三国志こばなし集2024年2月号(下)三国時代編

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楽進「言うじゃねえか趙儼！」 趙「我ら一切の懸念を払拭したからな！」 遼「礼を言う！趙儼！」 于「よし皆！配置につくぞ！」 全員「おう！」 曹丕「李通め。私だろうと容赦ないスライディングを」 操「これからは私にも来るだろうよ、子桓」 丕「…承知」 程昱「試合再開！」 操「子桓」 丕「…」

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曹丕(曹仁殿に徐晃が徹底的に付き纏っているな) 曹仁「…」 徐晃「…」 丕(子丹には荷が重そうだ…) 曹真(子桓殿！) 丕「父上」 曹操「なに！」 丕「ん？」 操「曹真に行くものかと！」 李通「いただき！」 丕「くそっ！」 李「万億がこのまま！」 張遼「待て！李通！」 許褚「！！」 李「うわっ！」

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張「許褚殿を崩すのは足元からだ！」 李「うるせえ！」 許「殿」 操「この隙を逃すな！」 張「しまった！」 操「曹真！」 真「はっ！」 張郃「させん！」 真「子桓殿！」 郃「なに!?」 丕「もらった」 于禁「なんの！」 丕「ちっ！」 于「李通！張遼！今は啀み合う時ではない！」 李「…」 遼「…」

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夏侯惇「白熱してきたな」 夏侯淵「どっちも危なっかしいね」 李典「ここに来て諸将の我が衝突すると…」 趙儼「ここまで来ては止められぬ」 于「張郃。堅実に」 郃(今は速攻で攻め続ける頃合いだと思うが…) 仁「隙あり！」 郃「あっ！」 仁「止めよ！」 于「うっ!?」 操「すまぬな于禁」 于「!?」

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程昱「殿のゴール！曹夏侯連合の勝利！」 曹操「やれやれ、紙一重だったが」 于禁「二度も殿の急襲にやられるなど…」 曹「こんな時に小柄だと、大柄の者どもの陰に隠れて動きやすくてな！」 曹洪「寄らば大樹の陰ってね！」 操「違いない！」 夏侯惇「試合は終わった！お互いの健闘を讃えあおうぞ！」

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徐晃「ここ一番で曹仁殿を逃してしまった…」 曹仁「貴殿は某を止める事だけを考えていたが、某は貴殿を壊してでも突破するつもりだった」 徐「その差が出たというわけか…」 夏侯淵「お前ら個人技は頭抜けてんだけどな！」 張遼「一度でも血が上ると我が出てしまい…」 李通「すっげえ悔しいぜ…」

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張郃「曹真の巨体に似合わず足捌きに翻弄されましてな！」 曹真「いやはや恐縮です…」 曹「全くだ！虎豹は曹真にも率いてもらおう」 真「なんと！」 李典「…曹休殿は？」 洪「あのままどっか行っちまった」 操「才はあれど困ったものよ…」 曹植「此度の両者を讃えた賦を披露しても？」 操「頼む！」

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曹操…なんだかんだの決勝点を決める決定力は、自身の短躯を巧みに活かす身のこなしにあり。 夏侯惇…フィールドよりベンチからの鼓舞やメンバーへの声がけに向いてる。 夏侯淵…単騎の突破力に限界があるのは分かるがどうにも血の気が多い。 曹仁…ここ一番の爆発力で形勢を一気に自軍に引き寄せる。

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曹洪…ディフェンスの名手で、若手のいい叔父貴でありたいそうだが… 曹純…曹休とのコンビが上手くいきそうだっただけに、彼の性格が色々もどかしい。 曹丕…個人技には秀でているが、今ひとつ読みが浅い。 曹彰…フィジカル一番でも翻弄されっぱなしだったが、シュート力は満寵の動きを封じるほど。

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曹植…天性の勘があるかもしれないが、フィジカル面で諸将に圧倒。曹彰とは上手く組めそうだった。 曹真…巨体に似合わぬ技量の高さを認められ、虎豹隊長候補に。 曹休…脚力の持ち味を活かすも、賈逵の瘤ディフェンスに阻まれてから何かが狂った。 許褚…真正面のシュートを一歩も引かず守り抜いた。

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于禁…堅実な守りを持ち味にしているが、攻め手堅さを求めた事が一瞬の隙となってしまった。 楽進…本営奇襲策にハマったが、絶対に本番でやるなよと皆から釘を刺された。 張遼…臧覇との呼吸はあったが、李通との呼吸が最後に乱れてしまった。 徐晃…ロングシュートを許褚に真顔で阻まれて悔しい。

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張郃…曹夏侯陣営の個人技と連携に翻弄され、持ち味を活かせず無念。 朱霊…曲者として適当に走らせたのが吉とも凶とも出てしまった。 李典…諸将連合の我の強さを上手く束ねるための方策を検討中。 李通…突撃の名手も、真正面の許褚だけは突破できず。 臧覇…小技や連携に長けた男。中々に重宝した。

