山本敏晴さんによる災害後の心理的初期支援のまとめ

医師、国際協力師の山本敏晴さん @yamamoto1208 による、災害後に必要な心理的な支援についてのまとめ 御自身によるブログでのまとめはこちら http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65680124.html
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山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。秘密の保持。支援者に対し、被災者が自分が被った災害のことを話した場合、支援者はその人の過去やトラウマを知ることになる。その秘密は守秘されなければならない。ただし例外は支援者の方が、その話によって二次的トラウマを受けそうな場合、専門のカウンセラーへ相談する。

2011-11-29 19:11:03
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。援助活動に関する情報の提供。①次に(政府などが)予定している行動。②被災者を支援するために行われている各団体のサービス。③出来事について現時点でわかっていること。④一般的なストレス反応(病気ではなく災害後の正常な反応だということ)。⑤セルフケアの方法。

2011-11-29 19:16:16
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。からだへの配慮。①室温、明るさ、風通し、備品の使いやすさ等について改善の余地がないか検討。トイレが長蛇の列、など。②高齢者の場合、脱水、電解質異常、血圧、転倒などの問題を起こし易い。耳の聞こえを悪くするような騒音も防ぐ。③車椅子、盲導犬など障がい者に配慮。

2011-11-29 19:21:50
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。子どもへ。「あの人はね、すごくびっくりしてしまって、まだ落ち着くことができないんだ。落ち着くために他の人よりたくさん時間がかかる人もいるんだよ。私たちの仲間が彼を落ち着かせるためにここに向かっているからね。もし気持ちが落ち着かないと思ったらそれを話してね」

2011-11-29 19:23:58
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。子どものためのスペース。①子ども専用の場所の設置。②安全で人の出入りが少なく、救助活動から離れた一角。③様々な年齢の子どもに対応できる世話係を配置。④そこに出入りする人をチェック。⑤各種おもちゃを置く。⑥年長の子どもにお兄さん、お姉さん役をやってもらう。

2011-11-29 19:26:24
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。「あなたはたいへんな体験をされました。これ以上苦しみを感じるような映像からご自分やお子さんを守ったほうがいいでしょう。テレビで映像を見ただけで不安になることがあります。テレビを見るのを制限したほうがお子さんは楽かもしれません。大人も一時的に遠ざけましょう」

2011-11-29 19:29:05
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。「あなたはもういろんな目に遭ったよね。こういうことが起きると、みんなテレビを見たくなったりするんだ。でもそれってちょっと危ないことなんだよ。こういう内容のテレビの番組は避けるのが一番。もし何か嫌なものを見てしまったときは、お母さんやお父さんに話すといいよ」

2011-11-29 19:30:05
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。行方不明者を探す手伝いをする場合。まずは家族と一緒に、災害時の連絡方法に関する情報を確認。たとえば、学校や勤務先の避難計画、病院に運ばれた場合の搬送先の追跡方法、学校・職場・家族の緊急連絡先、親戚の家などその人が立ち寄りそうな場所(被災地内外を含む)など

2011-11-29 19:32:03
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。急性悲嘆反応。大切な人や身近な友人を亡くした人には当然の反応。死に対する悲しみや怒り、死を防げなかったことへの罪悪感、安らぎを与えてやれなかったことやきちんと別れを言えなかったことへの後悔、亡くなった人への思慕、再会への願い(夢での再会も含めて)などが湧く

2011-11-29 19:33:59
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。いかに家族や友人がそれぞれ独自の反応をするものであるか、話しあう。悲しみ方には正しいも間違いもなく(号泣する人も無表情の人もおり)、「正常な」悲嘆の期間があるわけでもない。家族や友人にとって最も大切なことは、それぞれがお互いの悲しみ方を尊重し理解しあうこと

2011-11-29 19:35:57
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。子どもは、生活のなかで短い時間しか悲しみをあらわさない場合があることを知っておく。たとえ遊んでいたり、楽しそうにふるまっていたりしても、他の家族と変わらぬほど強い悲しみを感じていることがある。子どもが全く泣かないからと言って、悲しんでいないとは言えない。

2011-11-29 19:37:41
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。子どもは、悲しみをどう言葉で表現していいか分からず、また話したがらない場合もある。できれば、プライバシーを守ってあげる。亡くなった大切な人のことを話したいと言ってきたら、黙って聞く。たくさん話さなければいけないと感じさせたり、細かく聞き出したりしないこと。

