三国志こばなし集2024年2月号(下)三国時代編

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孫策「…」 ？「またお一人でお散歩ですかな、伯符殿？」 孫「勘弁しろ仲翔」 虞翻「あなたが一人になりたがるお気持ちだけは、他の者より分かっているつもりですがね？」 孫「ならしばらく黙ってあっちに行け」 虞「…御意」 孫「…」 虞(時折一人になりたくなる気持ちは、分からなくもないのだが…)

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孫「…」 虞(日頃の陽気な彼を覆い尽くして余りある闇を感じるのは、果たして私だけなのだろうか…) 孫「仲翔！」 虞「はっ！」 孫「武術の稽古、頼んでいいかな？」 虞「ええ、もちろん」 孫「お前の戟を戦で活かせねえのはもったいねえよな！」 虞「あいにく私は戟より筆の方が、遥かに強いのでね」

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孫「舌鋒の間違いだろうが！」 虞「相変わらず私に劣らぬ武技と減らず口の巧みですな！」 孫「うるせえ！」 虞「！」 孫「…なんでお前は軍人じゃねえのかな！」 虞「私を戦で死なせてごらんなさい。この賢い頭の中身を誰にも知られず骸にする損失をお考えになられた事が？」 孫「賢明だろうが！」

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孫策…てめえと組んでりゃあの時の子義を生け捕りにできたよな！ 虞翻…そんなまさか。私が間違いなく討ち取っていましたよ。

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孫権「書初めをしようか」 張昭「今更？」 孫「子綱の達筆と比べたら月とスッポンだもんな」 張「何を言う！」 張紘「しかしな、子布殿」 昭「なんだ！」 紘「私は前々から貴殿の筆の持ち方が気になってまして」 昭「!?」 孫「まさかそのレベルだったのか、張公…」 昭「ええい！さっさと用意せい！」

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孫「何を書こうか」 紘「新年の目標にされては？」 昭「断酒か？」 虞翻「口は災いの元とかいかがです？」 孫「間違っても貴様が言う台詞じゃない」 虞「これは失敬」 紘(書初め一つ静かにできないのか、この君臣は) 虞「よし。書けました」 昭「どれ？」 虞「勝訴！」 孫「忌々しいほどよく似合うな」

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虞「この書初めを手に、辺りを走り回ってきます」 孫「私に勝訴したみたいに思われるではないか！」 昭「じゃあわしも不当判決の紙をもって練り歩こうか」 虞「いいですな！」 孫「やめろ！貴様ら！」 紘「では殿の書初めは？」 孫「党錮」 昭「洒落にならん！」 虞「殿には濁流がお似合いですからな」

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孫権…結局お互いの書初めに落書きしあう子どもの喧嘩の様相を呈していた。 張昭…新しい元号を見せる役目を一度でいいから担ってみたい。 虞翻…孫呉勝訴の紙が似合う男ナンバーワン。 張紘…孫呉一番の達筆。孫策の字が意外とうまかったのが懐かしい。

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劉備「おめえ雲長にどんな手紙書いたんだ、孔明？」 孔明「馬超は一代の傑物で、さながら黥布や彭越の輩。張飛殿と先を争うでしょうが、髯殿には敵いません、と」 劉「そりゃ喜んだわけだ」 法正「ですが、黥布や彭越の輩とはね」 孔「まあまあ」 劉「黥布と彭越に韓信だったか？」 法「縁起でもない」

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劉「まさか孟起一人でその三人に例えられてたりしてな！」 馬岱「それがあるんです、殿」 劉「なに！」 孔「誠ですか？」 馬「涼州で死闘を繰り広げた楊阜に、黥布と韓信に例えられました」 法「黥布が被るんだな」 劉「すげえ一人三役じゃねえの…」 馬「間違っても我らはかの三名のような真似は…」

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劉「しねえの分かってっから！」 法「明日我らが食べる肉に用心した方が」 孔「孝直」 劉「その減らず口に黥いれるぞ」 法「お詫びに馬超殿の股でも潜ればよろしいか？」 馬超「いいだろう。潜れ」 法「おっと…」 劉「行きな、孝直」 孔「速やかに」 法「四面楚歌とはこの事だったか…」 超「違う」

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劉備…てめえの毒っけは気に入ってるが、限度はあるからな？ 孔明…よもや自分が張良と蕭何と韓信のハイブリッドになるなんて思いもしていなかった頃。 法正…馬超の両脚がめちゃくちゃ太くて挟み殺されるかと思った。

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馬岱…いきなり後ろから出てきてみんなをびっくりさせる癖があるとか。 馬超…足音や気配もまるで立てずに歩く事ができるらしい。殺気で鳥肌が立った時には手遅れ。

