新しい楽器:26.本

単著『サウンド・アートとは何か 音と耳に関わる現代アートの四つの系譜』(ナカニシヤ、2023年)(https://www.nakanishiya.co.jp/book/b10044931.html)の宣伝を兼ねてはじめた「新しい楽器」という読み物です。
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nakagawa @nakagawa09

26.本|今日は本という楽器について。本は色々な音を出しているし、楽器にもなる、という話です。この「新しい楽器」はとりあえず今日で一区切りです。

2024-03-26 16:40:38
nakagawa @nakagawa09

本を読むと頭の中で声が聞こえます。登場人物の声、地の文を読み上げる声(自分の声だったり別の誰かの声だったり)、作者の声(作者がこの小説について語っている音声を聞いたことがあったりするとその声だったり、勝手に「作者の声」として作り出した音声が地の文を読み上げたり)。色々聞こえます。

2024-03-26 16:40:39
nakagawa @nakagawa09

文学作品を声に出しながら読むこともあるし、詩や小説の朗読会というものもあります。日本では近世と近代を音読と黙読で分けることもあります(前田愛「音読から黙読へ」(1973年))。つまり、文学にはたくさんの音と声があります。

2024-03-26 16:40:40
nakagawa @nakagawa09

参考:Amazon.co.jp: 近代読者の成立 (岩波現代文庫 文芸 32) : 前田 愛, 飛鳥井 雅道: 本 amazon.co.jp/%E8%BF%91%E4%B…

2024-03-26 16:40:40
nakagawa @nakagawa09

あるいはこちらも参考:広瀬正浩. 2022. “読者がその黙読の過程で耳にするもの――国語教材・文学作品の受容における聴覚性――.” 言語と表現-研究論集-, no. 19 (March): 5–16. lib.sugiyama-u.repo.nii.ac.jp/records/3493.

2024-03-26 16:40:41
nakagawa @nakagawa09

また、本が音を発することもあります。本をめくると紙がこすれる音がするし、適当に詰め込んでおいた本が本棚から落ちるとバサバサバサという音がします。本を置くとカタっという音がすることもあれば、カバンの中で本がバタバタ鈍い音を立てることもあります。

2024-03-26 16:40:42
nakagawa @nakagawa09

片岡純也+岩竹理恵《めくりあう本》(2018)は、本と本とが出会うことで音を発します。|youtube.com/watch?v=VRN6lh…

2024-03-26 16:40:43
nakagawa @nakagawa09

図書館ではたくさんの本が一堂に会しているわけで、本と本とが出会うとはどういうことかという問題がありますが、この作品では、本が、長辺と長辺を互いに擦り付けて捲(めく)り合うことで巡(めぐ)り合っているわけです。 :Junya Kataoka and Rie Iwatake kataoka-iwatake.tank.jp

2024-03-26 16:40:43
nakagawa @nakagawa09

僕はこの作品を、2021年2月に『透明な力たち』展@東京都現代美術館で見ました。オンラインギャラリートークで、この作品が動いている様子を見ることができます。|「MOTアニュアル 2020 透明な力たち」展 関連イベント 片岡純也+岩竹理恵 ギャラリートーク - YouTube youtube.com/watch?v=enGmnP…

2024-03-26 16:40:44
nakagawa @nakagawa09

参考:「透明な力たち」が東京都現代美術館でスタート|美術手帖 bijutsutecho.com/magazine/news/…

2024-03-26 16:40:45
nakagawa @nakagawa09

久保ガエタンさんの音響メディア史を題材とするリサーチ・ベースドな作品も僕の興味関心にちょうど突き刺さったりもしました。音響設備がえらいしっかりした展覧会だった。|「MOTアニュアル2020 透明な力たち」展 出品作家 久保ガエタン インタビュー動画 - YouTube youtube.com/watch?v=UADD8q…

2024-03-26 16:40:46
nakagawa @nakagawa09

Gaetan KUBO | 久保ガエタン - The world is full of sounds gaetankubo.com/the-world-is-f…

2024-03-26 16:40:47
nakagawa @nakagawa09

ちなみに、「透明な力たち」展が開催されていたときのMOTのメインは石岡瑛子展でした。こちらも物凄かったです。|コロナなんかどうでもいいから石岡瑛子展に行きなさい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」 cruel.hatenablog.com/entry/2020/12/…

