三国志こばなし集2023年10月号(上)三国時代編

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孫「飢えた虎に自身の身体を食わせて神になった男の話を聞いた」 昭「何を考えているのですかな」 孫「飢えた母虎が子虎を喰おうとするのを見かねて、自分の身体を捧げたそうだ」 昭「どこかの江東の虎の子虎も母君に食われればよかったのですがな！」 孫「ならばその老骨を虎に喰わせて試してみろ！」

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昭「何を言うか！」 孫「幼平！谷！張昭を虎の檻へ叩き込め！」 周泰「今回は…止むなしです…」 谷利「大差ねえよこの二人」 昭「助けてくれ！皆の衆！」 諸「お止めなされ〜」 虞「いえいえ！まだまだ飲めますよ！」 甘寧「どっちが勝つか賭けるぞ！」 淩統「爺に五百銭！」 潘璋「虎に五百銭！」

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孫権…感想を述べよ。 張紘…思った以上に子布殿が喧嘩売ってましたね。 諸葛瑾…酒に夢中になってたから口だけ止めるふりをしていた。 虞翻…もともと二人とも大差ないのは知ってましたよ。 周泰…孫権が悪いか張昭が悪いかの戦績表をつけてる。 谷利…ほとんどが殿だけど張昭殿の時も多々あるんだ。

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甘寧…潘璋！銭を払いやがれ！ 淩統…珍しく甘寧と結託して儲けた銭を分捕りに行った。 潘璋…銭を払う気はさらさらない。 張昭…自分が思った以上に喧嘩を売ってた上に誰も本気で止める気が無かったのを目の当たりにして顔から火が出た。

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孫権「曹丕が即位した」 張昭「なんと…」 孫「齢じゃ太刀打ちできんなぁ」 虞翻「大差ないでしょ」 孫「…心配だなあ」 諸葛瑾(殿のよいしょモードだ) 諸葛恪「殿！」 孫「諸葛恪！」 恪「曹丕の天下など碌なことになりますまい！」 孫「そのこころは？」 恪「曹丕の政は弛緩と失陥だらけですから！」

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孫「見事！お前のロバに馳走をくれてやる！」 恪「どちらの？」 瑾「!?」 孫「両方！」 恪「ありがたき幸せ」 瑾(どう叱ってやろうか…) 孫「他に？」 闞沢「…はい」 孫「闞沢？」 闞「…このような場での発言は初めてなのですが」 孫「構わん！なんでも言え！」 闞「曹丕は十年も経たずに死にます」

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恪「え!?」 瑾(悪口など言わない闞沢殿がすごいネタぶっ込んできたな) 孫「…そのこころは？」 闞「曹丕の丕は不十、十あらずで出来上がっていますのでこれが彼の運命なのです」 孫「…」 恪(微妙すぎる空気に) 瑾(誰か！) 虞「殿が魏臣の仲を謀りますよな！」 孫「そのこころは」 虞「仲謀ですので」

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孫権…とりあえず場を持たすために虞翻を追いかけ始めた。 虞翻…とりあえず場を持たすために孫権から逃げ始めた。 張昭…なかなか言う男だな、闞沢。 諸葛恪…家でたっぷりお灸を据えられたがお構いなし。 諸葛瑾…この倅はどうしてやればいいのか… 闞沢…勇気を出したボケがまさか本当になるとは…

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小喬「公瑾党が孫権殿に命じます！」 大喬「あなたが周瑜様をも上回る紳士たる振る舞いをするべくマナー講師の先生をお招きしました」 孫権(嫌な予感しかせん) 歩練師「マナー講師の先生！お入りください！」 張昭「どうもどうも！」 虞翻「よろしくお願いします！」 孫「絶っ対こいつらだと思った！」

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張「目上で年輩の者にこいつらとは！マナー違反ですぞ！」 虞「人に指を刺すのもマナー違反ですな！」 孫「マナー講師の選定に異議あり！」 小「私たちが公募した結果、いの一番にご応募されましたから」 孫「ここぞとばかりにマナー講師の肩書きの名を騙り、私に嫌がらせしたいだけだろうこいつら！」

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張「マナー講師の肩書きを論うのもマナー違反！」 虞「我らがあなたになすのは嫌がらせではなくマナー講習ですから」 孫「貴様らが人に教えられるほどマナーに精通しているわけないだろうが！」 張「マナー違反です！」 虞「張昭殿はともかく私は問題ありません」 孫「どの口が！」 大「黙られなさい」

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小喬…この三人でマナー講習を受けさせましょう。 大喬…マナー講師にマナー講習？ 歩練師…どんぐりの背比べでしたわ。 孫権…こいつら以外ならまだ受講してやる気になるぞ。 張昭…あえなくマナー講師を剥奪されるみっともなさを露呈。 虞翻…日頃の主君への言動がマナー講師からかけ離れていた。