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趙儼…司令塔にはなれても、フィジカルやテクニックではまるで敵わないのが悔しい。 満寵…許褚に劣らぬ巨体だが、曹彰のシュートは弾くので精一杯だった。 賈逵…瘤ディフェンスとヘディングで大活躍したが、曹休のシュートを顔面にくらい無念の退場。禍根にならねばいいが…

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劉備「畜生、蚊の野郎め…」 法正「いるのですか？」 劉「孝直。代わりにその冷たいやつ飲ませてやれよ」 法「誰が冷血漢ですって？」 劉「てめえの血は何色だ？」 法「どこかの王朝よろしく真っ赤なんですなこれが」 劉「さっさと腕出せっての」 法「あんたの右腕を蚊如きに差し出そうってんですか」

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劉「…お？」 法「なんですか出してやってんのに」 劉「孝直、見えるか？」 法「…ああ、こいつですか」 劉「飛ぶ軌道をよく見ろ」 法「は？」 劉「寄りつこうとしながら寄りつかねえでやんの」 法「…つまり？」 劉「なるほど！さすが虫が好かねえ野郎だぜ！」 法「二重の意味で言ってますな、殿？」

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簡雍「どうしたお二人さんよ？」 劉「おう憲和！こいつが蚊にまで虫が好かねえ野郎な所を見ちまってよ！」 簡「飛んでんのか？」 法「あんたの血は美味そうだな」 簡「どうかねえ？」 劉「お！もう吸いついたぜ！」 法「なに!?」 簡「悔しいのか？」 劉「ん？」 簡「へべれけになっちまった」 法「！」

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劉備…そんな入念にすり潰すなっての… 法正…簡雍との好感度の違いを蚊にまで見せつけられてめちゃくちゃ悔しかった。 簡雍…しこたま飲んだばっかだったからよ！蚊も酔っ払っちまったんだな！

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劉備「袁紹がマジで負けるなんざ思わねえってのにな」 張飛「相変わらず兄者の見切りっぷりときたら大したもんだぜ！」 劉「だろ〜？」 関羽「拙者が顔良を斬ったところで足しになったと思えませんでしたからな！」 劉「誤魔化すの大変だったんだからな、雲長？」 簡雍「んで倅たちの内輪揉めかい？」

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劉「覚えてんだろ？あのギスギス軍師ども」 簡「軍師の足の引っ張りあいで大将が足引っ張られちゃ世話ねえってな！」 劉「そんなんじゃねえぞ？俺が褒めてやった袁譚兄ちゃんと弟の袁尚が殺し合いしてっからな」 簡「げえっ」 張「何やってんだか！」 劉「ここで退屈できんのも子仲と公祐のおかげさ」

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糜竺「行きは我ら死にかけましたけどな！」 孫乾「曹操軍の斥候と追いかけっこになりまして」 劉「俺らにここまで着いてきたてめえらなら、そんなんじゃ死なねえだろ？」 糜「まあね！」 孫「私も馬術だけなら着いていけるようになりましたから」 陳到「殿。劉表殿よりお呼ばれが」 劉「また宴かい？」

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劉備「俺景升さんの宴苦手なんだけどよ…」 伊籍「…劉備殿」 劉「どした伊籍さん？」 伊(しばしお静かに…) 劉(？) 伊(江夏より黄祖殿が孫呉との戦の報告に参られました) 劉(黄祖さんといやあ！) 伊(…はい。江夏の守護神であられる) 劉(そりゃ是非ご挨拶を) 伊(されたいと思いますが…) 劉(…あいよ)

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劉表「よくぞまた孫家から江夏を守り通してくれた、黄祖よ」 黄祖「…は」 備(こいつはやべえ男だ) 関羽「…」 張飛「…」 黄「損害は多数。また俺だけが、生き延びてしまい申した」 表「それが出来るからこそ江夏の将ではないか、黄祖」 黄「…山越の謀反がなければ、我らは」 表「調略が生きたな」

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黄「…これにて」 表「せっかくだから、劉備に挨拶せぬか？」 黄「劉備？」 備「お初にお目にかかります、黄祖殿。劉備、字を玄徳。袁紹の元よりこちらに馳せ参じて参りました」 黄「…ああ」 備(…こいつの心の痛みがしんどいねえ) 黄「もしや関羽殿と張飛殿か？」 関「いかにも」 張「よろしくな！」

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劉備…孫堅を討ちとって、親の仇になっちまってから、一人ぼっちで酷い目に遭ってたんだろうなぁ… 関羽…彼の孤独ながら屹立とした生き様に敬意を表した。 張飛…あいつ、何年も笑ってねえだろうな。 簡雍…俺たちみてえな友達が一人でもいればいいのによ。 陳到…巡り合わせというには酷すぎます。

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劉表…黄祖がいるから江夏を孫家の小倅どもから守り抜けるのだ！ 黄祖…孫堅に大敗しつつも討ち取ることに成功して以来、江夏の守護神として君臨する孫家の親の仇。あまりにも過酷な境遇に独りでいすぎたことが心身を強く苛んでいることだろう… 伊籍…私のような文官は見送る事しかできませんよ…