【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(2、3巻)
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ところでこのお椀でケセネギツの米や麦を計ると、いつまで経っても米や麦がなくならなかったという。やがてこの家は幸運に恵まれ、今のような大金持ちになった。遠野では山中のこのような不思議な家をマヨヒガという。
2012-07-01 11:53:13マヨヒガに辿り着いた者は、必ずその家の中の道具や家畜、何でも良いので持ち帰るべきだという。なぜならば、その人に授けようと思ってマヨヒガは姿を現すからだ。この女は無欲であったため、お椀の方から勝手に流れてきたのだろう[1][2][3][4]、というものである。
2012-07-01 11:53:17「遠野物語に伝へられたマヨヒガの膳椀に至っては、其中でも著しく古意を存して居るもので、隠里の思想に附加するに更に増殖又は無尽蔵の思想を表現する長者伝説の分子を以てして居る。[5]」とその見解を述べている。
2012-07-01 11:53:35白望山の麓にある金沢村は上閉伊郡の中でも特に山奥で、人の往来が少ないところである。六、七年前に金沢村から栃内村山崎の某家では娘婿を貰った。この婿が実家に行こうとして道に迷い、マヨヒガに行き当たった。
2012-07-01 11:58:49家の様子や牛馬鶏が多いことや紅白の花が咲いていることなど、全て上記の話の通りであった。同じように玄関から入ると、膳椀を取り出す部屋があり、座敷には鉄瓶の湯が沸いており、今まさに茶を入れようとしているだった。耳を澄ませると便所などの辺りに人の気配があるように思えた。
2012-07-01 11:59:01最初は呆然としていたが、次第に恐ろしくなって逃げ帰ろうとしたが、道を外れて栃内村とは反対側の小国村に出てしまった。小国村ではマヨヒガの話を信じる者はいなかったが、
2012-07-01 11:59:17栃内村山崎では「それがマヨヒガだ」「すぐに行って膳椀の類を持ってきて長者になるんだ」と言って婿を案内役にして山に入って入念に探すも、結局それらしいものは見付からずに引き返す羽目になった。また、その婿が長者になったという話も聞かなかった[1][2][3]、という。
2012-07-01 11:59:19どちらの話も、遠野の人々が、容易には入って行けない山奥に一種の桃源郷といったものが存在すると考えていたことを窺わせる。また、この桃源郷は選ばれた無欲の者しか恩恵に預かれない、としていたことも分かる。
2012-07-01 12:00:15(余談だが、遠野の伝承の中にはここが隠れ里だ、とする伝承も見受けられるため、ここでは所謂隠れ里伝説の舞台である「隠れ里」との混同を避けるために隠れ里の呼称は避けた)
2012-07-01 12:00:18※作中との比較
まず広大な和室になっているのは、この後いろいろとやることになるからご都合ということにしておいて良いかな。強いて挙げるならば迷い家は一種の異空間なわけなので、空間的な制約は取り払われるという解釈も可能かなー、と。
2012-07-01 12:01:02次に、伝承の中では編み物に関する言及はないけど、鉄瓶でお湯を沸かして今まさにお茶を入れようとしているタイミングである、という具合に「生活臭をぷんぷんと醸し出している」という点では類似。
2012-07-01 12:01:11一方で人の気配が一切感じられないのも伝承(前者のパターン)と同じ。あとは先輩が端的に説明している通りでございます。流石先輩。
2012-07-01 12:01:17ちなみに顕現条件を無視しているのは本編で語られている通りなので省略。詳しくは『ほうかご百物語』3巻を読んでね!ということで。
2012-07-01 12:01:27※老鼠(ひねつこ)について
※文献を基にした概説メモ
久々にやってみますか。今日は「老鼠(ひねつこ)」について。参考文献はこれ「 http://t.co/5Q96WLGm 鼠 | ネズミ | 怪異・妖怪伝承データベース」とその典拠、乾 健治著「鼠を避けるまじない」『田舎』通巻4号(住吉土俗研究会、1934、p21)。
2012-02-19 19:25:36噛み砕いて説明するよりも正確なので、典拠から該当部分を引用します。「中道等氏の文を読んで思ひ当ることがあります。私は告白しますが鼠に三回ばかり幼少時代におさへられました。私の兄も数回おさへられました。(続く1
2012-02-19 19:26:40続き1)夜中目をさますと足元の方から夜着の上を鼠(狸狐か大人くらいの重さ)が登つてくるともう目がさめてゐるのに口が利けない、身動きも出来ない、ありありと怪物が登つてきて胸の所まで来て又後戻りしてゆくのがおぼえます。(続く2
2012-02-19 19:26:48