ホームズに出てくる謎の武術「バリツ」、その正体はただの「誤字」だったらしい「実在したのか…」「面白い逸話」

かなりありそうな話
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エリザ @elizabeth_munh

ホームズ死す! 1893年12月、世界的名探偵シャーロック・ホームズは仇敵モリアーティと相打ちとなり、共にスイスはライヘンバッハの滝に落ちた! 民衆は英雄の死を嘆き、真の殺人者たる作者ドイルに誹謗中傷が降り注いだ。已む無くドイルは再びペンを取る。 「さて、どう辻褄を合わせたものか……」 pic.twitter.com/rY0lhtWaH3

2023-11-06 19:49:12
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エリザ @elizabeth_munh

エドワード・ウィリアム・バートン=ライトはインド生まれのイギリス人エンジニア。幾つかの職を経た後、招聘されて開国間もない日本にやってくるも、ここで彼は柔術と出会う。 「凄い! まるで魔法のように人が次から次へと投げ飛ばされていく。それも背が低くて痩せた男相手にだ!」 pic.twitter.com/F0unKOUAsL

2023-11-06 19:55:36
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リンク Wikipedia エドワード・ウィリアム・バートン=ライト エドワード・ウィリアム・バートン=ライト(英語: Edward William Barton-Wright, CE, M.J.S., 1860年11月8日 - 1951年4月26日)は、イギリスの技術者・実業家、理学療法士であり、武術家である。 ヨーロッパ最初となる柔道(柔術)の実践者の一人であり、バーティツの考案者として知られる。 バートン=ライトは1860年11月8日に、イギリス領インド帝国のマドラス(現在のチェンナイ)近郊のヴェペリーで生まれた。父は鉄道技師ウィリアム・バートン・ライト、母はオースト
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背が低く、体格に恵まれない事をバネに柔術に励んできた柔術家で教育者、嘉納治五郎の講道館で短期間修行を積んだバートン=ライトは、これはイギリスで流行を巻き起こせると考えた。 バートン=ライトは元々武術や格闘技に関心が強く、ヨーロッパ人がまだ知らない東洋の神秘を持ち帰ろうと決意する。 pic.twitter.com/W4Gsca5n9c

2023-11-06 20:00:26
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リンク Wikipedia 講道館 公益財団法人講道館(こうえきざいだんほうじんこうどうかん)とは、柔道家であり、教育家でもある嘉納治五郎が興した柔道の総本山。 1882年(明治15年)5月に嘉納治五郎によって創設され、1909年(明治42年)に財団法人となり、段位の発行、大会開催、講習会、機関誌の発行、書籍の刊行など柔道普及のための諸活動を行っている。2012年(平成24年)4月1日より公益財団法人に移行した。本館5階に全日本柔道連盟事務局が置かれている。 最初の道場は東京下谷北稲荷町の永昌寺であるが、その後、南神保町、上二番町、富士見町 7 users 15
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こうして生まれたのがバートンとジュージツの名を組み合わせた、西洋と東洋の折衷的なスタイルを持つ新しい護身術、バーティツだった。 「イギリスのボクシング、フランスのサバットと杖術、そして日本の柔術を組み合わせた、いついかなる状況にも対応し得る紳士のための護身術だ」 pic.twitter.com/7bScCIcOhm

2023-11-06 20:04:31
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リンク Wikipedia バーティツ バーティツ (Bartitsu) は、1898年から1902年に、当初はイギリスで開発された、ボクシング、柔術、棒術格闘、そしてフランス式キックボクシング(サバット)の要素を組み合わせた、格闘術と護身術の要素を合わせ持つマーシャルアーツである。 1903年、推理小説シャーロック・ホームズシリーズの著者アーサー・コナン・ドイルによって(「バリツ」として)名が残るようになった。20世紀になってからはあまり盛んに実践されていたわけではなかったが、2002年以降バーティツは復活を遂げている。 1898年、過去3年 1 user 27
エリザ @elizabeth_munh

どちらかと言えば格闘技マニアであり、武術家とは言えないバートン=ライトがこのような護身術を作り、道場を開いたのには訳がある。彼は実業家として、こうした道場への大衆の興味が高まっている事を察知し、東洋の神秘を売り物として事業を興そうとしていたのだった 何せ当時は空前のスポーツブーム

2023-11-06 20:07:18
エリザ @elizabeth_munh

その理由は意外と根深いところにあり、19世紀、絶頂を極めたはずの大英帝国は没落の足音に悩まされていた。 きっかけとなったのはボーア戦争で、南アフリカの小国2つにイギリスは全力を投射してなお苦戦し、なりふり構わぬ非人道的な作戦までやってようやく勝利を拾う始末。 twitter.com/elizabeth_munh…

