第7話 「 鍵と金色の意味 」

未咲(みさき)の先生が出現。 と思ったら、「先生が決まるまでの間の先生」だったことが判明。 未咲とともに≪正義の戦士≫の授業を受ける、秋本くんと、ハルル。 そして――――!?
0
前へ 1 ・・ 3 4 次へ
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の76 そして一瞬ホロリとしてから、肩に右手をパシッと置いて、風のように言いました。「行ってきます!」シュン‥消えました。秋本くんは、クッションに腰をおろし、本棚を見ました。――肩に妖精の少女をのせたラファエルは、ただ静かに見守りながら立っていました。少女は寝ています。

2012-04-06 13:35:16
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の77 本棚のちょうどよい位置に、未咲のママが置いていったお盆がありました。秋本くんが床のクッションに座ったまま手を伸ばすと、ちょうど、テーブルで食事をするような感覚でした。「たっだいま~」ばんっとドアを開け、未咲は、「チロルチョコ、もらったー♪」と、床に置きました。

2012-04-06 23:00:44
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の78 「ありがとう。‥風呂敷?」秋本くんは、まじまじと見つめました。「『ふろしき』ってゆーんだ。むずかしい字よね」ぱくっ「いただきま~っす。お~いしい♪」未咲の顔が、ほっこりしました。ラファエルが、穏やかに尋ねました。「1人何個ですか?」「あ」‥同じずつになりました。

2012-04-06 23:15:44
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の79 「これ‥正絹じゃない?」「んー‥そう言ってたかも」「どうりで。優しい感じの色だよね。ママの?」「うん。机にあったの、そのまんまくれたの」3人は、チョコを食べながらお盆のドリンクを飲みました。秋本くんはアイス・コーヒー、未咲はコーヒー牛乳、ラファエルはお茶でした。

2012-04-06 23:29:05
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の80 未咲が、小腹がおちついた顔に変わりながら、3歳の子どものように尋ねました。「『しょうけん』って?」秋本くんは、コーヒーを一口飲んで、言いました。「『正絹(しょうけん)』っていうのは、絹糸だけで織ったもののことで、『正しい』っていう字に『絹』っていう字を書くんだ」

2012-04-06 23:40:54
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の81 未咲は、胸がドキンといたしました。「すごぉい! なんでも知ってるんだ‥///」「そんな、凄くは‥//」ラファエルは、微笑みながら、2人の会話を聞いていました――が、秋本くんの表情が変わりました。「どうしました?」「どーしたの? もしかしてっ、恋の病とか?//」

2012-04-06 23:49:06
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の82 「そ、そういうわけじゃ//」秋本くんは、少々たじろいだ様子で、ハンカチでこっそり冷や汗を拭いてから言いました。「氷が、冷凍庫から出したてに見えない? ここに置かれてから、しばらく経ったはずなのにね」ラファエルも言いました。「そういえば、ほとんど融けていませんね」

2012-04-07 00:17:10
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の83 未咲は、秋本くんのアイス・コーヒーのグラスを凄く真剣な表情で見つめ、「そーかも!」と、言いました。いつもより静かな声でした。(あれ?)秋本くんが未咲のグラスを見ますと、ピンクのストローのささったグラスには、氷が一つもありませんでした。(だからか!)

2012-04-07 07:19:40
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の84 確かに、1月の、しかも暖房がなければ気温が 6.2℃という状況下で、喫茶店並みに氷を入れたアイス・コーヒーを飲みたいほうが少数派かもしれません。≪自分は普通じゃない≫けれど、≪大切なのは常識と思いやり≫であることを秋本くんは知っていました。個人差も必要なのです。

2012-04-07 10:05:38
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の85 見ると、ラファエルのグラスには氷が1つだけ入っていて、秋本くんのアイス・コーヒーと同じ高さまでお茶が入っていました。ささっているストローは市販の白いもので、緑色のラインが入っています。(ラファエルさんは、もし自分のに氷がなくても、すぐ気づいたんじゃないだろうか)

2012-04-07 10:15:09
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の86 ふいに、未咲が立ち上がり、飲み干したグラスを机に置くと、右手をバッと上げ、きりりと唱えました。「ホッと‥イリュージョン」シュンッ‥床の少し上に、金色の光の輪が現れました。光の輪は、瞬くより速く頭上へあがり、未咲の前に鏡がパッと現れると消えました。「!」

2012-04-07 12:39:25
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の87 未咲は、イリュージョン・ルビーになって、姿見と向かい合う形で立っていました。秋本くんは、アイス・コーヒーを片手に、少し驚いた様子で、イリュージョン・ルビーを見上げています。ルビーは、勇敢そうな瞳で言いました。「今から助けに行かない?」「え?」「先生、おそいよね?

