かおるさとーさんの『氷菓』#7 解説

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かおるさとー @kaoru_sato

今回解かなければならない謎は「首吊りの影の正体は何か?」です。なので「何か」がわかればいいのですが、奉太郎はしかし湯船に浸かりながら「千反田を納得させる巧い説明が思いつかない」ようです。「何か」はもうこの時点で見当がついているのですが、その先が難しいです。

2012-06-09 23:34:51
かおるさとー @kaoru_sato

首吊りの正体を探るのは、いわば犯人当てのようなものですから、フーダニット的な謎解きに分類されるでしょう。しかしそれは表面的な話で、千反田さんの疑問に答えるためには「どうしてそんなことが起こったのか」も合わせて解く必要があります。つまり「なぜ」が問われるホワイダニットです。

2012-06-09 23:38:47
かおるさとー @kaoru_sato

視聴者の中には、首吊りの正体に気づいた方もそれなりにいたと思います。これは比較的わかりやすいですから。しかしこのホワイダニットに答えられないと、完全回答とはいえません。この二重の謎解き、みなさんは解けましたか?

2012-06-09 23:42:37
かおるさとー @kaoru_sato

「なぜ」を解く最後の鍵は、里志によってもたらされました。勘の鋭い方は、太鼓の音で気づいていたかもしれませんね。夏祭りがあったそうです。奉太郎の説が完成します。

2012-06-09 23:45:21
かおるさとー @kaoru_sato

回答は作中で全部説明されているので、ここでは省きます。しかし謎解きにつながるヒント、情報、伏線はすべて提示されていたので、実にまっとうな日常の謎だったと思います。ただ、奉太郎の説明が、千反田さんのあこがれを壊してしまいました。

2012-06-09 23:49:11
かおるさとー @kaoru_sato

千反田さんの“きょうだい”に対するあこがれは、所詮はあこがれです。実際にはそんなにいいものではないと、奉太郎は知っています。それをこういう形で突きつけて、あこがれを壊してしまったのは、きっと彼には不本意だったでしょう。そんなつもりはなかったのに。

2012-06-09 23:54:12
かおるさとー @kaoru_sato

そんな二人の前に、善名姉妹の姿が。妹をおぶさる姉の姿に、二人は一瞬あっけにとられます。そして笑顔になる千反田さん。二人の元に駆け寄っていきます。千反田さんのあこがれる“きょうだい”は枯れ尾花かもしれませんけど、それだけでもないみたいですね。

2012-06-10 00:02:32
かおるさとー @kaoru_sato

姉妹の関係性を、昨日今日会ったばかりの彼らが測ろうというのは、あれです。大罪を犯しています。傲慢の罪ですね。最後のシーンだけで姉妹の仲がいいと判断するのも傲慢の罪です。一言で表せない関係なのは、きょうだいに限らず人間なら当たり前の話です。

2012-06-10 00:05:25
かおるさとー @kaoru_sato

古典部員で二人の関係性を測れるとしたら、親戚である伊原摩耶花だけでしょうね。

2012-06-10 00:09:02
かおるさとー @kaoru_sato

この最後の姉妹のシーンは、アニメオリジナルです。原作では千反田さんが少しだけさびしそうにつぶやき、奉太郎が少し後悔するところで終わります。アニメは演出がとてもすばらしかったので、原作とは一味違ったものになっていますね。どちらの終わり方も素敵です。

2012-06-10 00:13:32
かおるさとー @kaoru_sato

細かい話その1。今は8月なのですが、部室に制服姿でいる奉太郎と千反田さん。不思議ですか? いえいえ、夏休みでも、彼らには文集作りという仕事があるのです。

2012-06-10 00:27:30
かおるさとー @kaoru_sato

細かい話その2。奉太郎が泊まった部屋は13号室。こういう宿泊施設で13号室というのは珍しいと思われるかもしれませんが、これはスタッフのお遊びみたいですね。ジャック・フットレルの「13号独房の問題」のオマージュだと思われます。

2012-06-10 00:33:47
かおるさとー @kaoru_sato

細かい話その3。千反田さんが奉太郎の頬に手を当てる場面。なぜか左手を当てています。奉太郎が右腕を上げていて、左頬が空いているにもかかわらず、です。些細なことですが、気になります。なぜ右手じゃなかったんでしょう。右利きですよね?

2012-06-10 00:38:14
かおるさとー @kaoru_sato

(それとも私が見逃しているだけで、実は左利きだったりするんでしょうか)

2012-06-10 00:41:16
かおるさとー @kaoru_sato

細かい話その4。「両手に花でも一輪余ったよ」というのは、男性が里志1人であるのに対して、女性が千反田さん、摩耶花、梨絵の3人であったことを表しています。ちょっとアニメではわかりにくい表現だと思ったので、補足です。

2012-06-10 00:44:13
かおるさとー @kaoru_sato

細かい話その5。イミテーションとは、模倣という意味の言葉で、今回の帯も上から合わせているだけですね。学校の制服がブレザーだった人の中には、ネクタイが結ぶものではなく上からつけるだけのものだった人もいるのではないでしょうか。あれもイミテーションです。

2012-06-10 00:53:23
かおるさとー @kaoru_sato

とりあえず今回はこんなところです。次回は8話。「試写会に行こう!」です。短編が2話続きましたが、いよいよ2つ目の大きな事件がやってきます。原作の2作目『愚者のエンドロール』にあたる話ですね。この話は、ある意味最もミステリらしい話です。新キャラも出てくるので、注目してみてください。

2012-06-10 01:00:53