2011-11-29 19:40:05
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。「悲しみのあらわし方はご家族一人一人違います。そのことを知っておくことは大事なことです。たくさん泣く人もいれば全く泣かない人もいます。どうかそのことを悪く考えたり、おかしいのだと考えたりしないで下さい。大事なことはお互いがそれぞれの感じ方を尊重しあうこと」

2011-11-29 19:41:55
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。言ってはいけないこと。「きっとこれが最善だったんですよ。彼は楽になったんですよ。これが彼の寿命だったのでしょう。彼には苦しむ時間もなかったことでしょう。何か他のことについて話しましょう。がんばってこれを乗り越えないといけませんよ。そのうち楽になりますよ。」

2011-11-29 19:44:42
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。言ってはいけないこと。「できるだけのことはやったのです。あなたは生きていてよかった。この世に起こる全てのことは、より高い次元の存在(神?)が計画した最善の結果なのです。耐えられないようなことは起こらないものです。いつの日か、あなたは答えを見つけるでしょう」

2011-11-29 19:48:06
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。死の受け止め方。①就学前の子ども:死が永久的であると理解できない。生き返ると信じている。②学童期の子ども:死の物理的なリアリティは理解する。だが怪物・骸骨・幽霊のように擬人化する。③思春期:死を理解するが、強い怒り、衝動的行動(家出、性行為に溺れる)をとる

2011-11-29 19:52:24
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。死に関する子どもからの質問に対しては、①短く、わかりやすく、率直に、年齢に応じた表現を使う。②価値判断はせず、どう感じているかを丁寧に聞く。③死はあなたが引き起こしたものではなく、あなたの失敗でもなく、誰かがした悪いことに対する罰でもないということを伝える

2011-11-29 19:56:17
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。肉親の死に対する親から子への説明。「今ここにお父さんがいないなんて本当に悲しいね。あなたも悲しくてしょうがないのね。お父さんのことを考えてるのかな。お母さんもすごく悲しくなることがあるよ。辛いときにはお母さんに話していいのよ。少しは楽になるかもしれないよ」

2011-11-29 19:58:43
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。サバイバー・ギルト。子どもや思春期の人が、自分が生き残ったことに対して罪悪感をもつことがある。家族の死になんらかの責任を感じていることもある。家族の誰かが、誰のせいでもないのだということを教えてやり、子どもが自責感を払拭できるよう助けてやる必要がある。

2011-11-29 20:01:00
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。サバイバー・ギルトからの子どもの救済。親から子へ。「私たちは、みんなを助けるためにできることは全部したの。お父さんはきっと、私たちが無事でいることを喜んでくれるよ。あなたはなんにも悪くないのよ。」以上のような言葉を、一度ではなく、繰り返し何度も伝える。

2011-11-29 20:02:18
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。被災者が自分の「思い込み」による怒りを示したら、それが正しいか間違っているかについて議論しない。多くの人は「答え」でなく、判断しないで中立に聴いてくれる人を求めている。深刻な抑うつ、適応不全を引き起こしているようなら、カウンセラーへの紹介を希望するか尋ねる

2011-11-29 20:05:50
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。宗教者が、善意から被災地で布教活動を行うことがたびたびある。このような活動に気づいたら、邪魔しようとせず、警備担当者その他の管理者に通報する。

2011-11-29 20:07:06
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。葬儀への参列が子どもの役に立つこともある。辛い体験ではあるが、葬儀によって子どもは死の物理的な現実性を受け入れ悲しむことができるようになる。参列させなければ何か家族の重要なことから取り残されたように感じることもある。ただし参列するかどうかは子どもに選ばせる

2011-11-29 20:09:07
山本敏晴 @yamamoto1208

災害後の心理的初期支援。外傷性悲嘆。①心を乱すような死のイメージが勝手にわいてくる。②家族や友人との親密な関係からひきこもる。③トラウマ的な死について思い出さないよう、日常の活動を回避する。④子どもの場合、悲惨な死の場面を再現するような遊び(トラウマティック・プレイ)を繰り返す。

2011-11-29 20:11:11
山本敏晴 @yamamoto1208

災害時遺体取り扱い対応チーム(Disaster Mortuary Operational Response Team :DMORT)。災害時、遺体と対面する遺族の苦しみを和らげるために、遺体の保存や修復を行うアメリカのボランティア団体 http://t.co/5L96ivyG

2011-11-29 20:12:40