三国志こばなし集2023年10月号(下)現パロ編

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唐「休憩しましょう！」 子「てっぺんまでどれくらい？」 唐「あと半分くらいよ！」 子「水筒忘れちゃった…」 曹「案ずるな！てっぺんに梅林があるから梅を食べると良い！」 子「本当!?」 子「でも、もし無かったらどうするの？」 曹「!?」 荀「髪を切り落としてもらおうか！」 曹「何を言う文若！」

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唐氏「到着！」 曹操「おお！空気が美味いな！」 子「僕たちはおっさんを避けた空気吸おうね」 曹「泣くぞ子どもたち！」 子「梅林は？」 曹「!?」 子「…楽しみにしてたのに」 曹「…私のおむすびの梅干しでここは一つ」 子「酷い！」 荀彧「…約束通り髻を」 曹「分かった。それが将の役目だものな」

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唐「全くあなた達は子どもを揶揄いすぎですよ」 子「梅ジュース！」 曹「面目ない…」 荀「私も調子に乗りすぎました、ごめんなさい」 子「…うん」 唐「ならばよし！」 曹(私の台詞？) 荀「…お詫びで一緒にお弁当を食べない？」 子「うん！」 曹「君のお名前は？」 荀灌「荀灌！」 彧「同じ姓だね」

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唐「梅が大好きだもんね、灌ちゃん」 灌「そうなの！」 曹「これは迂闊な嘘をついてしまったようだ」 彧「後日お詫びの梅をお持ちします」 灌「やくそく！」 唐「他の子たちの分も！」 曹「もちろん！」 彧「…」 唐「どうしたの？」 彧「私はこんな時間を、ずっと過ごしたかったんだな、と」 唐「…」

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曹操…弁当後、子どもたち全員に追いかけられる鬼ごっこで逃げ惑っていた。 荀彧…自分の求めていた何かに少し近づけたかもしれない。 唐氏…タフな保育士さん。荀彧の横顔にキュンとしたとか。 荀灌…保育園の女の子。梅が大好き。

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張郃「李通！朱霊！王双！此度の食事会に誘っていただいたことに感謝する！」 王双「大袈裟ですぜ！」 李通「…」 朱霊「…」 張「よもや焼肉屋の食事に私を招く者がまだいたとは思わず、喜び勇んで来てしまったぞ！」 王「そんな焼肉が食いたかったんですかい？」 李「もう黙れ王双」 朱「見ていろ」

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張「王双！」 王「!?」 張「なぜタン塩をタレで食べるのだ！」 王「…美味しいから」 張「タン塩はタン塩のまま食べよ！レモンを付けすぎず！」 王「自由に食べさせてくださいよ！」 張「断固ならぬ！」 王「!?」 張「我らの血肉となるため屠殺された牛の無念を思うならば、最上の食べ方で弔わねば！」

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李(苛烈なまでの焼肉奉行だからな…) 朱(焼肉屋で張郃殿に逆らう身の程知らずがいない理由は分かったか？) 王(…それでも俺は！タン塩をタレで食べたいんです！) ？「客の涙の落ちる音が聞こえたな？」 ？「聞こえたぞ益徳」 張「何奴！」 張飛「最強最上の美味い肉屋の元締燕人張飛とは俺のことよ！」

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張飛「あんたら…いい焼肉の食い方をしているね」 張郃「私がいるならば当然のことです。お肉屋さん」 飛「…だが、その満足は共に食う仲間ではなくお前たちが食う肉の方に向けられているんじゃないかな？」 ？「違いない」 郃「あなたは何者ですかお爺さん！」 厳顔「厳顔。益徳精肉店の肉切職人よ」

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郃「失礼した！私の名は」 厳「名乗らずともよい」 郃「何ゆえ？」 飛「俺たちは焼肉屋の客の涙を放っておけなかった酔狂な肉屋だ」 厳「貴殿らの焼肉の風紀を正すため、赤の他人に口出しした次第」 飛「肉のプロが名を名乗るのが礼儀なわけよ！」 郃「見事な…」 李(かっこいい！) 朱(どうなるんだ！)

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飛「俺たちに十五分の時間をくれ」 厳「その分の代金をわしらが賄う代わりに、この場を制する権限をいただけぬか？」 郃「異論はないな、皆！」 李「はい」 朱「私も！」 王「タレでタン塩を食ってもいいんですよね！」 郃「王双！」 飛「待ちな」 厳「我らが場を制するならば、貴殿の口出しは無用だ」

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張郃(よもやタン塩をタレで食うなどという無法が！) 張飛「焼けたぜ、若いの」 王双「美味しそう…」 厳顔「食べたいように食べるがいい」 王「タレを付けていただきます！張郃殿！」 郃「!?」 飛「誰の許しもいらねえよ」 厳「食うがいい若人！」 王「!?」 郃(なんと良い顔をして食うのだ、王双よ…)