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臧覇「おう、張遼」 張遼「久しいな臧覇」 臧「病だと聞いたが」 張「ああ」 臧「まあ、貴様が病ごときで死ぬ男ではないだろうが」 張「…どうだかな」 臧「死に体の男だとしても、文遠ならば呂範の軍くらいは粉砕できるか」 張「死に体でなければ、呂範を討ち取っていたさ」 臧「…そうだったろうな」

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張「冥府に片足を突っ込んでからかな」 臧「ほう？」 張「しきりに若い頃を思い出す」 臧「よく戦ったな俺たちは」 張「不思議な男だった、呂布殿は」 臧「全くだ」 張「お前たち泰山の者がもっと協力的だったらな？」 臧「呂布など御免だ」 張「今でも？」 臧「ああ」 張「…お前も退屈ではないか？」

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臧「ああ。退屈だ」 張「…」 臧「徐州も青州も俺の庭だ。もっと俺を使えば良いものを」 張「それで兵を取り上げられたからな」 臧「あの頃の戦を生きた男なら当然の提案だ。違うか」 張「私にはよく分かる」 臧「曹休如きでは俺の本気は抑えられまいが…」 張「お前が謀反などする筈なかろうにな…」

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張遼…重い病になったが戦場に復帰し、呂範の軍勢を撃破。孫権も死にかけの張遼だろうと相手にするなと警戒を呼びかけた男は伊達ではなかった。 臧覇…青州と徐州の統治を長く任され活躍したが、曹操死去時に青州兵が去ったことや彼が兵を率いる希望を出した結果曹丕に兵を取り上げられ退屈している。

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華佗「…これまたエラい厄介な体調になられてますなぁ」 曹操「痛みのフルコースだ、華佗」 華「実は最近新たな治療法を開発しました」 曹「…手短にな」 華「薬を飲む事が出来るのは口だけなのかと考えまして」 曹「…だから？」 華「丞相の身体の穴という穴から此度の痛みを改善する薬を注入します」

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曹「助けてくれ虎痴！」 許緒「怪我を治すためならば、患部を火で炙り悪化を食い止める事がございますから」 曹「…だから？」 華「まず丞相の毛穴という毛穴から薬物を投与する薬効風呂にお入りいただき…」 曹「…」 華「頭痛薬と歯痛薬を鼻と耳から投与、内服薬を肛門から投与します」 曹(許さん…)

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曹「エラい目に遭った…」 華「これでご気分は爽快になられるはずです」 曹「そこに至るまでの不快で気分が最悪なのだが」 華「医学の治療に犠牲はつきもの故」 曹「今なんと言った」 夏侯惇「大丈夫か孟徳」 曹「大丈夫に見えるか？」 華「…夏侯惇殿の眼帯の裏から目薬を投与したら」 夏「やめい！」

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華佗…医術の発展のためならばなりふり構わない迷惑気質がある。 曹操…なんだかんだで体調が良くなってるのが逆に腹立たしい。 許緒…事前に華佗に美味しいお肉で懐柔されていた。 夏侯惇…片目を失ったお化けから蛇が出てくる雑劇を見物していたら、気づいた子どもたちが皆んな逃げて行った。

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呉普「師匠」 華佗「来たか」 呉「密名、イエロームーン・イングランド殿より」 華「どこの言葉だ？」 呉「これは、鍼ですな」 華「鍼は刺すだけが用途にあらず」 呉「それは？」 華「刺して薬を注入する鍼を開発したのだ」 呉「師匠、それは」 華「ああ」 呉「痛くないですか」 華「凄く痛いと思う」

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呉「蚊やノミが血を吸う様なものですか？」 華「そこから着想した」 呉「ですが、やたら太いですな」 華「細い鍼が折れて患者の体内に残る方がマズいからな」 呉「でもこんなに太い鍼を刺したら」 華「めちゃくちゃ痛いだろう」 呉「こんな物を誰で試せば」 夏侯惇「華佗殿、丞相がお呼びだ」 華「…」

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曹操「頭痛が痛すぎて死ぬ…」 華「頭が痛すぎて、が正しい物言いですぞ」 曹「…今はそういうの、本当にいらぬから」 華「両肩が石のようになられていますな」 曹「鍼でほぐしてくれ」 華「…承知」 呉(師匠…) 華(よこせ) 曹「？」 華「此度は経穴ではなく筋肉に直で参ります」 呉(すっげえ良い顔…)

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華佗…もっと細い鍼で平気だったな。 呉普…華佗の弟子。鍼の名人。やらんでも分かるでしょうて。 夏侯惇…孟徳の悲鳴が聞こえたような？ 曹操…両肩にエゲツない鍼を筋肉注射され絶叫して失神したが、頭痛がぴたりと治ったし肩も軽くなったしで訳が分からない。

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イエロームーン・イングランド…かつての邂逅からなんだかんだ華佗と組んで、違法薬物や新たな医療機器の研究開発の連携をしている謎の女との噂。