三国志こばなし集 関羽千里行編

関羽と周倉がヒマラヤの奥地から千里行を始めるそうです。 第一部(出発編): https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20219426 第二部(旅上編): https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20318015 第三部(逆襲編): https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20542647 続きを読む
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第18話

序章

第二部

三国志こばなし集 @omikanboy3594

趙累「関羽殿」 関羽「どうした?」 趙「ヒマラヤでお世話になった方々から贈り物が届きました」 関「おお。今年も贈呈用の塩を仕入れる時期かな」 趙「そうですな」 関「…単身で行くことになると思うが」 趙「やれやれ…」 関「…迷惑をかけるな、趙累」 趙「いいえ。それが私とあなたの縁ですから」

2023-05-22 10:14:18
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関「…いや。時々振り返るのだ」 趙「何をです?」 関「潘濬や士仁とも、もっと上手くやることが出来たはずだとな」 趙「それは、関羽殿」 関「…」 趙「全くその通りでしたよ」 関「…うむ」 趙「あなたの並々ならぬ熱意や義心について行けた者が、どれだけ貴重な者だったか、噛み締めてくださいね」

2023-05-22 10:14:19
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関「すると今の私にとってはお前かな、趙累?」 趙「…ええ、そうかもですね」 関「礼を言う、趙累」 趙「そんな…」 関「私が出張から帰ったら、盛大にお前の労を労うからな」 趙「楽しみしてますよ」 関「…」 趙「なんだかんだ、私もあなたの下であたふたやってるのが性に合う変わり者なのでね!」

2023-05-22 10:14:20
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関羽…熱意と義心があり溢れるバイタリティで、絶対に不可能だと思われた塩の輸入交渉を成功させ、社内に大貢献した過去がある。しかし、その裏で酷使され続けた潘濬や士仁らとは袂を分つこととなってしまった。 趙累…関羽の部下。長年関羽の補佐や調整役として働き続けてきた縁の下の力持ち。

2023-05-22 10:14:32
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趙累「…?」 関羽「趙累。例の件の返事は?」 趙「それが、まだきていなくて…」 関「なに?」 趙「電話も担当者不在で折り返しの一点張りです」 関「明日には出張なのだが…」 趙「…何か嫌な予感がします」 関「予感は予感だ」 趙「ただ…」 関「ただ?」 趙「相手の声がすごく耳障りだったので…」

2023-05-22 15:52:32
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関「趙累」 趙「…失礼」 関「…おや?」 周倉「関羽殿!此度のご出張に同行するよう言われた、周倉と申します!」 関「なんだ?」 周「ヒマラヤの秘境へのご出張とのことで、上司から関羽殿に同行するよう言われてご挨拶に来ました!」 関「元気がいいな!」 周「元気ならば絶対誰にも負けません!」

2023-05-22 15:52:32
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関「気に入ったぞ、周倉」 周「ありがとうございます!」 趙「いきなり関羽殿との出張とはタフだね、周倉くん」 周「はい!俺はタフです!陸上の長距離でも誰にも負けません!」 関「よろしくな、周倉」 周「はい!」 趙「…どうでした?」 関「粗忽な元気者だ」 趙「なるほど」 関「私は気に入った」

2023-05-22 15:52:33
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趙「部下にはお優しいですからな、あなたは」 関「趙累」 趙「ここだけの話をします、関羽殿」 関「…」 趙「どうも最近の上層部の連中がきな臭いんです」 関「知ったことか」 趙「私はそうもいきません」 関「…」 趙「しかしこれだけははっきりあなたにお伝えしますよ、関羽殿」 関「なんだ、趙累」

2023-05-22 16:36:17
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趙「会社とあなたのどちらについていくかを選ぶのならば」 関「…」 趙「私はあなたを選びますからね、関羽殿」 関「何を言うか!趙累」 趙「一度だけ…」 関「…変わり者だな、お前は」 趙「あなたに似てね」 関「じゃあ私も伝えておこうか」 趙「何をです?」 関「もし私に不測のことがあったら…」