2023-11-06 20:09:49
エリザ @elizabeth_munh

ヴィクトリア時代末期、イギリスは最盛期を謳歌していた。七つの海を支配し、世界中に海外領土を抱えるイギリスは日の沈む事のない帝国と呼ばれ、名実ともに世界一の大国として君臨する。 1901年、その尖兵たる無敵イギリス陸軍は、南アフリカで民兵相手に壊滅状態に陥っていた。 pic.twitter.com/mYSRgWyALH

2023-05-04 21:43:42
リンク Wikipedia ボーア戦争 ボーア戦争(ボーアせんそう、英語: Boer Wars、アフリカーンス語: Anglo-Boereoorloë)は、イギリスとオランダ系アフリカーナー(ボーア人あるいはブール人とも呼ばれる)が南アフリカの植民地化を争った、2回にわたる戦争。南アフリカ戦争、南阿戦争、ブール戦争ともいう。 第一次ボーア戦争とは、トランスヴァール共和国をイギリスが併合しようとした戦争(1880年12月16日 - 1881年3月23日)のこと。そのためトランスヴァール戦争 (Transvaal War) とも呼ばれる。 19世紀 20 users 70
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生きる事即ち戦いの日々を過ごした勇猛果敢なボーア人兵士達に対し、イギリス陸軍兵士の軟弱さが危機感をもって受け止められた。 「士官はともかく、今どき兵士に志願するのは痩せぎすの半病人である貧民だ! このままでは、イギリス人は『退化』し、他国に飲み込まれてしまう!」

2023-11-06 20:12:20
エリザ @elizabeth_munh

この思考の背景には適者生存を説くダーウィン主義(進化論)を社会に適応した社会的ダーウィン主義がある。 不衛生な工場区で一日中働き、楽しみと言ったら酒くらいで、どんどん不健康になる貧乏人。そんなものが英国陸軍の根幹を担うようでは、この国の先は暗い。 そんな実感がイギリスに渦巻く。

2023-11-06 20:16:18
リンク Wikipedia 社会進化論 社会進化論(しゃかいしんかろん、英: Social Darwinism)または社会ダーウィン主義(しゃかいダーウィンしゅぎ)、ヘーゲルやコントなどの社会の進歩についての議論をベースに、生物学において広まりつつあったさまざまな進化論をとりこんでつくられた社会理論の一種である。その理論は多様であり、目的論的自然観に基づく方向性のあるものから、チャールズ・ダーウィンの進化論にヒントを得て、方向性の定まっていないものまで含まれる。しかし、今日の英語圏では単なるイデオロギーの一つとしてとらえられており、人種差別的な 38 users 50
エリザ @elizabeth_munh

かくしてマチズモが礼賛された。強靭な肉体、雄々しい筋肉、剛健なる精神こそが理想的なイギリス人 かつて貧民と富者の体格差は支配の正当性を示す物だったけど、『自然淘汰』の恐怖が彼らを極端な筋肉崇拝に駆り立てる 格闘技も持て囃された。逞しい筋肉はそれだけで賞賛に値した。ボディビルの元祖 twitter.com/elizabeth_munh…

2023-11-06 20:19:49
エリザ @elizabeth_munh

ヴィクトリア朝時代のイギリスではスポーツ熱が渦巻いていた。それまで農村の娯楽として行われていた物が急速にルールを整備され、普及して行く。サッカー、ゴルフ、ラグビー、クリケット。卓球なんかもそう。はいそこ民明書房禁止。 こうした中でスポーツと信仰が結びつく。それが筋肉的キリスト教。 pic.twitter.com/hiBbknlnHW

2023-04-30 16:23:44
リンク コトバンク マチスモとは? 意味や使い方 - コトバンク デジタル大辞泉 - マチスモの用語解説 - 《「マチズモ」とも。ラテンアメリカで賛美される「男らしい男」を意味するスペイン語のmachoから》男っぽさ。誇示された力。男性優位主義。[類語]むきむき・もりもり・隆隆・ごりごり・むっちり・むちむち・筋肉質・筋肉美・肉体派・肉体美・...
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護身術が流行する理由はまだあった。近世以来の厳罰主義を改め、犯罪者の更生を主眼として刑罰が緩くなると、実際には治安が良化しているにも関わらず、体感治安は悪化し、暴漢があちこちにいるかの如くマスコミも書きたてる。切り裂きジャック以来このネタは売れ筋だった。 twitter.com/elizabeth_munh…

2023-11-06 20:23:25
エリザ @elizabeth_munh

ヴィクトリア期イギリスの流行のファッション() これは襲撃者から首を守るためのアンチ・ガロッティング・カラー 19世紀中頃のイギリス、ロンドンは絞殺魔の恐怖に怯えており、物陰から物取りが忍び寄り、背後から首を絞めて殺害すると社会的なパニックになっていた。 pic.twitter.com/IC5mu7CT0w

