三国志こばなし集2023年12月号(上)三国時代編

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孝「あまり喧嘩ばっかりしないでね！お姉ちゃん！」 義「引っ込んでろ！」 孝「じゃあね！」 孫(…不思議な子) 義「…私は認めねえからな」 孫「そう」 義「…チッ！」 孫「…」 牽「さて、騎射を習いたいんだったな」 孫「はい！」 李「任せときな！」 牽「とはいえだ、孫仁殿」 孫「なんでしょうか」

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牽「ここが戦陣であることを忘れるな」 孫「…はい」 牽「場合によってはあなたも出陣してもらうことがあるからな」 孫「覚悟します」 牽「人も殺すのだぞ？」 孫「」 李「大将！」 牽「…」 孫「…」 李「たまにあの人エグいこと平気で言うんだよなぁ…」 孫「…でも、大事なことですから」 李「…」

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李孚「んじゃ、気を取り直して初めての騎射だな！」 孫仁「よろしくお願いします！李孚師匠！」 李「師匠!?」 孫「教えてもらうんですから！」 李「…照れ臭えが、やるからにゃとことんやるからな！」 孫「はい！」 李「んじゃ、まず見よう見まねでやってごらん」 孫「的盧！」 的盧「！！」 李「…」

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孫(馬に乗っても弓は弓！) 的「！！」 孫(!?) 李「そら落ちた！」 孫「もう一回！」 李「まだ一矢も放ててないぜ！」 孫(あれ？) 的「！！」 孫(そうか！地上でやるのとは全然違うのね！) 李「乗るだけで精一杯なのかい？」 孫(…でも！) 的「！！」 孫(弓の姿勢をとるだけで、精一杯かも！) 李「…」

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孫「わっ！」 李「大外れ〜！」 孫「…地上と訳が違いました」 李「んじゃ俺の番な！」 孫「お願いします！」 李「おう！」 馬「！」 李「！」 孫(姿勢がまるでぶれない…) 李「！」 的「！」 李「！」 的「！」 孫(私は腿の力をもっとつけないといけないのか…) 李「！！」 的「！！」 孫「すごい…」

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李孚「ざっとこんなもんよ！」 孫仁「地上の弓とは訳が違うんですね…」 李「おう！立ちっぱなしの弓なんざ比べ物にならないくらい激しいだろ？」 孫「走りながら弓を射る事がこんなに難しいなんて…」 李「何が一番難しかった？」 孫「…姿勢を保つ事」 李「よし！着いてきな孫仁ちゃん！」 孫「？」

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李「俺がいねえ時の騎射の師匠はな？」 孫「！」 曹義「騎射の手本だ！」 的「！」 曹「！」 的「！」 曹「…」 的「…」 孫「あれ？やり過ごし」 曹「！！」 的「！！」 孫「!?」 李「すげえだろ？」 孫「馬からそっくり返って、騎射…？」 李「こればっかりは義しかできねえんだな！」 孫「…」

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李「義！もう一往復やってくれ！」 曹「ああ？」 李「てめえの技が見てえんだよ」 曹「高くつくからな！」 孫「…」 曹「！」 的「！」 曹「！」 的「！」 孫「…あれ？」 李「よく見ろよ孫仁ちゃん」 曹「！」 的「！」 曹「！」 的「！」 孫「あいつ！両利きなんだ！」 李「そこがすげえのさ！」

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曹義「どうだ！お嬢さん！」 孫仁「…悔しいけど、認めます」 曹「へえ？」 孫「でも、剣と体術と地上の弓は私だから」 曹「…ケッ！」 李孚「品が悪いぞ義！」 曹「うるせえ！こちとらお嬢様じゃねえんだよ！」 曹孝「そうだっけ、お姉ちゃん？」 義「孝！」 孝「そうじゃなかった気がするんだけど」

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義「うるせえ！引っ込んでな！」 孫「私たちお友達よね、曹孝ちゃん？」 孝「そうね！孫仁さん！」 孫「じゃあ私にこっそり教えて」 義「叩き殺すぞ孫仁！」 孫「あなたにできる？」 義「もう負けねえ」 孫「へえ？」 義「そらっ！」 孫「読みきり〜」 義「なに!?」 孫「‼︎」 義「!?」 孝「強い！」

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孫「あなたのやりそうな事、私の師匠にそっくり！」 義「…くそっ」 孫「正々堂々と勝負するつもりはないの？」 義「…」 李「…」 孫「だからこそ言うけどね」 義「ああ？」 孫「私に騎射を教えてほしいわ」 義「なんだと？」 孫「地上の弓と全然違ってビックリした所なの」 義「…」 孫「どうかな」

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曹義「じゃああたしの凄えところ三つ言いなよ！」 孫仁「三つ？」 曹「ああ！」 孫「騎射でそっくり返って討てるのは凄いわね」 曹「あと二つ！」 孫「あなた両利きで騎射できるのね」 曹「そうさ！凄えだろ？」 孫「ええ！凄いわ！」 曹「んじゃあと一つだ！」 孫「…そうねえ〜」 曹「早く言えよ！」

