三国志こばなし集 2023年6月号
- omikanboy3594
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シ「なぜこんな非道を…」 関「シュー殿!さっきの音はなんですか!」 シ「…あなたが戻ってきてくれたのが、救いになるかもしれない」 関「それは?」 シ「こちらへ」 関「製塩場の爆破事件ですと!」 シ「ええ、今すぐ私と共に現場を確認しましょう!」 関「いえ、シュー殿!」 シ「なにか?」
2023-06-28 12:11:07関「あなた達の製塩場だけを爆破することに、なんの意味があると思いますか?」 シ「…そう言われると」 関「すぐではないとしても、復旧すれば済む話では」 シ「概ね分かってきたました、関真」 関「…」 シ「我らが関羽殿と築きあげた塩の商いを、全て破壊しようというのですな」
2023-06-28 12:11:07関「そんなことをする意味が分からないのだが」 シ「関真殿…」 関「どうされた、シュー殿!?」 シ「これはおそらく、私が関羽殿との塩の商いを、私たちだけで独占したことによる罰ではないかと思うのです」 関「…」 シ「開口一番あなたを処断しろなどと宣った私の方が、よほど重い罪を背負っていた」
2023-06-28 13:14:16シ「情けない。心の底から情けない」 関「シュー殿!」 シ「…」 関「あなたがいつまでもご自身の罪から目を逸らし続けてどうするのです!」 シ「!」 関「私は関羽師匠との稽古で、やっと自分の罪と真っ向から向き合うことができ、偽から真となる所を見届けたではありませんか!」 シ「その通りです」
2023-06-28 13:14:17関「最も、その道中でどうしようもないパチモンをゾロゾロ連れてきてしまったのですがね…」 シ「いいえ。それは違いますよ、関真」 関「それは?」 シ「どんな人間だろうとも、集まれば大きな力になれるはずです」 関「そうですな!」
2023-06-28 13:14:17シ「我ら村人とあなたのパチモンを総動員して、私たちの戦を始めましょう、関真!」 関「やってやりましょう!シュー殿!」 林「猫子頭林中!」 秦日「霹靂人秦日!」 呼延勺「双棒呼延勺!」 董十「単槍将董十!」 シ「…」
2023-06-28 13:51:27林「ここしかないと思ったタイミングを見計らって出てきたぜ!」 シ「私もめちゃくちゃ腹立ちました、関真」 関「ですよね」 林「酷え」
2023-06-28 13:51:28関真…関羽との修行の成果を見せられそう。 シュー…村長として本領を発揮できるか。 エン…パチモンたちのリーダーになっているのがすごく嫌。 パチモン…彼らは何も悪くないはずなのに、なぜこうも腹が立つのだろう。
2023-06-28 13:51:33曹操「今日の一人遊びは」 曹「一人バトルドーム!」 曹「常々の疑問を解消すべく、年甲斐もなく買ってきたぞ」 曹「いざ!」 曹「!!!!」 曹「超エキサイティング!」 典韋「働け!」 曹「…」 曹「よし。概ね分かった。研究成果を皆に発表するぞ!」 曹「というわけで来てもらった訳だ」
2023-06-28 23:48:31荀彧「今日は何をさせられるのやら」 郭嘉「お久しぶりです、于禁殿」 于禁「こちらこそ」 曹「四人揃って遊ぶゲームといえば」 郭「麻雀ですか?」 曹「バトルドームだ!」 荀「CMでしか見たことのないおもちゃ筆頭だ…」 曹「早速四人で例のCMのように超エキサイティングしようではないか」 于「…」
2023-06-28 23:48:32曹「感想を述べよ」 郭「粛々とガチャガチャしてるだけでしたね」 于「いうほどエキサイティングしませんな」 荀「正直一回やったらもういいです」 曹「実は私もそうなのだ」 郭「それで?」 曹「我が家におもちゃ置き場がなくてな」 荀「いりません!」 于「私も」 曹「ならば置き場をかけて勝負!」
