三国志こばなし集2024年2月号(下)三国時代編

三国志こばなし集 @omikanboy3594

母「嘘でしょ！」 周「失礼致します、子敬くんの母君」 母「!?」 下「」 周「私一番のご友人魯子敬くんの母君であられるお家への無作法な訪い、お詫び申し上げます」 母(白馬の王子様だ…) 周「此度私が参りましたのは…」 母「私を連れてって」 周「母君？」 母「構わないから」 周「仰せのままに！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

周瑜…やはり子敬の母君なんだな、この人。 魯粛母…魯粛を産んだ時を違えず旦那が亡くなったせいで、狂児と忌まれた嫡男魯粛のせいで肩身が狭すぎる日々の反動が、ここにきてきてしまったかもしれない… 下女…母に張り倒されて正気に戻ったが、瞳はすっかり恋する乙女。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹丕「おお。羌からの貢物か」 司馬懿「羊毛をふんだんに使った着物だと」 曹「うむ…む!?」 司「どうされました？」 曹「今、着物から衝撃が…」 司「衝撃ですと？」 曹「寒い季節に羊毛の着物を羽織るとよくあるではないか」 司「…あいにく私は羊毛を着たことがなく」 曹「そうか」 司「陛下？」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹「貴様に着物を下賜するわけにはいかぬが、羊毛を刈り放題刈ったぞ」 司「それを着物に仕立ててよろしいのですか？」 曹「ならぬ」 司「…ではなぜ羊毛だけを」 曹「私の衝撃を体感させてやろうというのだ」 司「本当にそんな衝撃が？」 曹「うっ！」 司「…また陛下に」 曹「おのれ忌々しい羊め！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司「この寒い日に毛を刈られた事の恨みが陛下への衝撃となったのでは？」 曹「なに？」 司「パチパチ音がします」 曹「そうだ」 司「髭が！」 曹「この力は果たして羊の恨みなのだろうか…」 司「やめてくだされ！」 曹「それ」 司「うわっ！」 曹「ぐっ！」 司「また陛下に…」 曹「羊肉を所望する」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹丕…冬場の羊毛の着物はもこもこで暖かいけど、パチパチする刺激が嫌になることがある。 司馬懿…呉質が曹丕の着物で髪を逆立てて遊んでいるのを見てしまった。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫権「兄上と公瑾は私たちと同じ人間だと思うか、義封」 朱然「まさか。比べるなど烏滸がましい天上人の方々ですよ」 孫「だよなあ」 朱「仲謀殿は孫策様と比べられることが」 孫「何度となくな」 朱「すると私は周瑜様と比べられるのか…」 権「ふん！そのちまっこい身体で公瑾と比べられるものか！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

朱「おのれ！」 孫「やんのか義封！」 ？「その喧嘩待った！」 孫「…その声は」 太史慈「やあ孫権殿に朱然ではないか！」 朱「…どうも」 太「元々が違う人間同士、競い合い高め合うならまだしも、比較して落ち込むだけのいかにくだらぬことか！」 孫「確かに」 太「人とは自分か自分以外かの二択だ」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

朱「あなたはそうでしょうね…」 太「体躯を競ったのか？」 孫「ああ！義封の小ささで公瑾に並ぼうなど笑止千万！」 朱「こら！」 太「待たれよ。前々から気になっていた事があるのだ」 孫「それは？」 太「身体の比率を計らせていただこう」 朱「？」 太「やはり孫権殿は足が短かかった！」 孫「!?」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫権…自分と同じくらいの男性における足の長さランキングのワーストクラスだった事にがっかり。 朱然…身体こそ小柄だったが、ボディバランスは抜群だった事を太史慈に指摘されて大喜び。 太史慈…俺に勝る男などそもそもおらんがな！伯符殿だって局地的に俺に勝っただけに過ぎん！

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹操「忌々しい！これが我が軍を苦しめた貝か！」 張遼「曰く、キチンと煮沸した湯でじっくり火を通したものは美味だったのですが、それを待ちきれぬ粗忽者が生煮えの貝を食べて病になったそうで」 曹「そして此度の赤壁の病の元凶となった貝をキチンと調理した料理がこれらなのだな！」 張「然り！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹「なんと忌々しい…忌々しいにも程があるのだが…」 李通「言わんとされたい事は」 曹「そうとも万億。なんと食欲をそそる香りではないか！」 文聘「重ねて申し上げますが、生煮えは我ら荊州の者でもご法度だったのですが、横着せず火を通す事でこれほどの美味に…」 曹「なる！これは美味いぞ文聘」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