2012-04-07 13:16:36
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の88 魔王の手下と戦ってるんじゃない?」――秋本くんは、アイス・コーヒーを2口飲んでグラスをお盆にもどすと、立って、尋ねました。「いつ、変身がとけたのかな? さっき一旦、変身したよね? ハルルくんが、驚いていたでしょ?」「そういえばっ、私‥!」――ハッとする、一同。

2012-04-07 13:23:27
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の89 本棚のてっぺんに座って爆睡していた風葉命(かざはのみこと)が、突然、カッと目を見開いて、言いました。「おそらく、親に正体がバレないようにするための防御策でしょう」「そっか」イリュージョン・ルビーは、一瞬、なにか不思議な感覚を覚えました。(なんだろ? この感じ‥)

2012-04-07 13:30:32
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の90 次の瞬間、秋本くんの脳内映像の中で、すべてが一つにつながりはじめました。「そうだったのか。だとすると、」「え? なぁに?」秋本くんが答えようとした瞬間、先生が「ただいま」と、帰ってきました――天上から、スタッと着地して。「おかえりなさいっ」皆、同時に言いました。

2012-04-07 14:47:03
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の91 チャリン。「何ですか?」先生が言いながら見ると、金色の指輪が落ちていました。見守る、一同。ラファエルがハッとした表情になったとたん、指輪は垂直になって、DVDの出し入れのように真っすぐ沈んでゆき、‥2012年。ハルルが立っている、フローリングの床に落ちました。

2012-04-07 14:57:35
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の92 (一体!?)よく見ると、それは、金色の指輪でした。(この床に、音も無く落ちるなんて‥)ハルルは、おそるおそる指輪を拾おうとしました。人差し指が指輪に触れようとしたとき、「指輪みっけ!」さきほどの少女の1人が、こちらを指さしました。(まさかっ、見えてる!?)

2012-04-08 00:38:57
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の93 ≪姿を隠す魔法のスイッチ≫は、ONになっています。(ホッ‥)ハルルは怖くなって、そうっとガラス戸を開け、庭へ出ました。そして、ガラス戸を閉めるところで、2人の少女の会話が耳に入ってきました。「その人、なんていう人?」「秋本くん。なんでも知ってるの」(え‥?)

2012-04-08 00:50:28
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の94 (意外ですか?)気配を消した乙女が、マンションを囲う木の上から見ています。そこから見える うしろ姿のハルルは、ポケットから取り出したものを指先で操作すると、驚いたような肩の動きをしました。「‥!?」名簿の画面には、秋本くんの名前がありました。

2012-09-05 17:53:13
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

ゴシック体で、「アキモト コウシ」というフリガナの下に「秋本 公嗣」と表示されています。(あの人だ。一種のキラキラネーム? 同姓同名は、いなさそうだな‥)他にも、今日はじめて出会った人々の名前がありました。イチノミヤサカ コトコ、オオキ ダイスケ、ササノミコ――。「何故?」

2012-09-05 18:42:01
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の96 「今‥なんと言ったのですか?」別の木の上で、幼い頃の ささのみことが尋ねました――「何か、心に叫んだようでしたが」。ハルルは、その気配だけを感じながら「月?」と垂直に見上げ、見つめあうように立ちつくしていました――漆黒の空に浮かぶ金の鏡のような、満月と。

2012-09-05 21:37:33
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の97 女の子たちの話し声だけが、微かに、マンションのすぐ外を通り過ぎて行きました。(月の話をしてるのか? でも、確かに)「こんなに‥澄んでるのか、月って――」――「『ありがとう』って?」未咲は、ふり返って尋ねました。「いや」と大助。頷く、一同。

2012-09-05 21:58:04
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の98 「未咲ちゃんにしか聞こえなかったようですね」秋本くんが内心思うのと同時に、ラファエルが言いました。そして、秋本くんが何かを発見しかけた瞬間、本棚から、箱が1つ落ちました。ゴト‥「ひぃぃっ!」未咲がしがみついて叫ぶと、先生が言いました。「箱から? 光が出ましたね」

2012-09-05 22:14:47
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の99 部屋は、りんごのように赤い光に瞬く間に覆われ、甘いピンク色に輝きました。未咲は、大助の肩から秋本くんへと3歩横に移動し、猫のように密着すると、ハッとした顔になって、「お祖母ちゃんのルビーが!」と駆け出しました。「え?」「未咲ちゃん!」「未咲ーッ!」「では、私も」

2012-09-05 22:48:57
光野 水栄(Yukue_Hikarino) @Hika_Rarala

【第7話の100 ハルルは、芝生の上に羽衣を敷きました。「浮かんだ!?」「間に合いましたね」そのときです。未咲たち5人が羽衣の上に振ってきて、組み体操のように着地しました。ハルルが驚いて歩み寄ると、一同は、もとの未咲の部屋に立っていました。「カレンダーが、今日だね」「うん//」

2012-09-05 23:07:16
前へ 1 ・・ 3 4 次へ