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孫「う〜ん」 曹「早く言わねえと教えねえぞ！」 孫「早く言えば教えてくれるの？」 曹「ああ！」 孫「曹孝ちゃんにとっても優しいお姉さん！」 曹「はあ!?」 曹孝「大正解！孫仁さん！」 孫「これで三つね！」 義「孝！それはなしだろ！」 孝「酷い！もう私に優しくしてくれないの？」 義「違えよ！」

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李孚「俺が証人だ！義！孫仁ちゃんに騎射の師匠な！」 義「はあ？」 李「てめえで言った事だろ？」 義「…」 孝「私、優しくされなくなっちゃうの？孫仁さん？」 孫「その時は私の妹に」 義「ふざけんな！それだけは絶対に許さねえからな！」 孫「あら残念…」 義「覚悟しな！死ぬ目にあわせてやる！」

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孫仁…なんだかんだ悪い人じゃないのかもしれないけどね… 牽招…時折酷く冷酷な所がある様なのは彼の性格なのか。 李孚…俺より曹義の方が良い師匠になれる気がしたからよ！ 曹義…不本意ながら孫仁の騎射の師匠にならされた。 曹孝…曹義の妹。色々不思議な女の子。なぜここにいるのだろう。

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張昭「殿！」 孫権「どうした張公」 張「私もボケさせてくだされ！」 孫「…はあ？」 張「いつも殿の突っ込み役ではフラストレーションが半端ありませぬので！」 孫「一度落ち着こうか、張公」 張「落ち着いてなどいられませぬ！」 孫「その時点で貴様はボケる資格が無いことに気づいていないのか？」

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張「なんですと!?」 孫「子敬」 魯粛「やあ、張昭殿」 張「なぜ貴様が」 魯「赤壁の戦をする前のことを思い出していただきたい」 張「！」 魯「…あの頃は、孫呉の誰もが曹操に降伏したいがために戦わない理由や降伏する利をご主君に説いておりましたなあ」 孫「全くだ子敬」 魯「それが今や、ねえ？」

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張「!?」 孫「今や貴様らがボケる間もないほど曹操との戦で日々頭を悩ませ続ける毎日ときたものだ」 魯「曹操に仕えて痴呆になるくらいならば、生涯現役で曹操対策で知恵を巡らせ続けるべく頭を使う方がよろしいのでは？」 張「言うまでもあるまい！魯粛！」 魯「言質を取りましたからな」 孫「うむ」

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孫権…率直に言えば、私も赤壁の戦があそこまで上手くハマるとは思っていなかったけどな。 魯粛…私もそうでしたが、合肥は堕として欲しかったのが本音ですな。 張昭…とんでもない言質を取られてしまったと冷や汗が止まらない。

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韓遂「曹操から文とな？」 成公英「こちらを」 韓「…ん〜？」 成「どうされました？」 韓「…わしも目が悪くなったからかのう、字が汚くて読めんわい」 成「いえ、韓遂様。本当に字が汚く、消されたりされておりまする」 韓「そりゃまたどうしてだ？」 成「…曹操がこんな汚い字を書くでしょうか？」

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韓「では送り間違いか？」 成「…もしや」 馬超「韓遂殿！」 韓「おう孟起。この文を見てくれ」 馬「…汚いですな」 韓「曹操から来たのだが」 馬「もしや韓遂殿が都合の悪い部分を消したのでは？」 韓「なにい？」 成「馬超殿。それはありません」 馬「お前が言っても信用できん」 成「それならば…」

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馬「…杜撰な手紙か」 成「本文を検証すれば分かります」 馬「疑って申し訳なかった！」 韓「…だが曹操の策にしては粗末だ」 馬「そう言われると」 韓「わしらを離間させる嫌らしい策を仕掛けそうだのう」 馬「用心しましょう！」 韓「ところで英。曹操のアレはどうなっておる？」 馬「!?」 成「…」

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韓遂…曹操のアレ？羌の差し入れのおやつを贈る件のことだぞ？ 成公英…最後に余計なことを言うんだよなこの人は… 馬超…曹操のアレとはなんだ？

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劉備「漢中で何をとっ捕まえてきたって？」 孔明「曰く、とても可愛らしい動物だと」 劉「なんだそりゃ？」 魏延「殿！ご覧ください！」 熊猫「…」 劉「うわ！なんだこいつ！」 孔「…」 熊「！」 劉「俺に懐いてやがる！」 魏(熊に襲われたみたいに見えたぞ) 孔(私も) 劉「可愛すぎるだろおめえ！」

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孔「…」 劉「どうした孔明？」 孔「あまりにもこの熊猫が、自身が可愛いことを自覚して立ち振る舞っている様に見受けられまして…」 劉「はあ？」 魏「熊猫があざといと？」 孔「中にあざとい子役でも入っているのでは？」 劉「熊猫に嫉妬してんのかよ孔明」 孔「いえ」 魏「孔明殿に似てませんか？」