サカバンバスピスのグッズを販売しても大丈夫?「模型に著作権はあるのか」解剖学者や弁護士それぞれの意見

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研究者の見解

郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

Anatomist / Morphologist.東洋大学助教。博士(農学)。小さい頃からキリンが好きで、2017年3月に念願のキリン博士になりました。動物(特にキリン)の体の構造や動きの研究をしています。 著書→キリン解剖記(ナツメ社2019)・キリンのひづめヒトの指:比べてわかる生き物の進化(NHK出版2022)

megugunji.wixsite.com/giraffesneck

郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

話題のサカバンバスピスの模型に著作権はあるか問題、とても気になります。私の感覚だと「模型には著作権はある(模型の写真を勝手に商用利用したらNG)」が「復元デザインに著作権はない(デザインをモチーフにした二次利用はOK)」なのではないかと思うのですが、有識者のお考えを伺いたいところ。 twitter.com/yorukami421/st…

2023-06-15 12:28:41
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

「あの模型は他の復元図とは違っていて、オリジナリティがあるから著作権が発生するのでは?」という意見も見かけましたが、原記載の復元イラストもこんな感じですからねえ。sciencedirect.com/science/articl… pic.twitter.com/VBnesyQRb5

2023-06-15 12:28:42
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郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

Philippe Janvierの「Early Vertebrate」に掲載されている復元図はこれ。”より正確な復元図”のように出回っている「頭の部分の甲冑が剥き出しになっているイラスト」より、例の模型に近いように思います。 pic.twitter.com/EJnyquInPC

2023-06-15 12:32:07
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郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

「Early Vertebrates」に掲載されているアランダスピス(サカバンバスピスに近縁とされている種)の復元図はこれですし、「オリジナルの要素がめちゃくちゃ強い復元か?」というとそんなことはない印象を受けます。 pic.twitter.com/8AyD7JaX9R

2023-06-15 12:35:24
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郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

正面から見た化石の図はこんな感じ。こちらもJanvier博士の「Early Vertebrates」より。 pic.twitter.com/sxQn5j0zjJ

2023-06-15 12:45:13
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郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

博物館のキャラクターならばデザインに著作権が生まれるのは当然なのですが、復元模型のデザイン(形状)は「こういった化石が見つかっていて、あれに近縁だとされているから、きっとこういう形なのではないか」と限られたヒントを元に程度論理的に構築するので、著作権はないのでは?と思ってしまう。

2023-06-15 12:49:10
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

この問題は、極論すると「軟体部付きのアンモナイトの商用イラストは、同様の復元を行なった最初のモデルの著作権を侵害するのか」という話のような気がするのですよね。アンモナイトの軟体部は化石で見つかっていないため、タコやイカに近い生き物であるという知見に基づく創作物なので。 twitter.com/anatomygiraffe…

2023-06-15 22:19:47
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

サカバンバスピスのお目目◉◉は、同じ無顎類であるヤツメウナギからきていると思うので、創作性を主張するのは難しそう。何人かの専門家がご指摘している通り、頭部の骨質板を皮膚で覆う復元もそこまで異質ではないので、オリジナリティにはならないと思う。

2023-06-15 22:26:05
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

一番創作性を感じるのは、あの丸さなんですが、そこは「丸っこい生き物の一般的なデフォルメ」に内包されてしまいそうな気がします。ただ、著作権の専門家ではないので、この点はすごく微妙そう。

2023-06-15 22:26:05
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

「サカバンバスピスの模型は、復元とはいえ創作要素が強い」っていう方々が結構いらっしゃって、おそらく他の復元図を見てそう思ったんだろうと思うのですが、元の化石はこんな感じです(「Evolution and Development of Fishes」より) pic.twitter.com/kIGULPjbtm

2023-06-16 18:55:49
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堂嶋大輔『マンガ生物学に強くなる』 @dojimadaisuke

講談社ブルーバックス『マンガ生物学に強くなる』。もちろんマンガも生き物も大好きです。 アイコンはさんりようこ先生描き下ろし。社会人。男 ddaisuke.seesaa.net pixiv:pixiv.net/member_illust.…

ddaisuke.seesaa.net

堂嶋大輔『マンガ生物学に強くなる』 @dojimadaisuke

@AnatomyGiraffe 復元デザインこそ解釈や表現が作者個人に依拠するところが大きくオリジナリティが問われると思うのですが(イグアノドンの復元図の変遷然り)、学説は公のもので個人が権利を主張するようなものではない という感じで考えたらよいでしょうか?

2023-06-15 18:21:41
郡司芽久(キリン研究者) @AnatomyGiraffe

@dojimadaisuke 川崎さんのまとめがわかりやすいですが、復元デザインはあくまでその時点での知見に基づいて行われ、復元デザインの変遷は学説の変化に起因するものだと考えています。「学説に基づいた復元デザイン」にオリジナリティがあったとしたら、それは誰に帰属するのかわからんなー🤔という感覚です。 twitter.com/satoshikawasak…

2023-06-15 18:28:50
堂嶋大輔『マンガ生物学に強くなる』 @dojimadaisuke

@AnatomyGiraffe おっしゃることは理解していたつもりで、あえてずらして自分の考えをリプしていました。といいますのは、その時々の学説ってそんなに確定的なものか?ということです。 体の一部しか出土していない生物の復元や色など、それこそヘリコプリオンとか、発表した人ごとの想像の産物でオリジナルなのではと

2023-06-16 12:13:44
川崎悟司 @satoshikawasaki

絶滅動物、古生物、恐竜とかのイラストを描く仕事をしています。

paleontology.sakura.ne.jp

川崎悟司 @satoshikawasaki

ちょうど50年前。1972年に発行された 学研の「大むかしの動物」という図鑑 ゴジラ立ちのイグアノドン旧復元ですが、 走っているときは胴体が水平で尾を上げている 現在のイグアノドンに近い姿勢になっている。 pic.twitter.com/VKGBsHTkdy

2022-07-30 17:27:39
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川崎悟司 @satoshikawasaki

これもちょうど50年前の ゼンマイで歩くイグアノドンのプラモデルらしいです。 このイグアノドンの走り方が人間っぽくてジワる 笑 pic.twitter.com/0jehGKq02V

2022-07-30 17:43:07
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イラストレーターの見解

かわさきしゅんいち @nupotsu104

絵本作家/イラストレーター 絵本『うみがめぐり』日中2カ国で発売中! 古生物を中心に生物系書籍の挿絵『アノマロカリス解体新書』(ブックマン社)『地球生命 水際の興亡史』(技術評論社)など。お仕事のご依頼はこちらから→nupotsu104@gmail.com

kawashun.jp