2022-08-11 22:16:14
エリザ @elizabeth_munh

このような社会的背景から護身術需要は高いとバートン=ライトは踏んでおり、そこに東洋の神秘と言うブランディングを施してバーティツ道場を開く。 現代で言う総合格闘技の走りとも言えるけど、バートン=ライトの実力はあまり高くなく、実態はサバットや柔術をバラバラに教わるだけだった。

2023-11-06 20:26:22
エリザ @elizabeth_munh

残念ながらバートン=ライトはあまり商売が上手くなく、バーティツ道場は長続きせず、僅か5年ほどで維持できなくなった。彼はその後、パイオニア的な医学に進むものの、こちらもあまり上手くいかず、最期は貧困の中で亡くなる。バーティツも忘れられた。

2023-11-06 20:28:35
エリザ @elizabeth_munh

バートン=ライトはツいていなかった。何せ彼がバーティツを諦めたその翌年に日露戦争が起こり、その更に翌年には日本がロシアに勝利したため、イギリス人の柔術に寄せる関心は遥かに高くなっていたのだから バーティツ講師として呼ばれた日本人柔術家はバートン=ライトの元を去り、自活するようになる

2023-11-06 20:31:09
リンク Wikipedia 日露戦争 日露戦争(にちろせんそう、旧字体: 日露戰爭/日魯戰爭、ロシア語: Русско-японская война〈ルースカ・イポーンスカヤ・ヴァイナー〉)は、1904年(明治37年)2月から1905年(明治38年)9月にかけて大日本帝国(日本)と南下政策を行うロシア帝国との間で行われた戦争である。三国干渉後、満洲(中国東北部)と朝鮮半島の支配権を巡る争いが原因となって引き起こされ、陸戦では満洲南部の遼東半島や奉天が主な戦場となったほか、海戦では日本近海にて大規模な艦隊戦が繰り広げられた。最終的に両国はアメリ 37 users 643
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そして柔術に不慣れで、体格差から自らを侮る筋骨隆々のヨーロッパ人格闘家達を片っ端から投げ飛ばした。 「半分も体重がないような日本人が! これがロシア人を破った秘訣なのか!?」 かくして柔術はイギリス中から大きな注目を集め、東洋の神秘、或いは魔法のような武術と見なされる。

2023-11-06 20:33:50
エリザ @elizabeth_munh

イギリス人にもマスターを得るような門弟が育ち、その中にはなんと女性すらもいた。 最も有名なのはイーディス・ガラッドで、日本に帰った師匠から夫婦共々道場を引き継いだ彼女は、その技を同じ女性達に伝授する。 「筋力で劣り、背が低くても大男を制圧できる。正に女性向けの武術ね!」

2023-11-06 20:37:15
リンク www.news-digest.co.uk 英国の女性参政権運動を支えた日本の柔術 - サフラジェットとイーディス・ガラッド - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、ロンドン・イギリス情報誌 - 英国ニュースダイジェスト 女性参政権運動の活動家たちに護身術として柔術を教えた一人の女性、イーディス・ガラッドを通して、サフラジェットと日本の柔術の関係を紹介 1 user 133
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イーディスは弟子達と共に過激派女性参政運動、サフラジェットのリーダーであるパンクハースト母娘のボディガードとなり、寄せくる警官隊を片っ端から投げ飛ばす。屈強な警官隊は気がつけば宙を舞い、地面に倒れ伏す謎の体術に震え上がった。 「あ、あれが噂のサフラジツか!」 twitter.com/elizabeth_munh… pic.twitter.com/voeYxOPuLh

2023-11-06 20:40:42
エリザ @elizabeth_munh

1914年ロンドン、怒れる女達のデモ隊が、バッキンガム宮殿目掛けてまるで軍隊のような隊列を保ちつつ前進していた。 「Votes for women(女性に参政権を)!」 最前列の女性が声を上げると、周囲も一斉に叫んだ。 「女性に参政権を!」 彼女の名はエメリン・パンクハースト。 pic.twitter.com/lt3hQrotUX

2023-01-28 21:43:09
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リンク Wikipedia サフラジェット サフラジェット (英語: Suffragettes) は19世紀末から20世紀初頭にかけて、「参政権」(英語: Suffrage)、つまり選挙で投票する権利を女性にも与えるよう主張する女性団体のメンバーだった人々を指す。イギリスではとりわけ女性政治社会連合 (Women's Social and Political Union、 WSPU)のメンバーのような好戦的な人々を指すことが多い。より一般に女性参政権運動のメンバーを指す表現は「サフラジスト」(英語で"Suffragist")。 「サフラジェット」( 10 users 16