ルソー『社会契約論』の翻訳について(他の作品にも言及しています)

ルソーの翻訳、特に『社会契約論』の翻訳は誤訳の宝庫であり、その結果ルソーが人民主権を打ち立てたというこの本には書いていない話が広まっている。そこでルソーのフランス語原典をどう読むべきかをツイートしたものをまとめた。
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Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ルソー『人類不平等起源論』対訳 hgonzaemon.g1.xrea.com/L_ORIGINE_DE_L… Deeplを使った。  ルソーは本論の最初で自然状態の不平等と社会状態の不平等があるといい、その二つの関係は問えないと言ったが、最後にはその二つの関係が均衡をとれていないと社会状態の不平等は自然法に反して問題だと結論づけている。

2023-12-07 21:52:09
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

「そのあとは、<ペルシア人たちに向かって、> ぺルシア人が王権を取り返し、マゴスたちに報復しない [とした]ときにはと言いつつ、数々のおぞましい呪いをかけ、かれは城楼から真っ逆さまに身を投げた」(ヘロドトス歴史三巻75プレクサスペスの最期)。 asahi-net.or.jp/~xf6s-med/jher…

2023-12-07 23:53:12
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ペルシアの王家はキュロス、カンビュセスのあと血筋が絶え、僧侶たちに王権を奪われていたが、それをペルシア人たちが取り戻したときに、次の政体を何にするか議論して、民主制、寡頭制、君主制の中から君主制を選んでダリウスが王位についたという話を、ヘロドトスが『歴史』3巻で面白く伝えている。 twitter.com/tomokazutomoka…

2023-12-08 00:17:09
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ルソーはヘロドトスのこの話を読んで、どの政体がよいかという考察の参考にしたらしく、『不平等起源論』の注釈1でこの話に言及している。 カンビュセスの王権を奪った僧侶というのが、カンビュセスが殺した弟と同名のスメルディスだったという奇想天外でスリル満点のストーリーになっている。 twitter.com/tomokazutomoka…

2023-12-08 00:29:34
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

その注1の「ヘロドトスの物語るところによると、偽スメルディスが殺害された後で、ペルシャの七人の解放者が国家に与えるべき政府の形態について討議をするために集ったとき、オタネスは口をきわめて共和政に賛意を表明した」(岩波133p)の偽スメルディスとはこの僧侶のことである。 twitter.com/tomokazutomoka…

2023-12-08 00:37:54
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

岩波文庫にはこの注に訳注がついていて、偽スメルディス―パルディアともいいペルシア王キロスの次男で…ガウマタ」(p242)とあるが、これは偽ではないスメルディスのことで、しかもバルディアの間違い。キロスはキュロス。バルディアとガウマタという名前はヘロドトスには出てこないので分かりにくい。 twitter.com/tomokazutomoka…

2023-12-08 08:54:46
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Deepl はセミコロンやコロンで区切った従属文の翻訳は苦手なので、あらかじめピリオドで切り離して先頭を大文字に変えるか、コンマに変えておく必要があるらしい。

2023-12-08 11:30:52
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

"qu'il n'eût tenu qu'à lui". The closest I could find was ça ne tient qu'à lui which translates as "it is entirely up to him". french.stackexchange.com/questions/3362…

2023-12-08 19:40:25
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Rousseau: The Discourses and Other Early Political Writings by Victor Gourevitch (Cambridge) amzn.asia/d/d7eb0lM The Social Contract and Other Later Political Writings amzn.asia/d/8D2xJcI ルソーの最新の英訳はVictor Gourevitchのものらしい。注釈も付いている。

2023-12-09 11:24:45
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Peinture et savoirs scientifiques. Le cas des Observations sur la peinture (1753) de Jacques Gautier d'Agoty - Persée persee.fr/doc/dhs_0070-6… 不平等起源論(岩波文庫144p) "ゴーティエ氏の『博物誌考』"のゴーティエ氏(1710?-1785)は元々絵描きだったらしい。

2023-12-09 11:49:18
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Deepl はフランス語の熟語の n'en…pas moins を「それでもなお…である」と肯定には訳せず、「それでも…しない」と否定に訳してしまう。

