三国志こばなし集2023年10月号(上)三国時代編

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法正…四点。線が細そうに見えて胆力があり図太い男は嫌いじゃない。 劉巴…四点。かつての自分の任務が失敗して悔しいが認めざるを得ない。 張飛…男の生き場所って全然ちげえよな！ 趙雲…全くだ。

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張飛「次！」 糜氏「…」 趙雲「ああ…」 陳到(お察ししました…) 伊籍(私も…) 張「…義姉さん。頼む」 糜「私が死んだと思ったのは、趙雲殿に護衛されながら戦場を駆けずり回された時以外にありません！」 趙「…よくぞご無事でした」 糜「趙雲殿がそれを言ったら立つ瀬がありませんわ」 趙「…」

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糜「もうこの世のものとは思えない惨劇に、井戸に飛び込んでやろうかと思ったもの」 趙「…もはや我らは何も言えますまい」 陳「私は先陣の殿や孔明殿の護衛で、必死でして…」 張「俺だって橋の前で仁王立ちしてたじゃねえか！」 伊「私はあの戦をなんで生き延びれたのか記憶がまるでないんですよね」

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劉備「あれが曹操じゃなくて公孫瓚兄貴だったら間違いなく全滅だったぜ」 張「だが張遼の野郎どもだって大概だったじゃねえか！」 劉「いや、益徳。まだ張遼らには人の心があった」 法正「つまり？」 劉巴「皆まで言わせなさるな」 備「…だけど俺は何人のかみさんやガキどもを亡くしちまったかなぁ」

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糜氏…私の後ろで殿の娘さんが二人囚われてましたもの… 張飛…徐庶も抜けちまったもんな… 趙雲…あんな戦は二度としたくない… 陳到…五点。生きていてくれてありがとうござる。 黄忠…五点。我らが加わる前のとんでもない修羅場だ。 伊籍…五点。そもそもなぜ自分が生きているのか思い出したい。

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法正…二点。男のそれと女のそれの大変さはそれぞれですから… 劉巴…三点。あんたはそういう男ですよな法正。 劉備…俺があの世に行っても赦してくれねえだろうな…

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張飛「四人目！」 孔明「…」 法正「きたな」 伊籍「今日は星二と半分ですね」 劉巴「なんの話ですか？」 伊「彼の顔色が」 陳到「五段階評価ですよな？」 伊「…便宜上」 黄忠「誰への便宜だ」 趙雲「よろしく」 孔「私が死ぬかと思ったのは」 法「…」 孔「荊州四郡のうち三郡の監督を任され…」

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伊「え？」 孔「一度もやったことの無い地方統治を丸投げされた時です」 張「おめえ事務仕事やったことなかったのか!?」 孔「私は隆中対を提案しただけの書生ですから」 伊「信じられない…」 糜竺「てっきり劉表あたりの孝廉や茂才に挙げられたことがあったのかと」 孫乾「それまでお仕事は何を？」

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孔「…」 法「諸葛亮」 劉「目が泳いでますよ」 孔「晴耕雨読で暮らしておりました」 張「職歴すらねえのかよ！」 伊「まさか蜀科のような法に携わる仕事も…」 孔「…やった事がないわけではないです」 法「煮えきらないじゃないか」 巴「知ってましたよね劉備殿」 劉備「…たまげたなあ〜」 孔「…」

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孔明…まさか私はこの先軍事の代表とかすることにはなりませんよね？ 張飛…俺らがついてりゃ大丈夫だって！ 趙雲…なんか嫌な予感がした。 陳到…五点。未経験を感じさせない見事な仕事だったので。 黄忠…五点。考えられんほど多彩だのう。 伊籍…四点。未経験なのに仕事の格が違って悔しいので。

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法正…一点。それが貴様の仕事だ。軍事は俺に任せておけばいい。 劉巴…二点。あんたの不摂生や悪趣味な仕置きは寿命縮めてますよ。 糜竺…商いや物流なら助けられますが… 孫乾…私も民政の実務よりも外交の方が向いてます。 劉備…そう言えば畑作って梁父吟ぼやいてるだけの兄ちゃんだったもんな〜

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張飛「トリはこいつだ！」 簡雍「おまちどう！」 劉巴「あんたか…」 法正「この小太りが？」 伊籍「簡雍殿を侮りなさるな」 黄忠「全くだ」 陳到「殿の最古参が生きている異常事態ですぞ」 張「雲長兄貴と俺とお前か」 簡「雲長益徳並のしぶとさだぜ！」 劉備「でもお前もなんで生きてんだかねえ？」

