「国際日本学」はありうるか:関西外国語大学の「国際日本学科」(予定)の考察から「国際日本文化研究センター」に至る

関西外国語大学の外国語学部に、来年度(2024年度)から「国際日本学科」という新学科が出来る予定だ。「国際日本学科」ってなんやねん?何が勉強できるの?と思うのが普通だ。そんな学問はないからだろう。 そこで、「国際日本学」というようなものがありうるのか、私なりに考えてみた。(これは、私の「妄想」である。大学の公式見解ではないことをお断りしておく。) 結論としては、「国際日本学」を「外から見た日本」と捉えると面白いかもしれない。また「国際日本学」はありうる。それは国立の研究所「国際日本文化研究センター」や、東北大学大学院の「日本学国際共同大学院」を見れば分かる。
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」19: 関西外国語大学というのは、いわゆる航空業界の就職率が高い。CAさん(キャビンアテンダント)への就職者数は日本一だ。 しかし「外からの視点」で日本を深く学ぶのは、実は容易ではない気がする。国際日本学科というのは、それを意識した学科になれば、面白いのではないか。

2023-05-14 17:05:20
馬場正博 @realwavebaba

80年代からバブル崩壊にかけての日本の経済力は、存在感で確実に今の中国より上だったと思う。中国+TSMC+サムスンを持った、欧米から見れば自分達とは別世界の論理で動く経済モンスターが当時の日本。 twitter.com/y_mizuno/statu…

2023-05-14 16:59:16
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」16: 今の学生さんは1980年代のバブル期の日本は、イメージが難しい。ある先生の授業参観で、内容は日本の経済発展に関する英文エッセイ、その中に日本のバブル期の話もあった。私は「その頃どうだったか」と振られた。「外からみた日本」がどうなのか、意外に知らないかもしれない。

2023-05-14 14:31:24
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@realwavebaba そうだったみたいですね。日本が、世界の政治経済を変えてしまった。具体的には新自由主義の始まり。社会民主主義的な福祉政策をやめ、自己責任論のサッチャー首相とレーガン大統領。世界経済は日米欧の3極になり、ついに欧州はEUに統合。それが1991年のEU統合のマーストリヒト条約でした。

2023-05-14 17:52:10
馬場正博 @realwavebaba

MITのスローンスクールの学部長だったレスター・C・サローは1993年「大接戦ー日米欧どこが勝つか」という本を著し、冷戦後に日米欧三極の経済の準ブロック化が進むと予測しました。「たった」30年前には真剣な議論の対象でした。 twitter.com/y_mizuno/statu…

2023-05-14 19:31:47
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@realwavebaba 資料のご紹介をありがとうございます。探せば、相当の数の文献・資料がありそうですね。「国際日本学」なる未知の分野について。 Kazuo Ishiguroのノーベル賞受賞講演を聞いてみました。こんな方面にも、「国際日本学」のヒントはありそうでした。

2023-05-14 22:05:37
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@realwavebaba 東アジア+米国+EUという構図だというと、C国もK国もどう思うんでしょうね。

2023-05-14 22:12:48
馬場正博 @realwavebaba

1990年代初頭の時期なら中国も含めて円経済圏を作ることも可能だったのではと思います。歴史にIfは禁物ですが、出来たとしても、それが良かったかは疑問です。 twitter.com/y_mizuno/statu…

2023-05-14 22:16:38
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」20: 外から見た日本がどうかは別。そういう日本が描かれ続けていることは事実だ。 最近では「敗北を抱きしめて」"Embracing Defeat: Japan in the Wake of World War II"も改訂版が出た。知り合いのお嬢さんが大学時代に、この本が教科書だったと聞いて、驚いたことを思い出す。

2023-05-14 18:10:48
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」21: こうして見ると、関西外大の外国語学部に「国際日本学科」という一見不思議な名称の学科が出来るというのも、私なりに理解できる気がする。色々と研究の素材まで、ありそうだ。#知らんけど "The Last Samurai"も映画になった。昔のマダム・バタフライとか。何より実用性もある。

2023-05-14 18:19:10
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」22: カズオ・イシグロのノーベル文学賞も非常に面白い。村上春樹の翻訳についても。あるいは彼の英語翻訳論も面白い。あるいは川端康成のノーベル賞の裏話(三島由紀夫との確執)などまで広げると、テーマとしても非常に面白いかもしれない。国際日本学の誕生である。#知らんけど

2023-05-14 18:26:54
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」23: 関西外大の新設「国際日本学科」の実用性とは。どの大学にも学風がある。関西外大の学風は、対話に積極的で、礼儀正しいことだ。留学生も多く、英語コミュニケーションの訓練と、言語学の教育から学風が生まれる。その結果、海外との往来が日常の世界で、役に立つ人材となる。

2023-05-14 18:40:03
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」23: 思い出した。「国際日本文化研究センター」という国立の研究所がある。通称、日文研。(失礼しました。) これですね。国際日本学の試みは、すでにあった。 「日本文化を国際的な視野で、学際的かつ総合的に研究していこうとする研究機関です。」 nichibun.ac.jp/ja/about/