2023-12-10 00:33:46
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

voyageは英語では航海だが、 フランス語では旅。 Deeplはフランス語でも航海と訳す。

2023-12-10 09:52:47
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

これはGoogleブックスのプレビューでかなり読める。仏語原文はなく英訳と注だけらしい。 google.co.jp/books/edition/…

2023-12-10 21:27:02
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ルソーの『不平等起源論』の後ろのルソーによる注釈には、人類と動物の最大の違いは自己改善能力だとか、草食動物は一回に一匹しか子を生まないが肉食動物は沢山子を生むから、人間はもともと草食動物であるとか、面白い考え方がいろいろ書いてある。

2023-12-11 10:52:00
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

「人間は自然のたんなる衝 動によらないかぎり、あるものについてすでに知識をもっていなければ、それに欲望を抱いたり恐怖を抱いたりすることはありえない」(不平等起源論、光文社版77p) ou par la simple impulsion de la nature の選択文の一方を否定に訳している。原注の方が訳の出来が良い。

2023-12-11 12:55:36
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

「だからここでは、ときに多数意見に逆らって、あえて理性を擁護するという〈罪〉を犯したことのある人物に、語ってもらうことにしよう」(同254p) "罪を犯したことのある"の原文は l'on n'a point fait un crime と否定文なのに、肯定文にしている(この本にはたまにある)。 「人が非難しなかった」

2023-12-11 22:57:23
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ルソーの人間不平等起源論ならぬ『人類不平等起源論』の対訳、ルソーの注釈までDeeplを使った第一訳。 この本は注釈のほうが面白い。ルソーは自然状態の男女関係についても赤裸々に語っています。 彼は人類に対して人類のことを語っているので、「人類不平等起源論」が正しいはず。

2023-12-12 20:08:25
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Collection complète des œuvres t1.djvu/379 - Wikisource fr.m.wikisource.org/wiki/Page:Rous… DISCOURS SUR L’ECONOMIE POLITIQUE. ルソー『政治経済論』の原文

2023-12-13 11:21:47
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

またしても角川文庫の方が良い本を出していることを発見。これは読みやすいルソーの『社会契約論』。悪貨は良貨を駆逐するで、本屋はおろか図書館にもほとんどありませんが。 pic.twitter.com/vXLCPwvw2o

2023-12-14 08:45:42
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Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

"made for it" おあつらえ向き という形容語として使うらしい。 it will always get made for it Gods as senseless as itself 大衆はつねに自分におあつらえ向きの自分たちと同じように愚かな神を手に入れるだろう。

2023-12-15 14:10:11
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

『自然法がわたしに課している義務を放棄することは、同時に自然法の権利を捨てることだ』とか、『わたしが暴力をふるえば、人がわたしに対してあらゆる暴力をふるうのを認めることになる』と、わたしに言っても無駄である。むしろわたしは喜んでそれに同意する(社会契約論ジュネーブ草稿,第10段落)。

2023-12-15 22:42:38
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

J’y consens d’autant plus volontiers que je ne vois point comment ma modération pourrait m’en garantir. むしろわたしは喜んでそれに同意する。わたしが我慢することで不当な企みから身を守る方法がまったく見えないのだから。 J’y consens は 暴力には暴力をになっても構わないということ。

2023-12-15 22:45:56
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

ルソー『不平等起源論』長い長い難解な献辞の第11段落 qu'ils en usassentからは、tant 〜, si 〜 , tant 〜 queと、英語のso 〜thatの構文が3つ続くが、これを正しく把握していることが訳文から分かるのは、岩波文庫版だけらしい。

2023-12-16 23:41:09
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

「(諸君は)諸君の産業によって諸君が手に入れる以上に他国の援助を必要とするほどには貧しくもない」(不平等起源論、岩波16p) 自国で手に入る以上に他国の援助を求めるのは、貧しいのか? 自国で手に入らないもの以上に援助を求めるから貧しいのではないのか。 外国語の比較文はややこしい。

2023-12-17 15:48:35
Tomokazu Hanafusa/花房友一 @tomokazutomokaz

Rousseau = 2nd Discourse [ Masters] : Rousseau : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive archive.org/details/Rousse… ルソー「不平等起源論」のペンギンの英訳?

2023-12-17 21:10:50
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