2024-03-26 16:40:48
nakagawa @nakagawa09

で、この時に「片岡純也+岩竹理恵」さんを認識しましたが、家に帰ってから昔のメモを見直すと、作品自体はその前に、2020年にBankArtでも見たことがありました。|参考:「心ある機械たちagain」展 (BankART SILK) |Tokyo Art Beat tokyoartbeat.com/events/-/2019%…

2024-03-26 16:40:48
nakagawa @nakagawa09

こちらも刺激的な展覧会だった。|2020-01-12::I am alive.: メモ:心ある機械たちagainについて:「現象」とは何か問題 after34.blogspot.com/2020/01/again.…

2024-03-26 16:40:49
nakagawa @nakagawa09

ともあれ、こういう作品(本をあれこれする作品)は多く、藤本由紀夫さんや福田尚代さんという作家さんが色々やっているのを見つけられました。

2024-03-26 16:40:50
nakagawa @nakagawa09

藤本由紀夫さんは図書館で作品展示したことがあるそうです。面白そう。見たかったな。|現代美術展から見る図書館の現在──DOMANI・明日展PLUS X 日比谷図書文化館:トピックス|美術館・アート情報 artscape artscape.jp/report/topics/…

2024-03-26 16:40:51
nakagawa @nakagawa09

関連して藤本さんに関する長めの論考を見つけました。|(Studio Visit 01藤本由紀夫:五感で考える。知性で感じる。文:イザベル・オリヴィエ 写真:フォスター・ミックリー|REVIEWS & ARTICLES|REALKYOTO FORUM|ICA京都 icakyoto.art/realkyoto/revi…

2024-03-26 16:40:52
nakagawa @nakagawa09

福田尚代さんの作品を実見したことありませんが、こちら、どうやら本を題材にした作品のようです。とにかく物を目の前で実際に確認すると色々分かることがあるものなので、まずは見たいところ。|MOTアニュアル2014ブログ No.15 インタビュー「福田尚代」 | 東京都現代美術館 mot-art-museum.jp/blog/staff/201…

2024-03-26 16:40:52
nakagawa @nakagawa09

あるいはこちら。|福田尚代 / 翼あるもの『好き? 好き? 大好き?』 ‹ ART OSAKA 2019 artosaka.jp/2019/jp/artwor…

2024-03-26 16:40:53
nakagawa @nakagawa09

そう言えば、ジャズやラテンのスタンダードの曲ばかり掲載した楽譜集を「Real Book」といますね。つまりは楽譜集なわけですが、これもまた本の音楽かもしれない。|リアル・ブック - Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA…

2024-03-26 16:40:54
nakagawa @nakagawa09

あるいは、ドラマー初心者は今でもやはり、自宅では、週刊誌とか電話帳で練習しているのでしょうか。電話帳は多分もうないと思いますが。こちらは、本という楽器で出す音と言えそうな気がしますね。|ドラムの練習をするときは雑誌を叩くといいと何かで... - Yahoo!知恵袋 detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_de…

2024-03-26 16:40:55
nakagawa @nakagawa09

桒原幹治(くわはらかんじ)さんという打楽器奏者あるいはアーティストさんがいます。この人は、本を叩くパフォーマンス公演をやったことがあるそうです!|7月28日(金)からパフォーマンス公演「本だとしても」を開催|クマ財団 kuma-foundation.org/news/9332/

2024-03-26 16:40:56
nakagawa @nakagawa09

実際にパフォーマンス見てないので何とも言えないのですが、とりあえず、見物してみたかった。僕、この時期、海外出張だったんですよね。|Artists #28 桒原幹治 - 公益財団法人 現代芸術振興財団 公式ホームページ gendai-art.org/interviews/art…

2024-03-26 16:40:57
nakagawa @nakagawa09

要は「本は物質的にも音を出す」とまとめてしまえるわけですが、だとすると気になるのはやはり、電子書籍はどうなんだ?ということです。何年か前まで毎年「来年は電子書籍元年だ」と言われ続けていた気がしますが、今はもう言われないので、電子書籍は元年を過ぎてしっかりと根付いているわけだし。

2024-03-26 16:40:57