ザ・ファンタスティック・モーグ #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『ええ。すぐに』ナンシーはデッキを操作。墳墓のセキュリティ・システム……驚くほど強固。だが先程の情報ほどでは無い。彼女は次々に電子のシャッターをこじ開ける。あの情報断片……密談……褐色の男は何者だ?どこかで見たようにも思うが……キャバァーン!「墳墓アクセス開通な!」の合成音。48

2012-04-05 22:35:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

途端に、胡乱なノイズの霧は晴れ渡る。産業道路を走るトレーラーの違法増幅無線を中継せずとも、このオフィスと墳墓のアクセスポイントを繋ぐことができるようになった。『今のが、最近のユーレイ騒ぎの正体ってわけね』ナンシーは迷宮めいた墳墓の見取り図を展開する。『さあ、次は何?』49

2012-04-05 22:51:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネオサイタマ某所。時刻はウシミツアワーを迎えんとする頃であったが、この少年は……酷薄なるラオモト・チバは、そんな事はお構いなしだ。帝王学を血中に染み渡らせた彼は、常に四時間しか睡眠を取らぬ。彼の後ろに控えるは、道着袴を着た筋骨隆々のニンジャ。忠実なるネヴァーモアだ。 52

2012-04-05 23:48:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

この男は頭巾を被らず、刈り込んだ黒髪には稲妻形の剃り込みが入る。黒金のメンポが鼻から下を覆い、その目はカミソリのように鋭い殺気を放つ。ネヴァーモアはラオモト・チバが心許す数少ない側近ニンジャの一人であり、実際、チバの実父ラオモト・カンを異常崇拝する危険なニンジャであった。53

2012-04-05 23:56:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チバは彼を引き連れ、磨き抜かれた廊下を足早に歩き進む。そして「盆中」と雄々しくショドーされたカーボンフスマを開け放つ。彼らが足を踏み入れたのはタタミ敷きの円形広間で、中央には全方位UNIXモニタを据えた黒檀の台座が据えられている。天井には二刀を携えた聖人図画……聖ラオモト。 54

2012-04-06 00:00:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネヴァーモアは天を仰いだ。そののち台座へ近づきコンソールを操作する。全方位モニタが点灯。跪くニンジャが映し出される。「ドーモ。カコデモン=サン」チバは尊大に言った。「報告があると?この僕をわざわざ呼びつける程の?くだらぬ話であれば承知せぬぞ」「ハーッ」カコデモンは頭を下げた。55

2012-04-06 00:07:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤーが」カコデモンは厳かに言った。チバは叫んだ。「なんだと!」「ハーッ!」カコデモンは再び頭を下げる。「正確には、ニンジャスレイヤーとともに行動する牝狐が網にかかりまして」「あッ……あの女だと!?」チバはさらに激昂した。「捕えたか!」「いえ、これからです」 56

2012-04-06 00:12:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

このとき既にカコデモンはナンシーを取り逃がした後であった。それをわざわざ主君に伝えるほど馬鹿正直ではない。彼は顔を上げた。「こうなればニンジャスレイヤーも必ず現れます。お喜びください」「喜ぶ?差し出がましいぞ」チバが睨んだ。「黙って奴の首を持ってこい。それだけだ」「ハーッ!」57

2012-04-06 00:15:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤー?」とつぜん背後で声が響いた。チバは小さく舌打ちし、そちらを振り返った。ネヴァーモアは無言である。しかし足をやや開いて半身に立った姿勢は、いつでもその相手に襲いかかれる体勢だ。彼らの視線の先には、この広間への新たなエントリー者の姿があった。58

2012-04-06 00:24:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ラオモト=サン。ネヴァーモア=サン」彼はオジギした。褐色の肌、後ろへ撫で付けた白髪めいた金髪。着流しを着た、彫像めいて眉目秀麗な男である。その灰色の瞳がチバを見据えると、少年は緊張を悟られまいと、険しい視線を返す。「……ドーモ。アガメムノン=サン」59

2012-04-06 00:33:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ご機嫌麗しう」男のアイサツは奥ゆかしくも、底知れぬ威圧的アトモスフィアはチバを呑み込むかのようだ。彼の顔を凝視した者は、超人めいた灰色の瞳の奥で微細な稲妻のパルスが脈打っているのを見る事だろう。彼こそはアガメムノン……ゼウス・ニンジャを身に宿す者! 60

2012-04-06 00:42:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第三部「不滅のニンジャソウル」より:「ザ・ファンタスティック・モーグ」 #4 終わり。 #5へ続く

2012-04-06 00:43:34