2023-06-28 23:48:33曹操…結局負けてバトルドーム置き場に困り果てている。 荀彧…夏侯惇殿と夏侯淵殿がいない間におもちゃ屋さんみたいになってないか。 郭嘉…典韋に認められて一部屋もらったばかりだから絶対置きたくなかった。 于禁…役者仲間とやっても一度で飽きそうです。 典韋…あの無職は毎日何をしてるんだか…
2023-06-28 23:48:36「僕の顔をお食べよ!」 曹操「…」 荀彧「何をしげしげと児童向けアニメを凝視されているのです」 曹「自身の顔を飢えた子どもに与える英雄に、痛覚はあるのかを考えていたのだ」 郭嘉「興味深いですね」 荀「…」 曹「少なくとも顔をむしる時には、痛そうではないよな」
2023-06-29 20:06:46郭「笑顔で与えていますものね」 曹「もしや奴は、顔は笑って心で泣いているのか?」 郭「ならば誠の英雄ではないですか、あいつは」 曹「うむ…」 荀(平均知力九十代後半が議論する内容なのか)
2023-06-29 20:06:47曹「だとすると、あちらの世界に痛みや痛いという概念や言葉があるのかが最初の論点にならぬだろうか」 郭「注視しましょう」 荀「…」 「痛い!」 曹「もう言いやがったぞ!」 郭「転んだ程度で、不甲斐ない」 荀(厳しいな) 「痛いよ〜!」 曹「泣いた!」
2023-06-29 20:06:48郭「この体たらくでは、つい先ほど顔を笑顔でむしって食わせた英雄に二度と顔向けできませんぞ」 曹「アニメのように、滝のような涙を流すとは、情けない子どもめ」 荀(アニメでしょうが) 郭「…もしやあの英雄は、涙を流すことすら禁じられているのでは?」 曹「なぜだ?」 郭「あちらを」
2023-06-29 20:08:45「顔が濡れて力が出ない…」 曹「なんという致命的な弱点だ!」 郭「外部から水を浴びるだけでこの有様だというのに…」 曹「己が内から溢れる涙で顔を濡らすことすらままならぬ以前に、そもそも泣くことも許されぬ漢ではないか!」 荀(孟徳殿まで泣きそう…)
2023-06-29 20:08:46荀「まず、顔をむしり飢えた子どもに与える英雄がいる世界観において、英雄自身に痛覚があるか否かはまだ定かではありませんが、一般の子供たち及び世界観において、痛覚という概念及び痛いという言葉は明確に存在することがこれまでで明らかになっています」 曹(真面目な男よ)
2023-06-29 20:08:51荀「その上で自身の顔が濡れることによって、表皮が過剰に湿ってしまうこと、すなわち水を含む液体による顔面への攻撃が致命的弱点であることも分かりました」 郭(子どもの頃に見たことなかったのかな) 荀「その上で、私が次に提案する議題として」 曹「うむ」
2023-06-29 20:08:52荀「我らが今生きている世界において、自分の顔をむしって与える英雄が本当にいるのか否か、という議題を提案します」 郭「なるほど…」 荀「その議論をするにあたって、私が真っ先に思い浮かべたケースたり得る英雄が、晋の文公を支えた忠臣の介子推です」 曹「…またエグい故事を」
2023-06-29 20:08:53郭「しかしリアル餡饅マンと言っても過言ではない故事です」 荀「すなわち、かの春秋五覇の一角を担う文公の放浪時代、飢えた文公こと重耳に自身の腿の肉を食べさせた故事ですが」 曹「お前はよくその故事を、我らの夕飯でフライドチキンを食べている食事の場で思い出せるものだよな」 荀「…」
2023-06-29 20:08:57郭「今更にも程があります!」 荀「…鶏肋ということで、ここはひとつ」 曹「肋ではなく腿だ!」 郭「この世界のあんたの死因が変わってきますよ、文若先輩」 荀「…不本意な死ならば大差ないですから」 曹「やめんか!」
2023-06-29 20:08:58郭「ですが本当に食わせたんですかね」 曹「麻沸散も無い時代にだぞ!」 荀「それに、腿の肉を食わせた後だって大変じゃないですか」 曹「歩けなくなるのは言わずもがなだが」 郭「その後の治療だってどうやってしたのでしょうね」 荀「むむむ」
2023-06-29 20:08:58