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李通「美味い！」 朱霊「これこそ焼肉の醍醐味！」 郃(…今までの私は彼らの事を思って野菜を食わせたり、米を制限させていたが) 李「おかわり！」 朱「俺も！」 飛「たらふく食いやがれ！」 厳「この焼き目と肉汁の塩梅を覚えておくのだ」 王「目に焼き付けます！」 郃「…私が誤っていたお肉屋さん」

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飛「あんたは誤っちゃいねえ」 厳「貴殿の肉の焼き方と食事の作法でキチンとした男なのはよく分かっていた」 郃「…勿体なきお言葉」 飛「焼肉は楽しく！」 厳「型を守る事も尊いが、型を破る焼肉の試行錯誤も同様に尊い」 郃「守破離！」 厳「知っているではないか」 郃「ありがとうございました！」

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張郃…よもやこの日の焼肉屋を通じて芝居の初心をありありと思い出すことができるとは… 李通…結局あの後、張郃殿が全部払ってもらえるとは… 朱霊…俺たちも今日の焼肉の場の学びを忘れんようにしないとな！ 王双…駆け出しの若手。筋肉自慢の勢いが自慢だが、まだまだそれだけ。

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張飛…野暮なことしちまったかな？ 厳顔…なに。それがわしらのやることよ。

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魯粛「この清酒は一際綺麗だね！鄭泉さん」 鄭泉「だろう？」 魯「味もすっきり爽やかで抜群だ！」 鄭「…この酒を作ってる野郎がいるんだがね」 魯「おや。是非ともご挨拶したいね」 鄭「それが厨房で酔い潰れてやがんのさ」 魯「…なに？」 鄭「学校の先生らしいからよ。あんたの同僚じゃねえか？」

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？「ZZZ」 魯「…この先生は知らないな」 鄭「曹魏学園の徐邈先生って飲兵衛さ」 魯「曹魏学園の先生なのか!?」 鄭「知り合いがいるのか？」 魯「…ああ」 鄭「知り合いに頼んでしょっぴいてくれ！」 魯「…私の内緒にしたかったが」 徐邈「聖人に当たっちまった〜」 鄭「行儀の悪い聖人がいるかい！」

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蔣済「おお！いい角打ちだ！」 鄭「あんたも飲兵衛教師かい？」 徐「子通〜」 蔣「ご名答！蔣済って飲兵衛教師さ」 劉曄「…ご無沙汰だな子敬」 魯「…お互い忙しかったからな」 劉「まるで私にも内緒の秘密基地のような店じゃないか？」 魯「…賢人を奢るからよ」 劉「私たちが聖人の訳ないからな」

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魯粛…徐邈先生って何者なんだい？ 劉曄…生物の先生ってことしか知らん。 徐邈…曹魏学園生物教師。実家が蔵元なので、自分で色々醸した酒をこっそり売っている。密造酒ではない、はず。 蔣済…公民教師。劉曄が角打ちに行くと聞き着いていったら飲兵衛パラダイスのようなお店だった。

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鄭泉…徐邈さんの聖人と賢人は毎年の楽しみなんだがね！本人が誰より一番楽しみにしてるからしょっちゅうひっくり返ってやがるのさ！

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鄭泉「聖人ってのは清酒。賢人ってのは濁酒の隠語だよ。昔、禁酒令が出てるにも関わらずべコンベコンになった徐邈って役人が、清酒に当てられちまったとか宣って曹操さんに殺されかけたらしいぜ？そういえばさっきの先生も徐邈先生ってお名前だが偶然の一致だと思うかい？」

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朱桓「徐邈先生と会ったのか？」 魯粛「会ったといっても、ベロベロで話もできませんでしたが」 朱「実は同じ生物教師の誼で仲良くしていてな」 魯「ほう」 朱「私も酒を作っているのさ」 魯「密造酒では？」 朱「ない！焼酎に漬けたりする程度だからまるで問題ない」 魯「…何を漬けてるんですか？」

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孫権「朱桓先生の秘酒など聞いた事もなかったぞ！」 朱「理事長を一番呼びたくなかったんですが」 孫「校内の酒宴で私を仲間外れにしたらどうなると思う？」 朱「じゃあこれを飲んでもらいましょう」 孫「!?」 魯「…なんだこれは？」 朱「私がかつて死闘を繰り広げたうわばみを漬けた酒だ」 孫「…」

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魯「ものは試しで一舐めしてみません？」 孫「虞翻」 虞翻「うわばみはあんたでしょうが」 朱「これを飲まないと猩猩の秘酒は飲ませませんからね」 魯「…それもいったい？」 朱「珍獣ハンター時代の親友ですが？」 孫「そら！！」 朱「死にますよ」 孫「!?」 魯「…キツすぎんか？」 孫「下が熱い！」