李「この貝を喰って死んだ兵がいるのだが」 文「それは！」 李「知っているのか文聘！」 文「その貝は、好みこそ大きく分かれども、誠に美味な貝なのです」 曹「ほう！」 文「美味いのですが、その後病にかかるか否かは運次第という恐ろしい貝でもあるのですな！」 曹「名は？」 文「牡蠣といいます」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹操…加熱した牡蠣を許褚に食わせて美味のあまり言葉を失ってから食べたらこいつも美味さにやられてしまった。 張遼…河の食い物ではなく肉を食って今まで生きてきたからな… 李通…焼けばどうにでもなるもんな、肉は。 文聘…劉表配下のできる男が無念の降伏をした上で力となった。貝料理に詳しい。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

程普「おや？公覆はまだか？」 凌統「厠に行くと言われてからだいぶ経ちましたね」 甘寧「また厠でほったらかしにされてんじゃねえか？」 韓当「そりゃ捨ておけねえ！」 程「助けに行かねば！」 黄蓋「やれやれ…この館は厠の場所が分かりにくくて困る…」 黄「おや？皆揃ってどこに行ったのだ？」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

黄「君。私と共に来た面々がどこに行ったか知らぬか？」 男「厠でも行かれたのでは？」 黄「わし以外の全員が？」 程「公覆！どこだ！」 韓「厠で倒れているなら返事をしてくれ！」 凌「いつの間にかみんな逸れちまった！」 甘「全員行っても仕方ねえ！俺は卓に帰るか」 黄「…どうしたものかな」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

甘「畜生！帰り道が分からねえ！」 淩「明かりもないんじゃ帰れないぞ」 程「どこ行った、公覆」 韓「マズい！助けてくれ！」 黄「…まさか先に帰られたか」 男「お勘定は？」 黄「済んでおらんか？」 男「まだです」 黄「なに？」 男「お客様全員に卓を外されるわけには…」 黄「…仕方あるまい」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

黄蓋…ちょっと厠からの道に迷って戻ってきただけでとんだ待ちぼうけ。 淩統…庭園の池に落ちてボロボロになりながら一番手で帰ってきたら、黄蓋が飯食っててゲンナリ。 程普…帰り道が分からず隣家の家主の戸を開けてしまって大迷惑。 甘寧…迷いに迷ってたら自分の軍営に帰ってたのでそのまま寝た。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

韓当…翌朝、厠近隣の泥が深い所で埋もれているのを黄蓋に助けられて九死に一生。これで借りを返された事になってしまうのか。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹丕「漢中から手紙が届いた」 司馬懿「陳琳殿からですか？」 曹「…その時点で分かるような嘘をついたのか、子廉叔父上は」 司「曹洪殿が何か？」 曹「手紙を読んでみろ、仲達」 司「…え？」 曹「こんな達筆なわけがないだろう、子廉叔父上が」 司「陳琳殿の代筆じゃありません！」 曹「正気なのか」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司「…これほど故事に精通された上で諧謔を交えながら文章を書ける御仁でしたかな？」 曹「それはお前が言えたことではない」 司「…」 曹「からの末文を読んでみろ」 司「代筆したのではありません！文章が上達したのです？」 曹「信じられず私が大笑いしてるんじゃないかとな」 司「すごい人だな…」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹「どう思った？」 司「陳琳殿と組んだ洒落の可能性は？」 曹「それなら筆跡から真似ろ」 司「…確かに」 曹「…なぜだか叔父上に借財を無碍なく断られた腹立ちが蘇ってきたぞ」 司(そういうところあるんだよなこの人) 曹「私は文章において粗雑な茶番を寄越す輩は身内だろうと断固許したくないのだ」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹丕…いつか借財の恨み共々晴らしてやる… 司馬懿…曹洪の茶番を笑っていたが、こいつの文才が話にならないレベルなのは周知の事実。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹洪…曹丕から漢中での手柄を讃えた社交辞令の手紙に大喜びし、いらんことをしてしまった模様。 陳琳…めんどくさくて日頃の二割くらいのノリで適当に書いてこのレベル。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫権「子敬！子敬はどこだ！」 魯粛「何事ですかご主君！」 孫「この手紙は公瑾にも必ず読ませるのだが、まずは絶対お前に読ませたかったのだ！」 魯「なんですかその物騒な手紙とは？」 孫「まず読め！」 魯「…曹操からではありませんか！」 孫「賭けてもいい。お前も公瑾も必ず爆笑する」 魯「？」