紗羅香執筆『聖夜・2 帰省』 #sarassSP

紗羅香執筆『聖夜・2 帰省』 ギニュー特戦隊・ザーボン、別世界ギニュー特選隊(←文字注意)・ザーボン王子・ザーボンのお話:非公式 をまとめたぞ^^ #sarassSP
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@saraka4237

「そろそろ到着予定か」ザーボンはモニターの表示を見て言った。「平和ボケしたヤツの顔を見るのも、久しぶりだな」自分と同じ顔の弟を思い出し、「相変わらず鍛えていないのだろう」と、苦笑した。フリーザ軍の配下とは言え、彼は根っからの悪人ではない。 #sarassSP

2011-12-24 16:57:13
@saraka4237

平和を好む彼が戦場で生きるためには、敢えて精神を極限状態にまで追い込む必要があった。常に冷徹な仮面を被り、限界が来るまで働き続けた。そうしなければ、自分が壊れてしまいそうだからだ。なので、本当は帰省した時くらいは、ゆっくり寛ぎたい。 #sarassSP

2011-12-24 17:25:02
@saraka4237

だが、既に習慣になっているため、身体を動かさないと逆に休めないのである。「因果なものだな…」兄は静かに溜め息を吐いた。「やはり私は…」と、呟いた時だった。突然、電子音が鳴り、スカウターから少々賑やかな声が聞こえてきた。 #sarassSP

2011-12-24 17:25:26
@saraka4237

『兄さん、ご機嫌いかがかな?もうすぐ到着する頃かと思い、連絡致したよ!』弟の底抜けに明るい声に、兄は苦笑した。「到着時間は決まっておるのだ。わざわざ連絡など必要なかろう」兄の素っ気ない態度に、多少トーンを落とした声が聞こえた。 #sarassSP

2011-12-24 17:50:59
@saraka4237

『相変わらずつれないな…兄さんは』「お前は相変わらずの子供だな」『あはは…』兄弟らしからぬ応酬の後、弟は思い出したかのように言った。『そうだ!今日は兄さんに会わせたい人たちがいるのだよ!』嬉しそうな声で話す弟に、兄は少し態度を和らげた #sarassSP

2011-12-24 19:25:19
@saraka4237

「以前話していた、ギニューたちにそっくりな者たちのことだろう?確か、鏡の向こうから来た、とか言ってたな」『さすがは兄さん!記憶力が良いね!』「それほど昔の話ではないだろう」うっ、と喉を詰まらせる声が聞こえたが、話は続いた。 #sarassSP

2011-12-24 19:26:46
@saraka4237

『と、ともかく!その彼らもパーティーに招待したのだよ!だから、今夜は絶対出席して欲しい』最後は懇願するような声だった。兄は笑いたいのを我慢して、「誰も出ないとは言ってないだろう」と言った。『では、出席して頂けるのかな?』「出るとも言っとらん」 #sarassSP

2011-12-24 19:29:27
@saraka4237

微かにすすり泣く声が聞こえてきた。(からかうのも、この辺にしておくか)兄は、多少明るめな声で言った。「いいだろう。出席してやる」その返答を聞いた弟は、再びトーンを上げて喜んだ。『ありがとう、兄さん!ああ、目の前にいたら、思いっきりはぐして差し上げるのに!』 #sarassSP

2011-12-24 20:18:48
@saraka4237

「目の前にいなくても、抱きつくなよ?」兄は、苦笑いをして言った。「さあ、もういいだろう。お前も色々と忙しいのではないか?」それを聞いて弟は、急に慌て出した。『そうだった!まだやることが残っておった!では兄さん、気を付けて帰って来ておくれ!』 #sarassSP

2011-12-24 20:45:33
@saraka4237

通信が終わると、ザーボンは目を閉じた。数時間後には、母星に到着しているはずだ。ただ、軍支給の一人乗り用ポッドのため、墜落する形で着くのだが。「城に着いたら、慌ただしいだろうな…」継承権を放棄したとは言え、王の息子であることに変わりない。 #sarassSP

2011-12-24 21:15:54
@saraka4237

王子ではないが、ザーボンも色々と忙しいのだ。「暇を持て余すよりはマシだが」ほんの少し、寂しげな笑みを見せた。「少し眠るか…」しばらくして、静かな寝息が聞こえてきた。 #sarassSP

2011-12-24 21:17:35