三国志こばなし集2023年10月号(上)三国時代編

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曹操「君と余だ！」 劉備「いやいや恐れ多い…」 程昱「あの梟雄がいつまで大人しくしてるやら」 郭嘉「全くです」 荀彧「お気に入りの人材には甘くなりますからな、殿は」 陳羣「…」 荀「君は劉備に仕えていたな」 陳「ええ」 程「聞かせてくれんか」 陳「…あの人は話して分かる人ではありません」

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程「やあ劉備殿」 劉「あんたは程昱殿だったかい？」 関羽「…」 程「曹操様に随分気に入られてらっしゃるようで」 劉「俺もよく分からねえんだなこれが」 簡雍「なああんた」 程「…なにか？」 簡「雲長と同じくらいデカくていい髭してんじゃねえの」 関「最も、私には及ぶまいが」 劉「そうかな？」

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関「失敬する。程昱殿」 程「うむ」 関「…ほう」 程「私も良いか」 関「おう」 程「…やるな」 関「貴殿も」 簡「雲長が他人の髯認めるなんざ滅多にないぜ程昱さん！」 程「万夫不当の豪傑に認められるとは…」 劉「あんた面白そうなお人だね」 程「…そうかな」 劉「…また話そうぜ！」 程(なるほど)

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程昱…少し分かったぞ陳羣。 陳羣…ですよね。 郭嘉…そんな奴なのかな… 荀彧…殿があんな甘々になる人材は滅多にいないぞ。 曹操…今まで話したことがないタイプの劉備が面白くて仕方ない。 劉備…今みたいな感じで手下に誼繋いどいてくれ簡雍。 簡雍…あいよ。 関羽…程昱の髭も見事だった…

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程昱「少し話してきたぞ陳羣」 陳羣「いかがでした？」 程「お主の言わんとすることが少し分かった」 郭嘉「ほう？」 程「わしや陳羣の評を聞くよりも、劉備らと直接話した方がよほど分かるだろうて」 郭「分かりました」 郭(私はあの男が気になっていた) 孫乾「…」 郭「失礼、孫乾殿」 孫「なにか」

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郭「あなたのような学者然とした方がなぜ劉備と共に放浪しているのです？」 孫「…よく聞かれるんですよ郭嘉殿」 郭「ではなんと答えているので？」 孫「劉備様と馬があったから」 郭「…そんな理由でいつ死ぬかも分からぬ放浪を共にするのですか？」 孫「私が決めた生き方ですので」 郭「面白いな…」

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孫「我らの仲間は皆変わり者ですからね」 郭「…私は身体が強くなくてですね」 孫「なんと」 郭「無為な放浪なんてしていたら三日も経たずに死んでしまいますよ」 孫「ですが従軍はされますよね」 郭「戦の時だけは不思議と身体に力が漲るのです」 孫「…なるほど」 郭「人間太く生きてこそですから」

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郭嘉…私たちにはない色を持っている人材ばかりでしょうな。 程昱…だろう？ 陳羣…私も彼らとの居心地は悪くありませんでしたから。 孫乾…自分で決めたのももちろんだが、師匠の鄭玄とも心で約束したから、劉備に仕え続ける所存だとか。

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曹操「玄徳！玄徳！お耳が大きいな！」 劉備「そうよ！母ちゃんもデカかったのよ！」 曹「なに!?」 荀彧「相変わらず劉備をお気に召して…」 程昱「お前も話してみろ荀彧」 郭嘉「敵を知ってこその第一歩ですので」 荀「分かりました」 荀(こんな畠でなにをしているんだ？) 劉「おら益徳！手抜くな」

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張飛「俺はカブなんざ育てる大丈夫じゃねえ！」 簡雍「だから益徳の屁は臭えってな！」 張「うるせえ！」 荀(劉備自らカブを育てているのか？) 劉「あれ！あんたは荀彧殿かね！」 荀「…どうも」 劉「ぼちぼち育ってきたが収穫にゃまだ早いかね」 荀「なぜ畠作りを？」 劉「…徐州でやらかしたのさ」

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荀「呂布に敗れた時ですか？」 劉「…原因はそれだが、兵隊に飯を食えなくさせちまって地獄を見てね」 荀「…どのような？」 劉「…」 荀「…劉備殿？」 劉「あのザマは二度と思い出したくねえのさ。悪いな」 荀「こちらこそ、失礼した」 劉「…採れたてのカブの羹、食ってきなよ」 荀「いただきます」

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劉備…徐州で敗残の身になった時、兵隊が互いに喰らい合う地獄を引き起こしてしまった。 張飛…だから少しでも食いもんはてめえらで用意するってな。 簡雍…最近曹操の切れ者が大将らを気にしてるぜ？

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荀彧…素朴な味のカブの羹が意外と美味しかった。 程昱…殺さねばならぬ男だと思うが… 郭嘉…どこか嫌いになりきれませんね。 曹操…劉備の母も耳が大きかったらしいぞ！

