クローズアップ現代「もう病院で死ねない~医療費抑制の波紋~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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結城:どうしても在宅に戻れない人はカードがいくつかあるんですけれども。そのお金が払えない人がやむなく在宅に戻ってしまうという、今回の医療・介護の政策になっているといえると思います。
2012-05-29 22:11:48森本:20万円というのは大きな負担ですし、そうなると在宅で医療を続けなくてはいけないという人が多くなってくるということですよね。
2012-05-29 22:14:09結城:そうですね。ですから、こういう政策が続くと介護、特に在宅介護が非常に重要になってきています。実は退院のあと在宅介護生活が1年になるか2年になるかわかりません。国もその意味では在宅医療に若干お金をつけて、在宅医療制度には力を入れています。
2012-05-29 22:18:51結城:しかし総合的に在宅医療・在宅介護を見ると、なかなか不十分で…在宅介護はどうしても家族への依存や本人の強い意志にもとづいているので、実はなかなかハードルが高いといえるところもあります。なんとか介護生活を終えたとしても、その先にはどうしても看取りという問題があります。
2012-05-29 22:24:48結城:従来であれば在宅介護を終えれば、もう一度病院に戻って病院や施設で死を迎えるということもある程度ありますけれども...現在は国の政策が在宅医療・在宅介護を押し進めていますから、どうしても看取りという問題は今後は避けられないといえるんじゃないでしょうか。
2012-05-29 22:30:32結城:これはどうしても家族の介護力それから療養というものに依存する。もしくは一人暮らしの場合は本人がどうしても自宅で死にたいという意思、もしくはマンパワーですね…お医者さんや看護師それからヘルパーさんやケアマネージャーさんの頑張りによって支えられるというところが大きいといえます。
2012-05-29 22:38:57VTRが流れます
<ナレーション> 医師の沖田将人さんです。みなと赤十字病院から依頼を受け、退院した患者を24時間態勢で往診しています。高齢の患者の場合、呼吸の状態など体調の変化を見るのが中心で、特別な治療は行いません。家族には容体が悪化しても、救急車を呼ばないよう伝えています。
2012-05-30 05:37:09沖田:(患者の家族に) 肺炎を起こしたら熱だけを冷ましてあげて、苦しみだけはとってあげる。91歳という年齢を考えたら、やりすぎない治療が大事で...自然に着地させてあげる力になってあげたいと思いますので…
2012-05-30 05:42:26<ナレーション> 自宅で看取る覚悟を求める沖田医師。家族とともに試行錯誤を続けています。みなと赤十字病院を退院したばかりの高野玲子さんです。玲子さんは重度の認知症です。食べたものが誤って肺に入ることで起きる、誤嚥性肺炎で入院していました。
2012-05-30 05:48:04沖田:(家族に)なんでもかんでも入院ってしないで、基本的には家で引っ張っていく。なるべくご主人の力を借りながら、家での治療を続けたらどうかなって思うんだけど。
2012-05-30 05:53:55<ナレーション> 夫の武さんは、沖田医師から無理に食事をさせないよう指示を受けました。 3週間後、玲子さんの容体が急変したと聞き訪ねました。前日の夜玲子さんは高熱を出し、意識が朦朧としていました。この数時間前、沖田医師が往診に駆けつけていました。
2012-05-30 05:59:48武さん:食事をとれない状態になっちゃってるから、点滴やるために入院させなきゃと思って(沖田医師に)聞いたんだけど、「病院に行っても、また帰されちゃう」って言うもんだからね。
2012-05-30 06:04:51<ナレーション> 玲子さんは丸1日何も食べていませんでした。武さんは元気をつけさせるため、「何か食べさせたい」と言いだしました。呼びかけても反応しない玲子さんを前に、武さんは動揺していました。幸い、玲子さんは意識を取り戻しました。
2012-05-30 06:10:05<ナレーション> 2日後、沖田医師が往診に訪れました。沖田医師は玲子さんに食事をさせていることに気づきました。いまの玲子さんの状態では、危険な行為だと感じました。しかし「食事はダメだ」とは言いませんでした。自宅で看取るためには、介護する家族の気持ちを汲むことも大切だからです。
2012-05-30 06:15:02沖田:ご主人は(食事を)あげたい。水だけでは生きていけないし、ジレンマですよね。ひょっとすると詰まらせて呼吸状態が悪くなるかもしれないけど、それを前提で看ている姿がいいのかなと思うんですけどね。悩みながら、今後も看ていくしか方法がないのかな。
2012-05-30 06:20:55沖田:入院ができないから家にいざるをえない、家で最期を迎えざるをえない。決してきれいな言葉ではない、在宅医療がそこにはあるのかなと。私は病気に対しては治療は知れしてるんですけど…私の相手は病気ではなくて、家族・ご本人の心なんですよね。
2012-05-30 06:27:48スタジオに戻ります
森本:家族としては自宅で看れば看るほど、何かしてあげたいという気持ちが強くなると思うんですよね。だけど救急車を呼ばない、何も施さずに看ているだけというのは…辛くてできないと思われた方も多いと思うんですが。
2012-05-30 06:31:56結城:在宅医療とか在宅介護というものは、美化されている報道もあったりするんですが...実はシビアな選択という側面は否定できないと思います。私が昔ケアマネージャーをやってた時も、そういうケースを担当したこともありますけれども。
2012-05-30 06:37:21