ひなえ104歳の記録

とうどうSSM @sstodo

ひょんなところからひい婆さんの昔の写真が発掘されたので、記録代わりに。 104歳まで生きたんだけど、超小柄のわりにえらく骨太で95歳で初骨折、初入院したとき医者に「骨年齢が50～60歳」って言われて家族は驚いてた。それまで風邪ひく以外はまったく病気もせず。

とうどうSSM @sstodo

明治大正昭和平成と生きたんだけど、最期は老人ホームで肺炎にかかり亡くなった。最後の方はぼけの進行が早く、会いに行くと幼少の頃に亡くなった弟と思われてた。「うん今日も学校で勉強してきたで」ってよく返事したの覚えてる。もう社会人だったけど。

とうどうSSM @sstodo

生まれは1900年。19世紀の人間。仏教徒だけど聖なる前夜生まれ。クリスマスと誕生祝いをいつも一緒にしてた。 80代のある誕生日、家族の悪ノリででかいケーキにロウソクを年齢分さしてクラッカーいっぱい鳴らしたら、中の紙テープが照明からいっぱい垂れ下がって引火し、火事になりかけた思い出ある。

とうどうSSM @sstodo

子供の頃、昔の話をすごくたくさんしてくれた。普通リアルでは経験できない歴史の出来事の話もあった。

とうどうSSM @sstodo

小学校は1年から行ってなくて2年か3年生から行ってたらしい。 先生が「日本帝国は勝ちました」って言ってたのは覚えてるらしい。「戦勝国」っていう言葉を習字で書いたと。よう覚えとったな…。

とうどうSSM @sstodo

第二次大戦時の話もしてくれた。「大東亜戦争」って言ってた。「満州事変」「支那事変」というワードも出てきた。ラジオがなくて新聞は見てたよう。 農家だから食糧不足は無かった。津（三重県津市）の方から米と野菜、あと草鞋とか藁を売ってくれと下買人（仲買人？）がときどき来てたと。

とうどうSSM @sstodo

大東亜戦争当時もう40代。長男が昭和18年に出征し翌年8月ビルマで戦死した。村（地区？）で立派な葬式してもらった。が、終戦の年になると「次男（祖父）がおるのにご奉公（出征）してない」と近所で噂されてたらしく、それでも「赤紙くるまで行ったらあかん」と祖父に言ってた。

とうどうSSM @sstodo

けど祖父もその噂は知っていて、志願入営しようと夜に家出しようと何やらごそごそと荷造りしてたのを察知し、表で張ってたら出てきたので捕まえて何発かぶん殴ったと笑　目に涙ためながら話してたなぁ。ちなみに旦那（曾祖父）は行ってこい！って許可したらしいからしょうがなく許した。

とうどうSSM @sstodo

その後終戦までに津で大きな空襲があり、夜、東と南の山の間が真っ赤に光ってたのが怖くて怖くて、娘と一緒に数珠持ってきてずっと拝んでた。たぶん7月24日の津空襲かな。翌日以降、灰とか半分灰になった新聞紙とかが飛んできたって言ってた。直線距離で20km以上あるけど。

とうどうSSM @sstodo

10月次男が無事帰還した。まあ終戦直前に入営したので内地、しかもほとんど県内にいた。それでも伊勢湾で哨戒艇に乗っててグラマン（たぶんF6F）と7.7mm機銃で交戦はしてた。桑名では空襲に合い、目前で戦友の最期を看取ったようで、苛烈な体験はしてた。独立海上輸送第二十五大隊。

とうどうSSM @sstodo

玉音放送は、なんか国か話あるからと言われて近所のラジオ聞きに行った。音悪くて何言ってるかわからんかったと。ただ、もうこの戦争は負けやでなーっていう会話があちこちでされてたから、ああ戦争負けたんやなってわかったみたい。出征した次男だけは無事に帰ってきてほしくて寺へ毎日拝みにいった。

とうどうSSM @sstodo

終戦翌年の南海地震は死ぬかと思ったって話してくれた。雨戸が勝手にガーラガーラと動くし、立ってられなくて井戸（今でもあります）にしがみついて拝んでた。 その2年前の東南海地震は大したことなかったらしい。 震度4か5だったようだけど、当時は大地震やわなぁ。

とうどうSSM @sstodo

戦後、戦死した長男に代わり次男（祖父）が結婚して家を継いだ。その後の話はそう多くはなくて、朝鮮戦争乃ときに祖父の給料がめっちゃ上がったとか、ベトナム戦争のニュースを白黒テレビで見て、B29が飛んでる映像を見て必死に拝んだとか。これはB52かな。

とうどうSSM @sstodo

霊感というか、そういうのがあるようなことをよく言ってた話。 まだ寝たきりではないけど、もうぼけが進みだした頃、朝ごはんに呼びに行ったらもう起きてた。いつも横向きに寝てるのに珍しく仰向けで、じーっと天井を見てた。 「どしたん、なに見てるん？」って聞いたら

とうどうSSM @sstodo

「長男が戦死した（とされてる）日の一日前の明け方、長男が枕元に立ってた。『帰ってきたんか！』って言おうとしたけど体が起きない、そしたら右手で頬っぺたを撫でてくれたんやけど、その手がえらい冷たくて、あ、この子死んだかもしれへん」 と話してくれた。背筋がゾゾーっとしたの覚えてる。

とうどうSSM @sstodo

湾岸戦争のとき、テレビでイラク軍の対空砲火とか空母から発艦する米艦載機とか誘導爆弾のカメラとかがニュースで流れ、興奮した私が「戦争始まったで！」と言いに行ったら泣き出して、「また戦争するんか、ようけ死ななあかんのか」と言いながら仏壇に行って拝みだしたの覚えてる。

とうどうSSM @sstodo

取り留めなく書いたひい婆さんの話だけど、本当に好きだったんだよね、俺。高校のときなんかは部活で帰るのが真っ暗になるのも多かったんやけど、心配して家の前でずっと待っててくれた。近所から冷やかされるもんで俺は恥ずかしかったけど、本当に優しいひい婆さんだった。