2023-05-14 22:18:16
井上リサ @JPN_LISA

関西外国語大学で2024年度から創設される「国際日本学科」について、水野義之先生による「日本国際学」という学問の定義づけ的なメモ。日本と海外の経済・貿易・外交関係史、江戸期以降に日本に流入した西洋芸術、学問、哲学などについて、全23章(補足章付き)のスレッド。 twitter.com/y_mizuno/statu…

2023-05-15 10:18:16
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

関西外国語大学では、2024年度に国際日本学科という新学科ができます(予定)。kansaigaidai.ac.jp/academics/cfs/… 「何を勉強するの?」と思う人もいるようなので、私の意見をメモします。(私はこの学科には関わっていませんが、一応、中の人なので) 「外から見た日本」を思い出してみると、なかなか面白いです。

2023-05-14 07:31:24
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足1: 日本学という言葉はJapanologyの翻訳だと思う。海外が先だ。他方で、Japan Studies(日本研究)という言葉もある。 この違いは、一般的に学と論の違いと同じく、各論ある立論の段階の「論」Studiesと、系統化・体系化された「学」-ologyとの違いとして理解できると思う。

2023-05-15 09:55:34
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足2: 改めて「日本学」でgoogle検索してみると、東北大学に以前から「日本学国際共同大学院」なる研究科まであることを知った。少し驚いた。 そういえば、江戸時代初期の遣欧使節の支倉常長は仙台藩の出身。そういう歴史的文脈の上で(少し無理はあるものの)東北大学なのだろうか。

2023-05-15 09:59:38
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足3: 一晩寝かせて、思い出した。まずは織田信長の城下町だった岐阜で、日本報告を書き送ったルイス・フロイス神父のこと。 彼の「日本史」の本がある。その書簡にはGuifuの記述がある。岐阜城の中にもコピーがある。曰くその栄耀栄華はバビロンの如し。岩波文庫にもなっている。 pic.twitter.com/bXdJtLhxjc

2023-05-15 10:24:08
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足4: 次に思い出したのは、新渡戸稲造のこと。著書「武士道」の英語版(おそらく最大の貢献)でも広く知られる。これは逆向きのベクトル、外からのため内から外へ。札幌農学校で若き内村鑑三と同期。真の国際人の一人。国際連盟事務局次長も務めた。北大にも資料室があったと思う。

2023-05-15 10:56:00
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足5: 海外でも知られる個人を取り上げると、数限りない。古くは空海だって、遣唐使として最終的に密教の真髄をただ一人、伝授された。当時の真の国際人だ。最近も芸術家、漫画家、科学者、IT関係、一部の経済人、政治家等、多数いらっしゃる。ブロックチェーン提案者も日本人だ。

2023-05-15 11:31:40
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

「外から見た日本」補足6: 物理学者で言うならば、最大の国際貢献は湯川秀樹と南部陽一郎かもしれない。世界の物理学者で湯川と南部を知らない人はいない。Yukawa CouplingとかNambu-Goldstone Bosonとか。頻出で必須の専門用語だ。 私の知る社会科学者では、米国の経済学の青木昌彦先生がおられた。

2023-05-15 11:39:53
井上リサ @JPN_LISA

@y_mizuno 水野先生の「国際日本学科」についての広範にわたるメモを大変に興味深く拝見しました。学問分野では、私も個人的に近代以降の西洋学問の黎明期に関心がありますね。「西洋から何を学んだのか」また、「日本からの学徒らは西洋ではどのように理解されたのか」など。

2023-05-15 11:05:03
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@JPN_LISA 同感です。恐縮です。「国際日本学科」って何?を考えると、意外に一般性、普遍性がありそうで、面白かったです。 海外に出ることで、それまで当たり前だったことが、実はそうではない、と気付くことが多くありました。 自分の受けてきた教育自体、「常識」自体、研究自体の相対化もその一つでした。

2023-05-15 11:51:05
井上リサ @JPN_LISA

@y_mizuno 私が関心のある件としては、三宅速(1866-1945)はビルロート門下のミクリッツに師事するためにドイツ留学。原島進(1901-1972)はフルトンの『生理學史粹』を翻訳。そして数学者の中川銓吉(1876-1942)は東大で教壇に立つ一方、ドイツ製の幾何学模型(楕円関数など)の収集をしていました。

2023-05-15 11:13:02
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@JPN_LISA 三宅速のこと、アインシュタインとの出会いも、興味深いです。 原島進という人物も、私は知らなかったです。なぜ、ご興味を持たれましたか? 数学者の中川銓吉は、微かに聞いた程度。予備知識ゼロでしたが、数理模型の造形作品収集は面白いです。女子教育の教材作成は、どういう経緯だったんですか?

2023-05-15 12:19:36
井上リサ @JPN_LISA

@y_mizuno 同じ学問でもドイツ経由で入ってきたものと英国経由で入ってきたものとでは流儀にも違いがありますし(特に医学)、また、海外の日本研究者の存在にスポットが当たるのも大変に興味深いですね。「国際日本学科」(または国際日本学)は今後、おおいに注目させて頂きます。

2023-05-15 12:21:43