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周瑜「あがりだ！」 呂蒙「周瑜殿？ウノと言っていなかったのでは？」 周「!?」 魯「随分とカッコつけてあがられてましたなあ〜」 周「うるさい！」 陸遜「罰則二枚をどうぞ」 周「くそ！」 魯「赤の五」 呂「赤のスキップ」 陸「む」 周「赤のドロー2！」 魯「なんの！黄のドロー2！」 呂「…えっと」

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陸「では呂蒙殿に四枚」 呂「否、青と緑のドロー2」 陸「なに！」 周「陸遜に八枚」 陸「なぜ私にだけドローがないのだ」 魯「散々私たちだけに泥を被らせていたからだろう？」 陸「何を言いますか！」 周「青の五でウノ！」 魯「青のリバース！」 周「小癪な！」 呂「白熱してきたな、陸遜」 陸「…」

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周「黄のリバースでウノ！」 魯「黄の三」 呂「黄の五」 陸「黄の九」 周「黄の四であがり！」 魯「見事な…」 呂「魯粛殿」 魯「色変えドロー4で赤！」 呂「…赤のドロー2」 陸「これだけ手札があれば…！」 周「あったか？」 陸「…」 呂「陸遜に六枚」 陸「このろくでなし！」 魯「ろくでありだ！」

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周瑜…カードゲームも如才ないが、たまに凡ミスをするギャップが可愛い。 魯粛…呂蒙を嵌めるのが楽しい。 呂蒙…陸遜の癖が読めるようになってきたのを内緒にしている。 陸遜…意外と遊びでは熱くなりがちで、このメンツでのカモられ役。

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郭嘉「軍師たる者あらゆる物事に臨むにあたり、全知全能を費やす事に異論はあるまいでしょう」 程昱「うむ」 郭「兎角それが戦となった際には、一人の決断に判断の失陥が文字通り全員の命取りとなる訳ですな」 賈詡「はい」 郭「従って、この場の会計で卓を並べた者同士の間柄も同じ事」 荀攸「郭嘉」

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男「その兄さんのツケ放題。もう落とし前つけらんねえとは言わせないからな？」 郭「そういう訳です、皆さん」 荀「どこから謀られていたのかな…」 程「わしは前菜も水もまるで来なかった所から察していた」 賈「私は郭嘉殿を見た時の店主の舌打ちから察していました」 荀「嫌われ放題じゃないか…」

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程「この郭嘉と卓を一緒にしただけで我らもツケの片棒を担がねばならぬのか？」 男「そんだけツケやがったからな」 賈「なぜ彼のそれを迂闊に許してしまうのです？」 荀「この店は明瞭会計が売りではないか？」 男「それは…」 郭「あんたの何番めかの妾が私にぞっこんだからでしたっけ？」 男「野郎」

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郭嘉…私が悪いんじゃありません。私に女を持ってかれるあんたがだらしないのがダメなんです。 荀攸…董卓暗殺計画に噛むほどの胆力の持ち主が飲み屋のツケ如きで怯む訳がない。 程昱…巨漢の偉丈夫なので威圧感は中々。 賈詡…彼にだけは法外な会計を突きつけてはいけない暗黙の掟がある。

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男…結局泣き寝入り。

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貂蝉「奉先はさ？」 呂布「なんだ」 貂「ただの馬鹿って訳じゃないよね？」 呂「いきなり無礼だな、貂蝉」 貂「そうは言うけど、胡軫ってボンクラの足引っ張る手並みや、袁紹に殺されかけた時の逃げっぷりは見事じゃないか」 呂「…それは触れないでくれないか、貂蝉」 貂「じゃあ何が足りんのかね？」

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呂「何より時の運に恵まれなかったのだ」 貂「例えば？」 呂「丁原が俺より馬鹿な主君だったり」 貂「てめえで殺しただろ？」 呂「…董卓も俺の扱いを酷くしたり」 貂「私の色仕掛けにやられた馬鹿同士で言うんじゃない」 呂「よもや王允が李傕らに負けるなど」 貂「てめえも負けたじゃないか、奉先」

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呂「なぜ俺は負けたのだ？」 貂「それを聞いてんのが私さ」 呂「まるで分からん。皆目分からんのだ…」 貂「丁原の主簿じゃこの程度のお頭かい？」 呂「失礼な！」 貂「じゃあどうすりゃ私らのこの先を」 高順「呂布殿！誼を通じた張邈殿より殿を兗州にお迎えしたいと！」 呂「乗った！」 貂「はあ？」