ゆきま_創作本通販中氏による、伏島正義「12-13世紀の『都市』ニダロス -Bjarkeyjar rettrを中心にして-」のさわり紹介

面白かったのでまとめさせていただきました
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ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

ちなみに上のツイートで「主なケース」として挙げられたもの以外にも平和喪失刑になる内容はたくさんあります。 姦淫、他人の体や衣服や武器に最初に切りつけた者、などなど

2024-04-04 23:04:58
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•カウパングの話 ビルケ法の中にも言葉として出てくる、ニダロスより古い時代にノルウェーの交易地として栄えたカウパングは、その他の有名な交易地であるビルカ(スウェーデン)やヘーゼビュー(デンマーク)と異なり、塁壁を持っておらず、

2024-04-04 23:14:15
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後背地(都市の経済的影響を受ける周辺地域のこと。都市が中心地、周辺が後背地、といえる)と対置されるのではなく、むしろそれらと一体であった、としている。 この形態は地方•季節市場、交易地点とでもいうべきものであり、他の交易地ではノルウェーのボルグンドも同様のものといえる、らしい

2024-04-04 23:19:35
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ビルカやヘーゼビューの復元図には確かに塁壁があって、囲まれた街というか、砦みたいな感じの見た目で描かれてることが多いんだけど、カウパングやボルグンドはなんていうか、交易都市というよりもっとオープンで言ってみれば簡易的な交易拠点、だったってことかな

2024-04-04 23:21:24
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ちなみに、ここに首都を築くぞ!ってニダロスに街を建設したのが、数日前から話題にしているオーラヴ•トリュッグヴァソン(オーラヴ1世)です。

2024-04-04 23:25:53
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現在のノルウェーの首都であるオスロに商業都市を築いたのは、さっき話してたハラルド苛烈王(ハーラル3世)。

2024-04-04 23:30:51
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オーラヴ1世のえーと…間にデンマークの封臣になった候がノルウェー統治者だった時代が2代分?くらいあるので、王様になった人だけで数えたらオーラヴ1世、オーラヴ聖王、マグヌース善王の後の苛烈王なので、3人後の王様かな

2024-04-04 23:31:10
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続きはこちら x.com/ch_yukima/stat…

2024-04-05 00:29:44
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続き3 •火事についての規定 「もし火が人の家で燃え出し、炎が天窓より高くなるならば、人々が屋敷内で消火できた場合、彼(失火した人、家の責任者?)は9ert.の罰金である」 x.com/ch_yukima/stat…

2024-04-04 23:55:05
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続き3 •火事についての規定 「もし火が人の家で燃え出し、炎が天窓より高くなるならば、人々が屋敷内で消火できた場合、彼(失火した人、家の責任者?)は9ert.の罰金である」 x.com/ch_yukima/stat…

2024-04-04 23:55:05
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伏島正義「12-13世紀の『都市』ニダロス -Bjarkeyjar rettrを中心にして-」 cir.nii.ac.jp/crid/139028268… 今回は概要をつぶやくというより、面白いなと思ったところを抜粋しようと思います

2024-04-04 13:26:13
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「もしそれが大きくなり屋敷内で消火できず、そこで人々が反対の通りに走る(火事を避ける事態となる)ならば、彼は王と市民に3m.の罰金である」

2024-04-04 23:59:03
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「そこで人々は桶、手桶、甕、あるいは斧を携えて火の方へ走るべし。 そのどれも遂行しない者は浮浪人であり、王と市民に3m.の罰金であり、彼が負傷しても法(賠償)はない」

2024-04-04 23:59:25
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火事の規定です。 同じニダロスを包む法域の法でも、農場散居制がベースであろう4法域のひとつフロスト法では、家が離れてるので自分の農場で出火したところで、「隣家に延焼させた時の罰金」という発想はないだろうから、都市法であるビルケ法ならではだなと思います

2024-04-05 00:02:48
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

フロスト法でも農場とかで失火した本人に対しての罰則はあるのかもしれない。 消火を手伝わなかった時の罰則もあるようです。 「浮浪人(snattaðr maðr)」というのは、乞食、無産者、困窮者、と同様に、権利においてこの社会の最底辺にあたり、要するに「一般市民ではない」ということなのかな

2024-04-05 00:12:13
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

本文中の金額の単位で、ert.とaur.というのが何の略なのかちょっと分からなかったです。 3m.は3マルク、ここには出てきてないですが、eyr.という略もあって、これはエイリルだと思う

2024-04-05 00:17:11
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

法律の中で頻出する単位、マルク、エイリル、フンドラズ、バウグ(略奪の金環)、エルまたはエレ(布の長さの単位、転じて同様の価値の単位にも用いられる)がぱっと思いつくところだけど、どれも当てはまらないんだよな…

2024-04-05 00:20:36
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

ちなみに放火の罰は不動産の没収、だそうです。

2024-04-05 00:23:38
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

まとめ •ビルケ法からみる12世紀の都市ニダロスとはどのようなものだったか 交易拠点として商業的性格を持ちながらも、他方で依然として伝統的な農•漁業的性格を脱却できないでいる、いわば複合的性格の社会である、としている。

2024-04-05 00:32:44
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

フロスト法とかと対比して、人の集まる都市の性質が反映された規定(集会の角笛だの火事だの)とか、交易を行う商業面についての規定(年間滞在者に対してや詐欺防止だの)が細かく設定されてるところには商業都市的だけども、「他人の畑のものや家畜の乳を盗んだら」とか、

2024-04-05 00:37:00
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

ここには挙げなかったけど海豹(アザラシ)の猟場の規定とか、漂着した鯨についての規定とか、農業•漁業も併せて行われてた側面が法律から見られるので、「都市は農村と分業関係をもつ」という対置の立場をとるなら、都市というよりはそれよりもう少し複合的な社会である、っていうこと?かな

2024-04-05 00:45:01
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

このニザロスの性質について、前身といえるようなカウパングとはやっぱり時代的にも違うわけだけど、「地方•季節市場的な系譜も無視できないように思われる」としている。

2024-04-05 00:47:49
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

カウパングの性質や影響がニダロスにとって無というわけじゃなくて、同じものではないけど系譜として引き継がれてるところがあるということだろうか

2024-04-05 00:48:00
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

•感想 この記事自体がかなり昔のものなので、現在はもう少しノルウェー社会に対する解釈が違ってきてる部分もあるかもしれないし、熊野さんや阪西さんの著書にあるように、法律だけから当時の社会の実態を見ようとするとだいぶズレがあるので他の資料も併せて考える必要はあるけど、

2024-04-05 00:51:44
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中世の北欧の法、といえばやはり挙げられてるのはグラーガース、フロストゥシング、グラシングが主であって、「交易都市の法」というのを扱ってくれてるのを見たことがなかったので、テーマに据えてその中身を一部紹介してもらっただけでとてもありがたいし、貴重な情報だった

2024-04-05 00:54:11
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中世北欧の暮らしについて調べるのはそれ自体が趣味なので、単純に楽しかったし、私が創作で描く時代は12世紀ニダロスではなくて、その前のカウパングが興盛を誇った時代なので直接的に繁栄できる情報ではないけど、

2024-04-05 00:57:38
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同じ交易拠点という性質の場所で、どのようなことが起こってるのか、法規定から営みの一端を感じ取れたのはとても良かった。交易地のイメージの解像度が上がったと思う

2024-04-05 00:59:14
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