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簡「酷えじゃねえか大将」 備「公孫瓚の命令で徐州行った時は？」 簡「陳登と膾食って仲良くしてたらなんとかなったぜ」 張「…あいつそれで死んだんじゃなかったのか？」 簡「俺はなんともなかったぞ」 趙「すごい…」 備「呂布から逃げた時は？」 簡「別嬪の姉ちゃん笑わせてたらなんとかなったな」

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備「曹操から逃げた時！」 簡「一発目は許攸ってクズに気に入られて何とかなったし、二発目は大将と逸れちまったが子龍の近くをウロウロしてたらなんとかなった」 陳「天晴れな生存能力ですな」 黄「敵わんわい」 簡「そんなすげえか？」 伊「異議なし」 法「参った」 巴「何者なんだよ、あんたも…」

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簡雍…天性の生存能力の異常さに彼だけが気づいてない。 張飛…雲長兄貴と俺みたいに武が強えわけじゃねえのに… 趙雲…我らではまるで敵わん強みを持っているよな。 陳到…五点。いつの間にか仲良くなっていましたものな。 黄忠…五点。我らに欠かせぬ男よ簡雍は。

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伊籍…五点。誰とでもあっという間に仲良くできますもんね。 法正…五点。悔しいが俺では到底及ぶべくもない才を持ってやがる男だ。 劉巴…五点。会議室で居眠りしなければ認めてあげます。 劉備…腐れ縁の飲んだくれがここまでついてきてくれるなんざなぁ…

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程普「殿！酒宴での不調法が度をすぎていますぞ！」 黄蓋「昨夜は張昭殿を酒に漬けるなど！」 孫権「…なんでそんな事したんだったかな」 韓当「老いぼれて硬くなった肉を酒に漬け込んで柔らかくするとかなんとか」 孫「ああそうだ！練師の調理した肉は酒に漬けて柔らかかったのを思い出したのだった」

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程「家臣へのアルハラは慎みなされ！」 黄「殿の父君や兄上はそんな事をなさいませんでしたぞ！」 孫「…確かに父上も兄上も酒宴での横暴はしなかったかもしれんがな」 韓「なんです」 孫「二人とも、素面でとんでもない事をやらかさなかったか？」 程「…」 黄「…」 韓「…」 孫「目を合わせろ」

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孫「この歳になって父上や兄上の歩みを検証したのだが、まあヤバいだろ？」 程「否定できませぬ」 孫「董卓の乱に託け荊州刺史を殺した父上に、厳虎の和睦の使者にいきなり戟を投げつけ殺した兄上」 黄「ありましたな…」 孫「素面でそれなのだから、酔った私が虞翻を叩き斬るくらい」 韓「ならん！」

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孫権…私がべコンベコンに酔って初めて父上や兄上の素面に追いつくと思えばイーブンではないか。 程普…一瞬でも一理あると思ってしまった自分が不甲斐ない。 黄蓋…孫堅様と孫策様お二人の癇癪玉の破裂した時は大変だった… 韓当…戦で一兵卒みたいな働き方が大好きなのも困ってたよな。

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張昭「…」 張紘「また大変な目に遭いましたな子布殿」 昭「なあ子綱。私はとても恐ろしい事に気づいてしまったのだが」 紘「なにか？」 昭「私が酒宴で殿に酷い目に遭わされる事態を、周りの皆は止むなしだと思っているのではないかな」 紘「…それは」 虞翻「今更気づかれたのですか張昭殿」 昭「」

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孫権「なに！張公が虞翻を斬り捨てんと追いかけ回しているだと！」 紘「早く助けてあげてくだされ」 孫「モニターで見物してからな！」 紘「…あなたはそういう主君ですものな」 孫「モニターオン！」 虞「！！」 昭「」 孫「逃げる時にここまで良い顔するのか虞翻の野郎は…」 紘「喜色満面ですな」

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孫「事の発端は？」 紘「子布殿が酒宴で碌でもない目に遭うのは止むなしだと参加者全員から思われている事に気がつかれたそうで」 孫「何を今更」 紘「…」 孫「かくいう子綱殿も正直そう思っているところあるだろう？」 紘「正直…」 孫「一度内密に検証した方がよいかもしれんな」 紘「手配します」

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孫権…それにしても嫌味なくらい良い顔だな虞翻。 張紘…人を怒らせるのが生き甲斐みたいなところありますから。 虞翻…鬼ごっこは命懸けでなんぼ。 張昭…年甲斐もなく抜き身の剣を振りかざして虞翻を追いかけ回していた。

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孫権「昨日の宴もご苦労だった諸君」 張昭「…」 孫「昨日私は張公を虎の檻に入れて闘わせようとしたのは知っての通りだが」 諸葛瑾(なんで生きてるんですかね張昭殿) 虞翻(虎に一晩中説教してたそうで) 孫「私が張公を虎の檻に入れようとした際の皆の反応を検証しよう」 昭「は？」 張紘「こちらを」