2023-05-22 16:36:18
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関平「また出張かい、親父?」 羽「ああ。今年一番の大切な出張だ」 平「ヒマラヤだっけ?」 羽「そうだ」 関興「ヒマラヤってどこ?」 関索「父上また遠くに行っちゃうの?」 羽「ああ。すまんな、みんな」 平「…まあ、家の事は任せてくれよ」 羽「頼む」 平「俺はあんたの倅で嫁じゃねえっての!」

2023-05-22 16:36:18
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関羽…まあ不測の事態なと起こるはずもないがな。 趙累…関羽の部下で居続けられる奇特な男として、社でも重宝されているらしい。 周倉…高卒の新卒として入社してきた元気者。元気だけを買われて入社したが、元気者すぎて上司がうんざりし、関羽になすり付けようとしている。

2023-05-22 16:36:21
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関平…関羽の前妻の子。保育士として働いている上、家のことをてんでしない親父の代わりに家事をしていたら、いつしかプロ級の腕前を身につけていた。 関興…関羽の後妻の子。保育園で張苞といつも取っ組み合いをしている。 関索…関興の弟。花が好きな穏やかな性格。

2023-05-22 16:36:22

第01話

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関羽「着いたか」 周倉「飛行機なんて初めて乗りましたよ!」 関「これからの仕事では、当たり前のように乗ることになるぞ」 周「初めての時の気持ちってのは、忘れないようにしてるんです!」 関「それは感心だ」 周「…でも趙累さんが言ってましたけど」 関「ああ。この出張は、ここからが本番だぞ」

2023-05-23 19:20:25
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?「カンウさん!」 関「久しぶりだな、ホー!」 ホー「キョウもヒゲすごいね!」 関「いつもな」 ホ「あなたは?」 周「周倉です!」 ホ「ゲンキだね!」 周「はい!」 ホ「ワタシはホーとよんでね」 周「お願いします!」 関「ではここからの運転を頼んだぞ、ホー」 ホ「合点承知ノスケ」 周(何語?)

2023-05-23 19:20:25
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周「飛行機に乗る時間より、移動時間がずっと長いとは…」 関「まだまだではないか?」 ホ「まだ半分行ってないくらいね」 周「ええ!?」 関「道中で一泊挟むな?」 ホ「そうね」 周「…ヒマラヤの秘境とは聞いてましたけど、関羽殿は一体どうやってそこを見つけたんですか?」 関「話せば長くなるぞ」

2023-05-23 19:20:26
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周「せっかくなので、聞かせてください!」 関「いいだろう」 周「…」 関「人には生きるのに欠かせぬものがあるだろう、周倉」 周「…食い物とかそういうのですか?」 関「そうだ」 周「それで塩というのは?」 関「空気や水のように、人々に欠かせぬものが塩だ」 周「…言われてみれば、そうですね」

2023-05-24 13:51:01
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関「それを取り扱える仕事なのだぞ、周倉」 周「はい」 関「ものすごいことだと思わないか?」 周「…今じゃ塩なんて当たり前でしかないですけど」 関「それは全く違う」 周「…」 関「今だからこそ塩は自由に商っても良いが、国が専売品として管理していた歴史の方が、遥かに長かった」 周「ええ…」

2023-05-24 13:51:01
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関「それを良いことに、国が民から荒稼ぎしていたことの方が当たり前だったのだ」 周「…」 関「お前は塩をほとんど使わぬ食事を毎日食えるか?」 周「絶対無理です」 関「ああ。もはや塩ぬきの食事など考えられん」 周「…」 関「香辛料だって、一握りの量で大儲けできた時代があった」 周「ええ!」

2023-05-24 13:51:01
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関「考えてみろ、周倉」 周「はい」 関「肉を焼いて塩をかけて食うことしか知らなかった者たちがいる」 周「…」 関「その者らが塩胡椒で肉を食うことを覚えてしまったとしたら?」 周「もう戻れないです!」 関「しかも香辛料を自国で生産できない土地だとしたら?」 周「全力で分捕りにいきます!」

2023-05-24 14:43:31
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関「もしかしたら人間は、命よりも美味いものを食うことの方が大事な時期があったのかもしれぬな」 周「なんか分かりますね…」 関「私の話に戻るが」 周「はい」 関「今はもう無くなってしまったが、私の故郷に大好きな飯屋があった」 周「…」 関「飯屋の爺さんとも仲が良かったのだが…」 周「…」

2023-05-24 14:43:31
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