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張飛「あの時は死んだと思った選手権！」 趙雲「…」 張「俺たちは兄貴がガキの頃からの付き合いやら徐州やら荊州やら益州やらの連中が入り乱れてる寄り合い世帯よ」 趙「今後新顔の面々も重用するが、我ら古参がいかにこの益州の地にたどり着くまで何度も死にかけたかを殿は知ってもらいたいという」

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張「審査員入場！」 陳到「…」 黄忠「…」 伊籍「…」 法正「…」 劉巴「…」 張「おら劉巴てめえ！俺たち兵隊野郎がどれだけやべえ修羅場続きだったか耳かっぽじってよく聞けよ！！」 劉「かっぽじるまでもない大きな声ですなぁ」 伊「まあまあ」 張「絶対ビビらせてやる！」 劉「できるもんならね」

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張「先鋒！」 劉備「任せろ！」 陳「殿！」 黄「期待できる」 備「俺が一番死んだと思ったのは！」 伊・法・巴「…」 備「ガキの頃、公孫瓚兄貴の悪戯をおっ被らされて盧植先生に激詰されたのが怖すぎてゲロしちまった後、公孫瓚兄貴から逃げた時！」 伊「人名がヤバい…」 法「公孫瓚に盧植？」

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劉備「本気でキレた公孫瓚兄貴の恐ろしさは言わずもがなだが」 劉巴(劉虞殿のあれとか…) 伊籍(ひっ…) 備「本気でキレた盧植先生もヤバい怖いぜ？」 法正「宦官や董卓らに啖呵切ったんでしたな？」 黄忠「それはすごい」 備「でっかい身体に声もまた鐘みてえにでっかくてよ…」 陳到「さすが盧植殿」

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張飛「俺たちと旗揚げする前じゃねえか？」 備「おう。あの二人本気のブチ切れから逃げられたんなら、呂布や曹操くらいならなんとかなると思ったな！ここだけの話だが！」 伊(やっぱ凄いなこの人) 法(ぽんぽん出てくる人名の格が違うぞ) 趙雲「採点！」 陳「五」 黄「四」 伊「五」 法「三」 巴「三」

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張「先鋒ならこんなもんだろ」 趙「後続の面々が不安そうな顔をしているが…」 劉「やっぱ俺トリの方が良かったか？」 黄「白馬義従とやらを見たか？」 陳「あれは断固まともに相手してはなりません」 法「俺の近所には董卓や馬騰とかがいたな」 伊「それもまた恐ろしいですな」 巴「次お願いします」

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劉備…結局それで学問もそこそこにとんずらしなくちゃいけなくなっちまってよ！ 張飛…ガキの頃の俺らじゃどうしようもねえ野郎だったぜ… 趙雲…私も抜けて良かったし、田豫も生きていてくれて本当に良かった… 陳到…袁紹との死闘も末恐ろしい長期戦だったそうで。 黄忠…わしは騎射もできるぞ！

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伊籍…初手からパンチが強すぎましたね。 法正…だが序の口だろう？ 劉巴…劉備殿の旗揚げ前の頃のお話でしたから。 盧植…公孫瓚を本気で叱りつけた時はさすがに公孫瓚もしょんぼりしていた。 公孫瓚…逃げた劉備を探すために何も知らない劉徳然に尋問する徹底ぶり。酷いとバッチリにもほどがある。

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張飛「次鋒！」 糜竺・孫乾「…」 陳到「外交のお二人とな」 劉巴「ふむ」 糜「我らが死んだと思った時は！」 孫「袁紹の元から劉表の元へ使者の旅に出た時、魏の騎兵に追いかけ回された時！」 伊「ええっ！」 法「誰の部隊だ？」 糜「曹仁の別働隊だったかな？」 孫「おそらく…」 黄忠「なんだと…」

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趙雲「聞かせてくれ」 糜「私は軍の統率はてんでダメですが、弓馬には自身がありましてな」 孫「私も馬術ならばいつの間にかできるようになってたので」 陳「巧みですものねお二人」 糜「それが黄巾と曹操軍の小競り合いに出会ってしまって…」 孫「迂回したんですけどね」 法「斥候に見つかったな？」

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孫「ご明察！」 糜「あの時はヤバいくらい騎射が命中してびっくりしました…」 趙「そんな苦労があったのか…」 張「俺たちは護衛できなかったからな！」 伊「道理で会った時にボロボロだったんですね…」 糜「そういうわけです」 孫「あの時は助かりましたよ」 巴(なぜか忌々しいぞ！) 法「劉巴殿？」

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糜竺…なんだかんだ帰り道は無事でホッとしましたけど。 孫乾…殿たちと一緒に荊州に向かう時の頼もしさたるやなかったですよね。 陳到…四点。我らがこうしていられるのも貴殿たちのおかげです。 黄忠…四点。糜竺の騎射も見どころがあるのだ。 伊籍…五点。私じゃとても無理な旅ですので。