読書メモ

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かんた @0sak1_m1d0r1

「動物園とオリエンタリズムには、19世紀以来、深い関わり合いがあった。有色人種は半-人間、半-動物として、博覧会などで檻の中に展示され、動物のように植民地帝国の大衆によって見物されてきた。高村光太郎がアメリカに到着したまさに1906年の9月から年末にかけても、

2023-01-21 17:01:13
かんた @0sak1_m1d0r1

彼の散策したブロンクス動物園では、アフリカのピグミー族のオタ・ベンガという若い男性が類人猿と一緒に展示されていた。」 (鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』p251,252) →ゾッとした。

2023-01-21 17:02:06
かんた @0sak1_m1d0r1

個人の主体の死は、生命をささげることが選び取られることで逆説的にその主体を至高なものにし、「死滅」することのない「光りの言葉」とする。 (鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』p310)

2023-01-24 17:04:00
かんた @0sak1_m1d0r1

文学の一つの機能が、なりかわることのできない他者の感じている世界を垣間見せてくれることにあるとすれば、この欲求を簡単に叶えてくれることも魅力の一つとなって、人々はより多くの時間をソーシャルメディアに費やすようになっている。 (鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』p392)

2023-01-24 17:06:21
かんた @0sak1_m1d0r1

「本書で見てきた動物や機械の表象は、ハラウェイが語る、サイボーグ的存在と共通したところがある。様々な規範的カテゴリーから逃れた場所に、規範から逸脱した「人間ではないもの」のイメージは出現していた。

2023-01-24 17:08:46
かんた @0sak1_m1d0r1

また安定した自我、確固として自己同一的な主体に対する疑いが生じる時にも、動物や機械の表象が現れた」 (鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』p397)

2023-01-24 17:09:13
かんた @0sak1_m1d0r1

鳥居万由実『「人間ではないもの」とは誰か』読了。最初から最後まで本当に面白かった。特に、上田敏雄論、萩原恭次郎論、高村光太郎論。都市が全く新しい様相を呈したモダニズムの時代、そして戦争の時代において「人間ではないもの」の表象には一体なにが託されていたのか。

2023-01-24 17:16:56
かんた @0sak1_m1d0r1

どの詩人もそれほど詳しくない状態で読んだのだけど、基礎的な知識が説明された上で初期→後期の比較が論じられている章が多く、各詩人の入門としても読めた。 今までノーマークだったけど、萩原恭次郎と高村光太郎は自分にとって重要な詩人だという直観を得たので、読んでいきたいと思う。

2023-01-24 17:22:34